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閃光

「……」

 ユラスは脂汗を流しながら顔を歪める。

 彼の内部に巣食った病魔は全身へ転移し、それが激烈な痛みを起こさせてユラスを苦しめていた。

 なお、その苦痛を和らげる処置は行っていない。

 それをすると頭がボーっとし、鋭敏な思考が出来なくなるという理由から。

 つまりユラスは確固たる自我を保つ代償に、地獄の責め苦に等しい痛みを受けていた。

「……失礼します」

「……」

 病床に伏したユラスの下に訪れるのは宰相リムとエコノマニック攻略担当のイルナ。

 本当ならユラス自身が現場に赴きたかったのだが、ここまで病状が進行すると動くことは叶わなくなっていた。

「悪いな、わざわざここまで呼びつけて」

 ユラスはベッドの上から二人の労をねぎらう。

 場所はボルトマン帝国の帝都。

 ベッドを執務室に運ばせ、そのベッドの上でユラスは全体の指揮を執っていた。

「経済というのは本当に複雑怪奇だ」

 リムとイルナから報告を聞き終えたユラスは枕に頭をうずめる。

「軍事と違って白黒つけられない。利害と愛憎、善悪が入り混じって誰が敵で誰が味方なのか皆目見当がつかん」

 一元的な括りで判別できない。

 どのような条件をかけようとも必ず漏れ出る要素が出てくる。

 ユラスとしては変な輩を引き入れたくないし同調できる者を敵に回したくなかった。

「本来なら時間をかけて攻略する予定でしたが」

 エコノマニックの経済力は脅威の一言だが、軍事力に関すると一気にレベルが下がる。

 亡きヘレンの主導でエコノマニック抜きの経済圏をすでに確立していたサンシャインはじっくりと腰を据えて取り組める余地があった、が。

「エコノマニックから反サンシャイン同盟の結成のための資金が流れているのを知り、早急に手を付けなければならない事態になったと」

「その通りだ。早急に対処しなければならなくなったため俺も加わらなければならなくなった」

 当初の予定ではリムとイルナに任せっきりにする算段だった。

 最大の市場を持つサンシャインは商人から見れば垂涎の的。

 その市場に参入を許す代わりに特権を廃止――政治への介入を禁じたり労働者が組合を作ることを推奨したりする条件にて交渉してきた。

 経済という見えない戦場の特性上多少失敗しようとも、直ちにそれが致命的事態に繋がらないこともあり、新米であるイルナの訓練に充てていた。

 経験豊富なリムの支えもあり、交渉も有利に進んでいたがフランドールの失敗から旗色が変わる。

 僧侶の何人かを裏から操っていたことを暴露され、それを旗頭に各同盟が結束し始めた。

 表向きはセイクリッドだが、裏ではエコノマニックが立役者。

 正確には既得権益を失う商人達――特に武器商人が暗躍していた。

「その武器商人を早急に無力化。つまりエコノマニックの中枢から引きはがすことが求められる」

 武器商人の暗躍は好ましいものではない。

 彼らの放銃を許せば統治後もテロやクーデターの脅威に晒される。

 早急かつ確実に彼らを無力させるためにはユラスの参加が必要不可欠。

 それはつまり、武力の使用も躊躇わないという意思表示だった。

「「……」」

 リムもイルナも黙っているのは、ユラスの身を案じてのこと。

 苦痛で一杯一杯なユラスの思考を少しでも楽にさせようという配慮からきていた。

「サンシャインの要求はただ一つ、三者協栄だと再度訴えろ」

 ここでいう三者とは売り手と買い手、そして生産者を差す。

三者協栄とは全員が得をし、誰かの犠牲の上に利益を求めることを禁ずる意味合いを持っていた。

「その大義は私達も掲げていました」

 リムがおずおずと口を開く。

「が、彼らの常識では受け入れられず、やむなく搦め手で攻めました」

 商人は裏の裏、痛くない腹まで探ってくる。

 ゆえにこの大義も何か裏があるのではと勘ぐり、交渉に応じようとしなかった。

「今回は俺やレンカを含め、六大王全員の名前を署名する」

 以前はリムとイルナの二人の署名だったが、今回はサンシャイン首脳部による十名もの連判。

 これを見せればこちらの本気度も伝わるだろう。

「さらに三つの方法で篩にかける」

 しばらく後、ユラスは三本の指を立てる。

「まずは損得で分ける商人の元締めの目の前に高価なツボを三つ用意し、従わなければ順番に割っていけ」

 何故そうするのか?

