35話 レオナvs『剣聖見習い』(2)
レオナの視線の先に一点の光が灯る。
それを捉えた瞬間、真っ白な歯を剥き出しにし、満面の笑みが浮かぶ。
「そうでなくてはな!」
0.1秒もない刹那の出来事。
レオナが言葉を発し終わる頃には、両者の刃はぶつかり合い、勢いよく地形を抉る。
「クッ––––––––––––」
間違いなく流星が今出せる全力。
目頭、鼻、そして口から血が垂れる。
––––––––––––限界。
しかし両者の顔には、今この瞬間を全力で楽しむ者にしか生み出せない笑みが浮かべられていた。
一方は、まだ見ぬ未知の世界を知り––––––––––––
一方は、満たされることのなかった欲望を強く刺激されている。
永遠とも思える。いや––––––––––––願う刹那の出来事は、不意に終わりを告げる。
「––––––––––––どうやらここまでらしい」
そう言って先に力を緩めたのは、レオナ。
続いて流星も聖剣に込めていた力を緩め、息を切らせる。
<––––––––––––転職ミッション––––––––––––現在「2/5」>
今回の選択が大きく未来に響くことになれば、流星はきっと後悔する。
しかし、今この瞬間だけは、一切の後悔を感じていなかった。
「これほど楽しい時を終わらせてしまうのは惜しいが、これ以上してしまうと、流石に被害が出てしまう」
辺りを見回すと、2人を中心にまるで半球でもくり抜いたかのように地面が大きく凹み、麓付近は地面が大きく、そして歪に隆起していた。
これ以上互いの覇気をぶつけていれば、死者が出ていたことも否定できない。
「流石は『神託者』の名を授かった方ですね・・・・・そこまで考えが回りませんでした」
流星は言い表しようのない悔しさを抱く。
「夜神 レオナだ。貴様も名を名乗れ」
「・・・・・・」
「どうした? 名がないわけではないだろう。それとも私は、名乗る価値がないということか?」
「いや、そういうことでは––––––––––––事情があって、今この場でこの力がバレるわけにはいかないんです」
「分かった」
レオナは悩む暇もなく即答する。
「私を楽しませてくれた礼だ。だがまた会いたい。だから約束だ」
「・・・はい」
「その事情とやらが片付いたら、必ず私に会いに来い。いつでも待っているぞ」
そのまっすぐな純粋な視線に、流星は思わず笑みがこぼれ落ちる。
「ハハッ」
「何だ? 何かおかしいことでも言ったか?」
「い、いえ。分かりました、約束します。必ず貴方に会いに行くと」
「よし。その時は、名を教えてもらうぞ」
「はい––––––––––––」
そうして流星とレオナは、ゆっくりと異なる方向へと歩き出した。




