56話 青の洞窟攻略班
なんだか、メラにしては変なアドバイスだったな。
確かに人と距離を置けば佐々木 神威の印象は徐々に薄くできるだろうけど、リーダーに選任された以上、意識はしてみるがかなり難しいと言える。
不意に、背後から刺すような視線を感じ、咄嗟に振り返る。
「朝っぱらからどこに消えていたんだ?」
「レオナさん!?」
直前まで何の気配も感じられなかった。
いくら『神託者』と言えど、そんなことが可能なのか?
まぁ、この人なら––––––––––––とどこか納得できてしまう自分が怖い。
「俺の部屋にどうしているんですか?」
あからさまに警戒心を抱いていると、何がおかしかったのか笑みをこぼす。
「そう警戒するな。お前は内のリーダーだからな。集合前に伝えておきたいことがあったんだ」
「何ですか?」
「予定では、8時30分のフェリーに乗ってちょっとしたバカンスを楽しむ予定だっただろう?」
「はい。そうですね」
みんなが一生懸命ダンジョンを攻略している時に、自分たちだけ楽しい思いをすることに多少の後めたさはあったものの、本来の沖縄でのダンジョン攻略予定を1日早く繰り上げることになったため、飛行機ではなく、フェリーにてゆっくり鹿児島県へと向かうことになっていた。
「実はな。先ほど丈一郎から連絡があって、沖縄に新たな未登録ダンジョンが出現したらしいんだ」
ここ最近で異常発生しているダンジョン。まさかとは思ったけど、レイド祭中に新たなダンジョンが発生するなんてな。
「場所はどこなんです?」
「青の洞窟だ。正直被害状況など何一つ分かってはいないため、今回は希望者のみを同行させようと思うのだが、どうだ?」
下手に1500人以上を同行させて被害が拡大するケースが最も危惧すべきこと。
「賛成です」
「では早速、皆を集合させてこのことを伝えるか」
「はい」
その後、ホテルのロビーに集合したハンターたちは、レオナさんの話を聞いてワクワクに満ちていた表情をどんどん暗いモノとさせていく。
それほどフェリーを楽しみにしていたってことか。
今回はかなり大型のフェリーな上、費用は全て魔塔連が受け持つこととなる。
まぁ、レオナさんがまた勝手に言い出したことだろうけど、この人には最門さんでも逆らえないみたいだし。
最終的に青の洞窟ダンジョンの攻略班となったのは700人程度。
中にはA級だけでなく、B級やC級ハンターの姿も見られる。そしてみんなが一貫して驚かされたのが、荷物持ちにして唯一、愛久が攻略班に名乗りを上げたことだ。
初めはレオナさんも止めようとしていたが、俺の一声で同行が許可された。
こうして俺たちは、フェリー組を残し、未登録ダンジョン『青の洞窟』へと向かった。




