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記憶喪失剣聖  作者: 融合


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64話 再会×躍動

 地上より姿を見せた雷の柱がダンジョン核に直撃すると、核の破壊とともに徐々にその姿を露わにしていく。

 その様子を歓喜の様子で眺めるカンバル。

 それは配下を復活させる時には見せることのなった長年の友への愛。

 周囲の環境のことなどお構いなしに、1人幸せな瞬間を迎えていた。

「久しぶり––––––カモナエル。また会えて嬉しいよ」

 天から注がれる白銀の光が止みその場に立っていたのは、全身へと白と黒の縦縞が刻まれた存在。

「––––––––––––––中々に悪くのない気分だ」

 ゆっくりと自身の手足を動かし、感触を確かめていく。

「あれから私はどれほど眠っていた?」

「さぁ、僕も最近目覚めたばかりだから詳しいことはよく分かんない」

「なるほど。ここがどこなのかは知らないが、移り変わった時代の様相––––––––––––忌まわしき人間の気配––––––––––––そして、地上に満ちる魔力の鼓動・・・・・・私はその全てを悦ぼう」

 カモナエルは、己の全身より感じる全ての感覚を通してこれから行き着く可能性を即座に理解した。

「カンバル––––––––––––」

「何?」

「感謝を示そう。再び生を実感することにより、私たちはかつての滅びを終焉(しゅうえん)ではなく、進化の糧であると断言することができる」

 つまりは、滅びる以前よりも高次元の存在に至る可能性を見出したということ。

 そしてその事実は、カンバルも気がついていた。

「僕も今の君の力を目にして確信に変わったよ。復活したばかりにも関わらず、全盛期のような一撃だった」

 カンバルの言葉に対して軽い笑みを浮かべるカモナエル。

「甘いな––––––––––––私は常に君たちのことを考えていたのだ。それは死を待つ直前ですら変わらなかった。これが何を意味するのか、理解できるだろう」

 あまりにも強大な力は、時に仲間すら巻き込んでしまう。カモナエルはかつて己の死と仲間の死を天秤にかけた結果、前者を迷いなく選択した。

「とは言え、私では勇者に及ばなかったが。しかし今世ではその勇者をも凌ぐほどの力を私たちは手に入れることとなる」


 カンバルやカモナエルは所謂「魔力精神体」に近しい存在であるため、『魔力』という名のエネルギーの集合体と言える。しかし単なるエネルギーの集合体ではなく、そこには魂があり、意思があり、肉体となる神のエネルギーが存在している。

 神のエネルギーとは、神と呼ばれる存在のいる次元へと干渉できる力であり、神界と外界とを隔てる次元の壁を構成している要素とも言い換えることができる。それが彼らの肉体であるということ。

 故に魔力に満ちた今の世界において、無限の可能性を秘める存在であるということ。


「再び私たちの世界を創り上げ、いつの日か復活なされたマオウ様をお迎えして差し上げよう」

「僕もそうしたいけどそれってさ、人間を殺すってこと?」

 すでに諏訪湖周辺地域の数多くの生命はその活動を停止している。

 そうでなくとも今更な質問。

「愚問だな。共存を否定した生命に生きている価値などない。これは復讐ではなく自然の摂理だということだ」

 カンバルは思う––––––––––––争いは争いしか生まないのだということを。

 しかしカモナエルも当然そのことを理解しての発言であることをカンバルは承知しているため、これ以上は何も言わない。

「とは言え、私たちはかつての己に遠く及ばない。すでに上の存在にも気づかれたと見た方がいいだろう」

 そのことを考慮して地上ではなく、水中の洞窟でカモナエルを復活させようとしたのだが、あまりにも派手な復活により、カンバルの配慮は全く意味のないものとなってしまったのだ。

「アラフルを復活させ、早急に超越者となるのだ」

 こうして厄災の足音は潜むことなくその大きさを増していくことになるのだった。


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