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記憶喪失剣聖  作者: 融合


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74/104

73話 五大皇帝:第一の試練

 『剣聖の記憶』

 五大皇帝:第一の試練

 今いる場所は、西と北西の間––––––西北西に位置する仙善の保有する城内。

 皇帝が増すごとに統治する領土は区分されていき、今では西から東にかけて領土を5分割している。

 そしてそれぞれの領土には、紫禁城へと繋がっている扉がいくつも存在し、そのすべてに転移の力が備わっているとのこと。

 これは、『魔教』を危惧した上で、皇帝が分散しないように配慮した結果で、さらにいざというとき臨機応変に各国へと対応するための措置だと言う。

 そして、転移先は皇帝の意思で自由に決められるというなんとも使い勝手のいいモノ。

 それで連れてこられたのが山頂に位置するすでに廃墟となった城というわけだ。

「––––––––––––わしの下では、「体道(たいどう)」の習得を試練とする。体道とは、肉体的強さと洗練された動作とでも言えば分かりやすいかの」

 

 『体道』とは、仙善独自に名付けた技術の名称のようなもの。習得に至るためには、何モノにも負けない神の力より得られし鋼よりも強靭な肉体を身につけ、洗練された無駄のない動きを定着させる必要がある。

 当然『体道』を完全に習得しているのは仙善のみであるものの、動作においては力なき者たちでも習得可能な技。

 

「お前には、わしに続く2人目の体道使いとなってもらう」

「––––––でも、そのためには神の力が必要なんじゃ・・・」

「そうだな。わしはまだこの通りピンピンしてるし、天帝様と先代より受け継いできた力を譲ってやる気はない。だがのぉ––––––––––––」

 静かに音もなく皇帝の拳へと真っ白なオーラのようなモノが纏われる。

「この力を繰り返しぶつければ、お前の肉体を神域なモノに組み替えることも可能じゃろ」

「ッ!?––––––––––––クッ」

 俺の視線が仙善様のニヤける口元へと向けられた瞬間、腹部へと強烈な衝撃が走るとともに、気がつけば城外へとふき飛ばされていた。

 周囲には広大な緑色の自然溢れる景色が広がり、他の建物や人の姿は一切見られない。

 なんとか体勢を立て直すことに成功し、勢いよく地面へと着地する。

「あの高さから放り出されたのかよ・・・・・・」

 城の高さだけでなく、崖––––––山の高さも含めれば、富士山と同程度かそれ以上の高さ。

 その高さから落ちてなんともない俺の足は最早異常––––––いや、それほどまでに防御力が成長していながらかなりのダメージを負わしてきた仙善様こそ異常なのか。

「––––––––––––凪星。今のお前は無駄な動きが多すぎるのぉ。視線一つとっても、何を警戒しているのかが丸分かりじゃ」

 そうは言っても、俺は仙善様の拳から視線は一切外してなかった。

 それなのに、いつの間にか腹部へと拳が放たれていたんだ。

「人間は重心の置く位置や角度、予備動作や呼吸法などによって無駄を生んでおるのだ」

「なら、どうすればその無駄をなくすことができるの?」

「よく聞け小童! わしはこれから毎日お前を殴り続ける」

 突然のことで俺の思考は一瞬置いて行かれそうになる。

 こんな重い一撃を幾度となく食らう未来に対する恐怖心。

「体道とは日々の生活、わしとの戦いの中で身につけてゆけ! だがの、防御することと反撃は許さん。避けることは許す」

 圧倒的無茶な提案。

 けど、剣聖はこの試練を乗り越えたからこそ、「剣聖」と呼ばれるほどに強く、そして偉大な存在となれたんだろう。

 それに・・・あの時の『天魔』の攻撃はもっと重かったし、絶望するほどの恐怖を与えられた。

 これが単なる記憶だと思って流れに身を任せるのは簡単なことじゃない。

 俺は、この時代を生きていると思えるほどに景色も、音も、匂いも、痛みも鮮明に感じている。

 どうせ地獄を味わうっていうんなら、システムから与えられる恩恵以上の技術や知識を存分に吸収して自分自身の糧とするんだ。

「いい目つきだ」

 この痛みをしっかりと身に刻むことで、俺は俺自身も、システムも想像しないほどに強くなってやる。

「お願いします!」

 こうして仙善様の試練は始まった。

 

