4話 力試し
【 ステータス
称号:【記憶喪失剣聖】
ジョブ:なし
スキル:『×10のポイント増加』
体力:1000
武力:3000
防御力:1000
敏捷:6000
技術:0
運:5000
魔力:100
『メモリーツリー:3%「10000P」』】
一先ず、今解放可能な球体は全部解放し終えた。
気になるのは、『技術』と『魔力』の項目。
おそらくだけど、『10%:始まり』の球体を解放できれば、それ以降の球体で技術のステータスも上げられるはず。
魔力に関しては、元々魔力の全くない俺でも、いずれ魔法を扱えるようになれるんだろうか?
今のところ魔法はおろか、他のステータスも試すことができていないため、本当に成長しているのか実感が湧かない。
目が覚めたら知らない力が宿っていて、与えられたポイントを手作業で割り振って行くだけの単純な作業。
もしも本当に、この力のおかげで生き残れたんだとしたら・・・・・
「よしっ!」
住んでいるアパートはそれほど大きくはないけれど、10メートル以上の高さはあると思う。
「ゴクリッ」
この力を試してみようとは決めたけど、いざその時となれば緊張で震えが止まらない。
いや違うだろ。
このくらいの恐怖なんて、一を失った時の恐怖に比べれば全然大したことない。
強くなるための一歩を踏み出せ。
「まぁ、そのまま落ちれば確実に死んじゃうよな」
助走ができそうな間隔は約5メートルで、アパートと隣の建物の間隔は約10メートル。
スタートの構えを取ると、できる限り後ろ足へと力を込め、屋上を蹴り上げる。
「へ?」
しかしなぜか体は前に進むのではなく、地を蹴った後ろ足は下へと沈み、視界には星が煌めく綺麗な夜空の景色が映り込んだ。
「うわあぁぁぁぁぁぁぁぁ––––––––––––」
俺はそのまま真っ逆さまに落ち、頭上からは崩れた屋上の瓦礫が降り注ぐ。
あいにくこのアパートにはほとんど住人はいないため、落ちた場所は空き部屋だった。
「––––––––––––あれ・・・・・? 全然痛くない?」
服はあちこちが破けてしまっているものの、目に見える外傷も痛みも全くない。
一度ステータス画面を開き、防御力を確認する。
「防御力がこれなら・・・・・」
すぐに騒ぎを嗅ぎつけた人たちがここへと集まってくるはず。どのみち事故の対応はしなくちゃダメだろうけど、今は、この力を試さずにはいられない。
「ウッ」
高まる感動とともに空へと舞い上がる。
体が軽い。
動けば動くほど、みるみる力が湧いてくるみたいだ。
空を飛んで風を感じる。
生まれて初めて、背負ってきた全てのものから解放され、自由の身になった気分だ。
「フォーーーーーーーーー!!」
強くなれる・・・・・俺は本当に、強くなれるんだ。
「クッ」
なんだ・・・・・?
急に目が熱くなってきた。
<解放条件を満たす『剣聖の記憶』を一定範囲内に確認。『記憶の道標』が作動(※次回以降、解放可能な『剣聖の記憶』が存在すれば無条件で作動)>
メッセージとともに俺の瞳に映ったのは、前方に伸びた赤色の直線。
迷わずその直線を辿っていくと、灯りがほとんどない田舎の地に辿り着く。
「田んぼだらけだな」
一体どこまで来たんだろうか。暗すぎて全く検討もつかない。
ただ分かるのは、赤い直線が、目の前にある十字路の中央を指し示しているということ。
<魂を持つ者が『剣聖の記憶』へと入場>
再びメッセージが現れたと思った直後、俺の視界は突然白く包まれた。




