80話 万里の長城(3)
ダンジョンに足を踏み入れた途端、道となっている地面のあちこちから無数のモンスターが出現して先を覆い隠す。
モンスターの種類は多種多様。
獣型もいれば、人型モンスターまでもが揃っている。
背後のゲートは完全に締め切られた状態で、俺は目の前のモンスターと向き合う。
「まずは肩慣らしといくか」
モンスターの種類が多いということは、それだけ扱われる属性攻撃も多いということ。
案の定、多様な属性を織り交ぜた魔法攻撃とともに迫り来るモンスターの群れを、一度の横なぎで全て消失させる。
「この程度じゃ、切った感触すらしないな」
そのまま地を蹴り加速しながら際限なく出現するモンスターたちを白魔気を一切使うことなく薙ぎ払っていく。
『流星闘鬼』を獲得してから、以前とは全く違う軽やかな感覚で剣を振ることができるようになった。
それでいて、以前とは比べ物にならないほどの威力。
皇帝たちの試練前も、白魔気を使えば同程度の力が発揮できていたが、今の状態は『闘神』はおろか、白魔気すら使っていない。そして、技の洗練具合が段違いに向上している。
まぁ当然と言っちゃ当然か。
今の俺は常時、白魔気を使用した『白魔体道』時よりも全能力が大幅に増幅しているんだから。
それだけじゃない。
皇帝たちの試練を通じて、システムには表示されてない俺自身の技術も成長している。
このダンジョンは先に進めば進むほどモンスターの強さが増していく仕組みになってるらしい。
けど、俺には全く関係ない話だ。
正直、特魔級ですら単独攻略できる自信がある。
「もう少しペース上げるか」
今で大体、高速道路を走行している車と同じか、少し速いくらいだろう。
このペースでいけば目標の24時間でギリギリでゴールできるくらいだと思うが、まだまだウォーミングアップにすらならないレベル。
時速300kmくらい出してもぶっとうしで24時間は余裕で保つ。それどころか、そのペースなら10時間程度で攻略するかもな。
まぁ、早ければ早いほどあいつらの度肝を抜けるだろうし、俺に剣聖の力が宿ってるなんて記録を見ただけじゃ誰にも分かんないだろう。
俺は外にいる奴らの度肝を抜かれた姿を想像しながら、無心に聖剣を振り続ける。
中には上魔級ボスに匹敵するようなモンスターもいたような気がするが、今の俺にとっては全てが一撃。




