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記憶喪失剣聖  作者: 融合


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31/56

30話 上魔級ダンジョン『富士山:溶岩地帯』(1)

 上魔級ダンジョン『富士山:溶岩地帯』

 集まったのは計6名のS級ハンター。

 

 『ヘパイストス』所属 ギルド長:夜神 水––––––––––––ジョブ「炎帝」。


 同じく『ヘパイストス』所属:神田かんだ 創真そうま––––––––––––ジョブ「氷王」。

 

 『魔塔連副魔塔主』柳田 アモン––––––––––––ジョブ「錬金術師アルキミスタ」。

 

 『餓狼ギルド』所属 ギルド長:斑鳩 バクラ(いかるが ばくら)––––––––––––ジョブ『雷帝』。

 

 『ルミナス』所属 ギルド長:桃海ももうみ 美玲みれい––––––––––––ジョブ「舞姫」。

 

 『アルファギルド』所属 ギルド長:熱真ねっしん 明決めいけつ––––––––––––ジョブ「ムードメーカー」。

 

「おいおい、この人数でアレに挑むんじゃねぇだろうな」

「いえ、これで全員です。こちらとしても努力したのですが、他のS級ハンターたちは他の任務にあたっているか、海外に赴いているので連絡がつかないようです」

「とはいえ、雷帝の言うようにこの人数での攻略となると少々不安が残る」

「おい美玲。俺は別にビビってるわけじゃねぇ。ただ現実的に考えて––––––––––––」

「フッ、それをビビっていると言うのでは?」

「あぁ? 喧嘩売ってんのか炎帝さんよぉ」

 炎帝と雷帝。

 2人の間で目には見えない火花が散る。

「少し落ち着いてください。ギルド員が巻き込まれて不安な気持ちはお察ししますが、仲間同士でいがみ合っている場合ではありません」

 アモンが2人の仲裁に入るも、雷帝ことバクラは、ニヤリと嫌味な笑みを浮かべる。

「実力もねぇくせに運もねぇのかよ、おたくのメンバーは––––––––––––」

 直後、バクラの全身が分厚い氷に覆われる。

 しかし脳天から落ちてきた一筋の雷が一瞬で氷を破壊。

「––––––––––––おいガキ。覚悟はできてんだろうな」

「お前こそ、死ぬ準備はいいか?」

 上魔級を前に、誰も事態を収集できなくなろうとしたその時––––––––––––それは突然降ってきた。

「ハッハッハッハッ––––––––––––」

 6名の中央に降り立つ謎の存在。

 着地により生じた爆風により、視界が遮られる。

「––––––––––––雷坊は相変わらずのようだな」

「あぁ? 誰が雷坊だっ––––––––––––」

 眉間に皺を寄せ、声のする方向へと睨みの視線を向けるバクラ。しかし、咄嗟に表情が強張り冷や汗をかく。

「おいおい、マジかよ・・・・・・」

「何か言ったか?」

 突如現れた女––––––––––––夜神 レオナは、恐喝な笑みを浮かべながら皆の前へと歩みを進める。

「よってたかってS級ハンターともあろう者たちが情けのない限りだ。そうは思わないか? 我が愚弟よ」

「ね、姉さん・・・・・これまで一体どこにいらしていたんです?」

 流石の冷静沈着な水と言えども、強情な姉を前にしては、冷静スマイルも緊張を隠すための偽りの仮面に成り下がる。

「くだらん! アモン」

「はい」

「あの男は今どこで何をしている? S級ハンターが規定数集められないのならば、上魔級程度でも奴が出てくるべきだろう」

「仰る通りです」

 アモンは額に浮かんだ汗を一拭きし、軽く頭を下げる。

「ですが––––––––––––」

「何だ?」

「い、いえ・・・・・何でもありません」

 副魔塔主として、魔塔主の立場を守ろうと口を開くも、あまりの圧に口をつぐむ。

「その・・・・・お久しぶりです。お姉様」

「ん? あぁ、『ルミナス』の––––––そういえばギルド長になったという話を聞いたな」

「はい。お姉様のおかげです」

「しかし成長したのは地位や見た目だけだと言うことか。どうやら、お前たちには一度しごきが必要みたいだ––––––––––––ん? 見ない顔だな」

「紹介します。我がギルドに所属しているS級ハンター「神田 創真」です」

「私がいない間に色々と変わってしまったものだ」

「それはもう・・・・・なんと言っても10年以上もお姿が見られませんでしたから」

 水が若干の含みを持たせて発言すると、レオナはそれを見過ごさない。

「何だ? 何か私に言いたいことがありたそうな口ぶりだな。よしっ、お前は特訓の前にじっくりと2人だけで話をするとしよう」

 水は唖然となり、リアクションを返すのを忘れてしまうほどだった。

「そうか。私が帰って来たことがそんなにも嬉しいのか。そうかそうか、可愛いやつめ。だが、今はダンジョンが優先だ。家族水入らずの時間は、その後でたっぷり取るとしよう」

「・・・・・はい–––––––––––分かりました」

 明らかに覇気のない水の返事を聞き流したレオナは、上魔級ダンジョンへと体を向ける。

「もしや、お一人で挑まれるおつもりですか?」

 アモンが褪せった表情を浮かべるも、レオナはキョトン顔で問い返す。

「何か問題か?」

「い、いえ。確かに規定の条件は満たされているので、問題はありません」

 しかし、今の『富士山』は、S級ハンターが揃って尻込みしてしまうほどの威圧感を放っている。

 ほとんどが溶岩で満たされたダンジョンの中央に聳え立つ巨大な溶岩の柱。その周囲には、見たこともない複数のモンスターの姿がある。

「仕方がない。特別に誰か一人を今このダンジョンで鍛えてやろう」

 思っても見ない提案に、明らかに皆の表情が曇る。

「流石にお前たち全員を守りながら上魔級をクリアしなければならないのは私でも難儀だからな」

 それは、モンスターの攻撃から守れないのではなく、レオナの力が強大すぎるが故、セーブして戦わなければならないという話。

「よしっ、お前に決めた!」

 決め台詞のように気合いの籠った声と同時に被害者となったのは––––––––––––

「えっ・・・・・僕?」

 『アルファギルド』のギルド長「熱真 明決」だった。

「ムリムリムリムリムリムリムリ––––––––––––死んじゃうってあんなの! 誰か助けてちょっと、もう––––––––––––」

 首元をがっしりと掴まれた熱真の断末魔とともに、レオナと熱真はダンジョン内へと姿を消していったのだった。

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