96話 天魔の軌跡
剣王に宿る天魔の記憶––––––––––––
永楽帝亡き後、何代も受け継がれてきた一人の皇帝の下へと2人の子が授けられた。
名を、「王鳳」と「王魔」と名付けられる。
両者の共通点は、『支配の権能』を有すること。
しかし決定的に異なっていたのは、善悪の思考。
王鳳は民のため、他者のために授けられた権能を行使するのに対して、王魔はあまりにも命をぞんざいに扱うことを好いていたのだ。
両者の父である皇帝は、王魔の将来を危惧し、当時最も信頼を置いていた家臣の一人に王魔を託すことにした。
争いから縁のない穏やかな土地で育ち幸せであることを望み、願わくば、息子から感じた何かが杞憂であって欲しいと。
しかし皇帝の望みとは対極に、家臣だった者は、南側で勢力を拡大し続けている魔教へと与することとなる。
魔教では、永楽帝の時代に魔教を発足させた存在を「初代天魔」と呼称し、以降、天魔の称号は皇帝同様に受け継がれ続けていた。
故に、魔教において天魔とは最強の存在であり、そうでなければならなかった。
しかし、突如現れた剣技を極めし一人の男に当時の天魔は敗れ去った。
そうして天魔のみが扱える秘技『玄天魔功』を幼子であった王魔が偶然にも継承したのだ。
歴代の天魔の力は凄まじいものだったが、その全てが中華の支配を成しうる器には在らず、『玄天魔功』と『支配の権能』を有する王魔こそが魔教が中華の王の座に登り詰める真の天魔であると祭り上げた。
しかし先代天魔を討った剣王の力は王魔改め天魔よりも凄まじく、こともあろうか邪道の道を歩いてきた魔教と皇帝派の共存を唱え始める。
その思想の根幹を成すのは––––––「平和」。
争いを好む魔教にとって、それは鼻で笑ってしまうような愚言。
次第に魔教は剣王派と天魔を祭り上げる派閥とに二分化していくことになるのだが、当の天魔は剣王の生き様と圧巻の強さに絆されてしまう。
そうして魔教は外見のみは一極しているように見えていたのだ––––––『天魔神教』が発足するまでは––––––––––––
『天魔神教』は、かつて皇帝の家臣であり、王魔の育ての親である者が実質的な首領となり、王魔へ売った恩を使い、水面下にて中華を自らの支配下に収めつつあった。
当然剣王に悟られることとなり、首謀者である王魔の育ての父は斬首––––––––––––しかし、剣王にとって唯一のイレギュラーとなったのもまた天魔であり、父を殺された怒りで妙と勇剣緒の結婚の祝い式を破壊・・・『支配の権能』で育て上げた『玄天魔功』を持ってして剣王を含めた魔教の全てを破壊した。




