83話 創造主
青海省の崑崙山脈。
故宮博物院から南西方向に直径約3,000km行った地点に存在している広大な山脈地帯。
この場所にはいくつものダンジョンが存在しているのだが、大抵の者は荒れる天候の中立ち入ることを断念せざるを得ないために、ダンジョンバーストによって流れ出たモンスターたちが山脈の至るところに散ってしまっている。
遭難すれば、聖人級ハンターであったとしても3日保たないほど。
それほどにモンスターは山脈に満ちる高濃度の魔力によって強化されており、常に猛吹雪が吹き荒れている。
そんな危険地帯のど真ん中に、優雅に佇む2人の男の姿があった。
一人は白髪の高身長で学ランのような見た目と色をしているスリムな服に身を包み、もう一人は、灰色の髪色を際立たせる真っ黒な毛皮のコートをマントの様に肩にかけ、正面は筋骨隆々の筋肉を堂々と見せびらかすという何とも奇抜なファッションをしている。
「それ、寒くないのかい?」
「この程度なんてことはない」
「クーかっちょいいね」
「お前も似たようなもんだろ」
「いやいや、僕は炎系と氷雪系の魔法を持ってるからね。君のその異常性とは全くの別物さ」
「それで、俺に何か用か?」
「いや、今や滅多に剣を抜かない君が、こうも感情的に剣を振るう姿なんて中々見られないからね」
現在2人の足下には、日本レベルで例えると特魔級に匹敵するレベルのモンスターの死骸が無数に存在している。
これらは全て、たった一人の男の気まぐれでなされた所業。
「全く、魔力を一切使わずにこんな真似、僕にすらできないよ。いや、他の『神託者』にもできないだろうね」
「それはどうだろうな」
「どういう意味だい?」
「––––––万里の長城が攻略された」
「まさか––––––––––––」
「俺が嘘をついてるってか?」
「い、いや、だけど・・・・・あのダンジョンは君の全力が注がれているんだろ?」
「ああ。この『剣王』のジョブに相応しい領域に到達した暁に創造したダンジョンだ––––––––––––––以前、『天魔』のエピックルーンを奪ったあの日本人ハンターですら単体での攻略は不可能なはずだったんだが・・・・・・」
「あぁ、確かナイスなボディなお姉さんだったね。もし奪われてなかったら、僕の『天魔』は完全なモノになってたっていうのに残念だなぁ––––––––––––で、ダンジョンを攻略したのが誰なのか、分かってるのかい?」
「単独ということだけだ。詳しいことは美と飛に聞けばいい」
「そんなに楽しそうな君を見るのは久しぶりだよ」
「ああ、会える日が楽しみだ」
こうして密かに、中国最強の名を冠する2名の存在の興味が流星へと向けられるのだった。