 最初の2日は記憶がないほどに打ちのめされた。

 まともにご飯が食べられるようになったのは3日目から。だけどそう簡単な話じゃない。

 戦闘訓練というか、サンドバック訓練以外の時間は主に動作の特訓に重きを置くことになり、少しでも無駄が生じていると遠慮なく拳骨が飛んで来た。

 どうして廃墟の城なんかを試練場に選んだのか––––––その理由がなんとなく分かる気がする。

 後何日かかるかは分からないけど、城の方は俺が『体道』を身につけるまで保ってくれるだろうか。


 そうして4日、5日とこなしていくに連れ、体に変化が訪れる。

 肌色の皮膚の内側に、白と黒の光が宿り始めたんだ。

 これが『体道』の効果かとも思ったけど、仙善様も俺と同様に衝撃を受けていた。

 ついでに言うと、記憶上の人物には黒い光の方は見えてはいないらしい。

 つまりこの光は白気=白魔気ということになる。

 

「小僧––––––––––––お前、どこで神の力を手に入れた?」

 

 曰く、神の力とは、「純白」なのだと言う。

 確かに、基本的にただの魔力の色は無色であるため、白気とは異なる。

 

「分からない・・・・・ただ、村のみんなが殺されて、夢中になって敵と戦ってたら使えてた」

「面白いのぉ。出会った頃とは明らかに雰囲気が違う。拳に当たる感触も––––––––––––それだけじゃない。小童め、わしの攻撃が見えておるな?」

 どこか楽しげな仙善様。

 その通り。俺はすべての攻撃が見えている。

 そのおかげでわざと攻撃の起動を少し逸らしたりなんかもできるようになってきた。

 みるみると動きが洗練されていく気持ちよさを実感している。

「凪星! なんの小細工もせず、真正面からわしの全力を受け止めてみろ」

 そう言うと、仙善様から感じるエネルギーが爆発的に増加し始める。

「楽しいぃのぉ、凪星」

「––––––はい!」

 俺は全力で白魔気を内側へと流し込むと、覚悟を決める。

 そうして放たれた一撃は、俺の腹へと直撃。

 正直顔が歪みそうなほどの痛さだ。

 臓物がすべて出てきそうな感じもする。

「クッ––––––––––––耐えれ、ましたよ」

 俺は勝ち誇った表情で息を切らせながら言葉を発する。

 内心は、立っているのもやっとなほど。

「よくやった」

 


 <仙善の試練を達成––––––––––––スキル『体道(常時)』 『白魔体道』を獲得––––––––––––『体道(常時)』を『白魔体道』へと統合––––––『聖道』へと進化>

 


 <『聖道』・・・『体道(常時)』を習得したことにより、常時「体力」「武力」「防御力」「敏捷」「技術」ステータスがそれぞれ30%上昇––––––『白魔体道』使用時には、更に全ステータスが40%上昇する––––––気(エネルギー)の流れを視認することが可能>

 


 マジか・・・・・つまり、俺はまだシステムの40%も解放してないのに、中国に来る以前と比較してその倍近く成長したことになる。

 正確には、「戦闘時」においてと言っておこう。

 戦闘時だと、『聖剣の恩恵』の効果で全ステータスが30%上昇。そして今回の聖道の効果を加えると、MAXでステータスを100%上昇させることが可能ってことだ。

 加えて相手の気(エネルギー)を視認できるという点。

 俺は、今回の記憶の再生を通して、相手の内に流れる魔力の軌道を感じられるようになった。だけど、正確にはそれは魔力ではなく、気と言われるものだったんだろう。

 そして聖道を得たことで、曖昧な感覚ではなく、正確に相手の動きを行動に移される前に対処することができるようになったということ。

 これはゲームで言うところの、よりPS(プレイヤースキル)が生かされる仕組みになったということだ。

 

 相変わらず追加ポイントは貰えなかったけど、確実に成長できている。

 

 【ステータス

 

 称号:【記憶喪失剣聖】【メテオ】

 ジョブ:『剣聖見習い』

 スキル:『×10のポイント増加』『白魔気』『聖剣メテオ』『聖剣の恩恵』『絶歩』『聖道』

 

 体力:15632

 武力:15326

 防御力:12846

 敏捷:15103

 技術:14283

 運:15340

 魔力:13135

 

 『メモリーツリー:25%「32P」』】

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