 それはこちらの覚悟を理解させるため。

 サンシャインは損得で動かない。

 必要とあらば平気で損を取るという意思表示だった。

「二つ目は愛憎。首を振らなければ国そのものを滅ぼすと脅せ」

 損得の次は愛憎。

 すなわち身の危険に訴えかける。

 もちろん本気で実行するつもりはないが、十名もの連判と壺割が頭に残っているから向こうは動揺するだろう。

「最後に正邪。再度こちらの大義を説き、それを以て従えさせろ」

 止めとなるのが信念。

 損得や愛憎を上回る信念を秤にかける。

「この三つを試してみろ。これで落ちなければ仕方ない。警告通り、宣戦布告を行う」

 ここまでしても首を振らないのであれば剣を持つ。

 相手の良心を信じるという真似をユラスは取る必要もない。

「エコノマニックの商人どもは調子に乗りすぎた」

 ユラスは締めとしてそう前置きし。

「一線を越えるとどうなるか、そのことを奴らに教え込んでやれ」

 エコノマニックとその同盟国に対して事実上の討伐命令を下した。


 ベッドの上で秘書に書類を読み上げさせていたユラスの目が、一点を凝視したまま動かない。書類には反サンシャイン同盟が結成されたことが記されていた。

「六大王を至急召集しろ、場所はカルバート城だ」

 という命令が秘書へと伝えられる。

 と、そこまで承った秘書だが、次のユラスの行動を見て目を見開く。

 何とユラスはベッドから身を起こし、身支度を整え始めたからだ。

「陛下! 何をしてらっしゃるのでしょうか!?」

 秘書が驚くのも無理はない。

 ユラスの容体は日に日に悪化、ほとんどの臓器の機能が低下している影響で流動食しか胃が受け付けない状態。

 意識があるだけでも奇跡なのである。

「何を言っているんだ? もちろんカルバート城へ向かう準備だが」

 長いことベッドにいたはずなのにユラスの立位はしっかりしている。

 顔の青白さがなければ重病者だと思わないだろう。

「陛下、無礼を承知で述べますがお休みください。彼奴等は六大王で対応しましょう」

「ふざけたことを言うな、ガドウィン」

 秘書であるガドウィンの懇願に対しユラスは叱咤する。

「一国を相手にするわけではない、複数の国が結束しているのだぞ? だったら複数の王を従える俺が出張るべきだろうが」

 これは六大王レベルで対応できる問題ではない。

 もっと上、つまり彼らを統率するユラスが対処しなければならない。

「……」

 ガドウィンはユラスの強い意志に沈黙する。

 ユラスとの付き合いが浅い彼にとって、ユラスの怒りを買ってまで止めるという選択肢はない。

 彼の前に立ち防げるのは数人しかない。

 その数人の一人が。

「予想通り行こうとしていたな、陛下」

「フレリアか……」

 六大王の一人、フレリア=ヴァルキュリア。

 ユラスが傭兵時代のころからの既知である。

「陛下、横になっていろ」

 ぞんざいな口調でそう言い放つ。

 無礼なことこの上でないが、ユラスとフレリアの関係を鑑みると当然と言えた。

「ここは私達が対処する」

 使命に燃えたユラスに対し、面と向かってそう言えるのはフレリアだけだろう。

「……クツクツクツ」

 フレリアの真摯な瞳を数秒間見つめたユラスは喉を鳴らす。

「その輝き、その意思。出来れば俺のモノにしたかった」

 これは冗談でも皮肉でもなく、ユラスの本心。

 大地を幾度となく舐めてきたユラスにとって戦女神の如く振る舞うフレリアは羨望の的であった。

「残念だが私はレンカ=シノミヤ様に忠誠を誓っている」

「ああ、理解している」

 フレリアの宣言に対し、ユラスは複雑な感情を抱く。

 前国王――ケイスケ=シノミヤの孫であり、あらゆる人物を味方につける特異な才能を持つレンカ。

 ユラス自身、彼女に嫉妬を覚えなかったのはレンカに取り込まれていただろうかと今更ながら考えた。

「フレリア、お前の働きは立派だった」

 氷上を引き締めたユラスはそう口を開く。

「併呑して間もないボルトマン帝国とその同盟国。大胆な改革に加え、多数の兵を徴収したにもかかわらず反乱を起こさせず、テロを発生させなかったお前の活躍は六大王随一だ」

