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第31話(最終話) 期間は短くとも豊富な研修

空港に戻ってきて、最後の名残惜しい思い出を胸に日本に帰国。短期間で燃えるものは予想以上の多かった。


タンソニャット国際空港に到着後、すぐに出国手続き、既にチェックインした後のチケットを持っているので、スムーズに事が進んだ。


この時間帯は、大阪の関空をはじめ成田や名古屋行きの便が集中する関係で、多くの日本人の姿が見られ、中には、先ほどまで買付けを済ませた“ビックC”と思われる緑のビニール袋をもった人も何人かいるのだった。


1時間近く時間があったので、とりあえずレストランエリアへ。

日本料理の店も気になったが、結局、3日前にバンコクに旅発つ前に立ち寄った、カフェでタイガーの生ビールを飲む事にした。


席には、ほとんどが日本人の姿またマスク姿もちらほら・・・。

店長と料理長の2人が乗る便より40分ほど早い、“名古屋”行きの人たちであった。


残りわずかな時間を、ビールを飲みながら静かにすごす。先に名古屋方面の賑やかだった日本人のグループは去り、少し静かになったが、「今回は短期間でも結構回れたので、近々また行こうね」と2人で確認しあうのだった。


やがて出発の時間。搭乗口ロビーに向かうと、多くの人が待機していた。

ひときわ賑やかな集団がいた。

大阪行きとソウル行きの2つの待合の場所となっていたため、韓国人のグループのようであった。

賑やかだけではない、女性のある年齢以上になると、何者かに統制されているかの如く、同じようなモジャモジャのパーマ姿。

「確か2年前のプサンまでのフェリーの中にもこういう集団がいたなあ」

店長が思わず思い出すのだった。


ふと、違う方向を見ると、どこかで見た事のある老夫婦。

何と、行きのベトナム行きでビジネスクラスに颯爽と乗り込んだバブルの夫婦であった。


行きと比べて、旅の帰りのためか若干疲れた表情をされていたが、行きと同じ白髪で白い服装の優雅さは、寸分たりとも衰えていなかった。


偶然にも行きと帰り同じ飛行機と言うのも驚いたが、どこへ旅をされていたのだろう。

恐らく比べられないような豪華な旅だったのかもしれない。

そんな勝手な想像を巡らせていると、いよいよ搭乗時間。バスに乗り込み飛行機に乗り込むと、やや寂しさを感じるのだった。

機内は、日本から海外渡航が控えられているためか、空席が目立っていた。

やがて予定通りベトナムの夜景をバックに日本に向けて飛び立つ。

そのまま、就寝モードを経て、早朝の5時ごろ(日本時間)には、機内食の朝食が出てきて、どうやらもう日本の領空には着ているようであった。


飛行機は徐々に高度を下げ、ついに関空に到着した。

機内から外に出ると、異常なまでのマスクの集団が、歩いていたり、検疫のところでいつも提出する紙に加えて違う紙を書かされたりするのだった。


いつも以上に、旅行者が少ないため荷物もすぐに見つけることができるのだったが、ツアー客も少ないのか、初めての海外旅行の方からの鋭い質問にあたふたする関空職員の姿も結局見受けられなかった。


インフルエンザの問題で、そちらが強化されているためか、最後の税関では少し軽く感じた。

が、同じような国に何度も出歩いているので、少し質問があったのは確かであるが・・・。


最後に、荷物を宅配便に預け、南海電車に乗り込む。いつもなら「終わった」と落胆の表情になる店長も、短期間だったためか、それほど暗い表情ではなかった。


難波に到着。店まで歩いて帰る予定であったが、手荷物も予想以上に多く、料理長が「タクシーで帰りたい」とダダをこねるので、タクシーに乗り込み、朝の仕込みの忙しい大丸屋さんの前に戻った。


つまりは、無事に今回の研修を終えるのだった。


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