90話 英雄の資格
流星が去った後、王鳳の人格が宿る肉体は眠りに落ちる。
「そ、その、彼のこと随分と気に入っているようだけど、一体何を話していたの?」
「知らない方がいいこともある」
「貴方が私の先祖ってことはもう知ってるんだし、今更だと思うのだけれど・・・・・まぁいいわ、それよりもまた会いに来てくれるかしら?」
「どうだろうな、あの者には使命があるからな」
「それは何・・・?」
王鳳はその問いかけに少しの間沈黙で答える。
「・・・・・私にも分からない」
王鳳は自身の発言に思わず笑みを浮かべる。
「王優よ、お前にはあの男がどう見えた?」
王優が流星と接触したのは、故宮博物院へと流星たちが来てすぐの頃。
それ以降は常に王鳳の人格となっていたため、もっとイケメンを拝んでいたいというのが王優の本音であった。
しかしあの時、顔のカッコ良さ以外にも感じ取れたことがある。
「・・・寂しそうに見えた。どんな事情を抱えてるのか分からないけど、色々な感情がひしめき合う中で、その中心は寂しさに染まっているようだった」
王優のジョブの力は『医師』による万能の回復術であり、他者の精神を覗き見するといった超能力は有してはいない。
しかし、先祖である王魏がそうであったように、他者の内に秘める思いを感じ取る術に非常に長けているのだ。
もちろん引き継がれてきた素質とも言えるが、王優は臆病な性格が故、常に他人の様子を伺って育ってきた。
そのことが、他者には真似できない領域へと至ることを可能としたのだ。
「だからこそ、奴と共鳴したのやも知れぬな」
「どういうこと?」
「––––––あの者こそが今世の英雄になるに相応しいということだ」