 レラクや翡翠達の派手な活動に目が行きがちだが、フレリアはフレリアで立派に活躍していた。

 他の六大王が後顧の憂いなく戦えるよう裏の戦いを一身に引き受けていたのは彼女である。

「私は私の本分を果たしたまでだ。褒められることではない」

「謙遜も行き過ぎると無礼になるのだが、本心で言っているのならまあ良いだろう」

 と、ユラスは前置きした後に。

「フレリア=ヴァルキュリア。お前を次の皇帝にすると告げたらどうする?」

 初めて語られた後継の話。

 ユラスはこれまでの間、一度もその話題を口にしていなかった。

「…………私には荷が重すぎます」

 さすがのフレリアもこの話題には躊躇する。が、聡いフレリアはすぐに答えをだし、己の器の限界を知って辞退の意を伝えた

「私の本分は護りです、民を導く素質を持っていません」

 フレリアの脳裏に浮かぶのは亡きトート国のこと。

 確かにフレリアはトート国を護り通してきたが、それ以上のこと――発展はさせられなかった。

 ゆえに民を厭戦気分に陥らせ、抵抗しない方が良かったのではと思わせてしまったのは痛恨の極みである。

「私はレンカ=シノミヤ様を推薦します」

 代わりにフレリアは忠誠を誓ったレンカの名前を口にする。

「もしあの方が上に立つのであれば私は微力ながらお手伝いしましょ――」

 そう言ってから気付いた。

 ユラスの表情はしてやったりをしている。

「俺も同意見だ」

 ユラスはフレリアの肩を押しのけながら賛意を示す。

「俺も次代の皇帝にはレンカが相応しいと考えている。そうであるがゆえに俺は行かなけばならない」

「待て! ユラス!」

 ユラスの思惑を知ったフレリアは血相を変えて彼の肩を掴む。

「もしかしてお前は死ぬ気か!?」

 ただでさえ重病な状態。

 これで長時間移動し、戦場の指揮を取ろうものなら確実に寿命を縮める。

 その場で果てる可能性もあった。

「……」

 フレリアの詰問にユラスは応えない。

 が、フレリアの手を払い除けるユラスの手を力強い意志に満ちていたと追記しておこう。

「……」

 蚊帳の外に置かれていたガドウィンは硬直したままだったが、後日脚光を浴びる。

 ユラスが次代の皇帝を指名した。

 その事実を保証する証人となったのだから。


「我は大陸を統べる皇帝――ユラス=アルバーナ! 天に背く賊軍どもよ! 至急降伏せよ!」

 衰えを感じさせない、大音声の響きが全てに響き渡る。

「すでに流れは止められぬ! 大陸統一に異を唱える者は誰もが無残な末路を遂げるであろう!」

 その姿は紛れもなく全盛期のユラス=アルバーナ。

 レルムント地方を統一し、ボルトマン帝国を併呑した彼そのものだった。

「陛下……」

 その雄々しい後姿を涙なしに見られない者がいる。

 ステラステラ=ファンカである。

「陛下をお慕いして、私は本当に幸せでした」

 思い起こされるのは三日前の記憶。

 六大王全員が集結し、そして彼らの指揮をユラス本人が作戦を宣言した時のことである。


「そんなこと、許容できません!」

 ステラステラや翡翠は勿論のこと、六大王全員がユラスの作戦に異を唱えた。

「同じことを繰り返すのは好きじゃないのだが、まあ良いだろう」

 肩を竦めたユラスはそう前置きして再度述べる。

「此度の戦、一日目は俺とその配下の兵だけで良い。お前達六大王とその専属兵は後方で待機しておけ」

 三日後に控えた天下の大戦。

 敵味方合わせ、総兵力百万人という未曾有の規模に対し、その初日をユラスだけで戦うというのだ。

 こちらの兵力の合計は五十万だが、六大王の連れてきた兵を除くと約三十万。

 つまりユラスは五割強の敵と戦わなければならない。

 状況を整理しよう。

 初日なこともあり、敵は無傷、ちょっとやそっとのことで指揮系統が乱れることはあるまい。

 対するこちらは、際立って有能なのがユラス唯一人であり、他の指揮官は有能なれど六大王と比べると明らかに劣る。

 さらにユラスの兵は最近徴収したこともあり鍛錬度も忠誠心もそう高くない。

 場所は平野ゆえに地の利は見込めそうもない。

 そして止めとばかりに兵力の彼我。

 一日どころか半日もつか怪しい惨状である。

「自殺行為という表現が適格だな」

 レラクが思わず漏らした本音が六大王の本音を表していた。

 が、四面楚歌に陥ろうとも「はい、そうですか」と取り下げるユラスではない。

「これは勅命だ、何人たりとも逆らうわけにはいかん」

 論戦する体力と時間すら惜しいと言わんばかりに二日目について述べようとした。

「陛下、もしレンカ=シノミヤ様がこの作戦を知ればどうなるでしょう?」

 やむなくステラステラはレンカを引き合いに出し、翻意を促そうとしたが。

「……レンカ様の伝言によりますと『ユラスが何を言っても黙って受け入れて下さい』とのことです」

 誰よりもユラスのことを知るレンカは彼が何をしようか察知していたのだろう。

 ゆえに全般の信頼を込めた伝言をフレリアに託し、レンカ自身は帝都で祈りを捧げていた。

「お前達の不安は最もだ」

 反対の意思が消えうせたことを察したユラスはそう口を開く。

「ゆえに条件を付けよう……一万だ、概算で約一万の兵が後方へ逃亡すれば勅命を解く、自由に行動しろ。そして、俺から一言述べさせてもらおう――俺は置物ではない! 飾りとして生きるぐらいならいっそこの場で殺せ!!」

 獅子吼を彷彿させるユラスの叫びに対し、この場に集った皆は心を動かされずにいられなかった。


「それが貴様らの言い分か! よかろう! ならば剣と魔法で決着をつけようではないか!」

 ステラステラが現実に戻されたのは相手の宣告が終わってからだった。

「陛下――いえ、あなた、お許しください」

 彼女は涙を流しながら懺悔する。

 これまでの間、ステラステラはユラスがどんな無茶をしようとも追認してきた。

 それが最もユラスが望むことだと知っていたからである。

「妻として、人間として私はあなたが死ぬのを許容できません」

 ステラステラはユラスを心から愛している。

 愛しているがゆえに、どんな悲惨な未来が己に待ち受けていようと構わない。

「例え逃亡兵が一万に満たないでいようと、あなたに危険が及ぶようなら私は独断で行動します」

 命令違反のため処刑されても良い。

 ただ、ユラスが生きてくれるのならステラステラは喜んでこの命を捧げるつもりだった。


「……」

 レラクは黙っていた。

 彼をよく知らない者から見ると、不機嫌極まりないのだと恐れるが、ミランやキルナを始めとした知己の者はレラクの信条を察知できる。

「……勉強になるな」

 そう、レラクは学んでいる。

 満身創痍な状態で五割強との敵と優勢に戦いを進めるユラス=アルバーナを手本として身に付けようと必死になっていた。

「あんな戦法をにわか仕込みの兵で行えるのは陛下一人だろう」

 レラクの目に映っているのは、陣内に入り込んだ敵を消化する光景、そして味方が突撃し相手の脇腹をえぐりこむ二つの光景。

 ユラスは陣内に人の迷宮を構築し、ある程度の敵を誘い込んで閉じ、料理する戦法を取っている。

 意気揚揚と攻め込んだ敵兵は逆に四方八方から攻撃されて瞬時に骸となる。

 それを防ぐために敵は騎兵や魔導士で破壊しようと画策するが、騎兵や魔導士をわき腹からぶつけられて混乱する始末だった。

 当人達は気付いていないが、一歩離れた箇所にいる六大王や敵の首脳はこの異様な光景に身震いする。

 一体何が起こっているのか。

 何故名将とベテラン兵が揃わなければ成り立たない高等戦術が繰り広げられているのか。

 彼らは眼前の難問に頭を悩ませていた。

「時間と状況を区切っているんだよ」

 その中で最も理解しているのがレラク。

 彼は半ば独白気味に語り始める。

「いくら二流指揮官でも命令されたことぐらいは実行できる。恐らく陛下は各指揮官に事前命令を出しているのだろうな」

 何時になったら、または敵兵がこれだけ集まれば陣を割って中に誘い込め。

 そういった具体的な指令を予め出しておけば、ぼんくらでもそれなりの働きが期待できる。

「けど、命令以外のことをされたらどうするの?」

「ミラン、それをさせないために陛下がああいう風に動いているのだろうが」

 ミランの問いかけにレラクは呆れ気味に答える。

 ユラスは陣内を縦横無尽に駆け巡り、遊兵を率いて戦場をコントロールしていた。

「思い通りになるよう声を出し、兵を動かしている……次はあそこが空くな」

 レラクがそう指摘してからしばらく後、彼の言葉通りそこが崩れて敵兵がなだれ込み、後はローテーションの如く殲滅された。

「どうして分かったの?」

「キルナ、そうだな……何となく、戦場の全体を見まわすとあそこに淀みがあった」

 レラクらしくない抽象的な言い分にキルナは首をひねる。

「俺もどう説明していいかわからん。とにかく陛下は戦場を作っているとしか言いようがねえ」

 その自覚があったせいかレラクはそう付け足した。

「ねえ、レラク。あなたもあれが出来る?」

「馬鹿かお前? 出来るわけねえだろ?」

 キルナの茶目っ気がきいた問いかけに間髪入れず応える。

「右翼だけや左翼だけといった局地戦なら可能性はあるが、全体となると不可能だ」

 レラクが可能なのは一部分を注釈して予測することのみ。

 ユラスのように全体を俯瞰し、かつ徹頭徹尾予測する芸当など誰にも真似できなかった。

「やろうと思えばできるのね……」

 レラクは否定の中に、縮小版なら可能だという旨が秘められていた。


「――レラク殿こそ陛下の後継者」

 そんなレラクを見やりながらリーエンノールは思う。

 この中で――いや、大陸においてユラスに近い存在は間違いなくレラク。

 その証拠にユラスの思惑の片鱗を誰よりも早く掴み取った。

 彼を頂に据えれば必ず大陸を統一するだろう。

 己を含め、全員がレラクを支えれば陛下を越える存在となれる。

「少し考えておきましょうか」

 レラクが皇帝。

 キルナとミランが補佐をし、己は裏から守る。

 そんな未来を考えるとリーエンノールは年甲斐もなく血沸き肉躍る感触が湧きたってきた。


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