12話 『国会議事堂』ダンジョン(2)
「今のは危なかったな。どうしてこんなに目立つ容姿にしたんだよ」
「持ち合わせてた写真がたまたまあれしかなかったからだけど?」
俺は、本来の身長よりも少し高い白髪の外国人。天音さんは、スタイル抜群の金髪美女。
「全くさ・・・・・なんか天音さん、この状況楽しんでない?」
「まぁ、そう言えなくもないかも」
俺たちがやってることの重さを理解してるのかどうか・・・・・先行きが急に不安になってきた。
第一、アレンとミセスってなんだよ。小説の中の人物じゃあるまいし。
まぁ、そんなこと口に出しては言えないけどね。
「それにさ、何でわざわざ付いてきたの?」
「あんたの実力をこの目で確かめるため」
「それなら、もっと安全なダンジョンでも良かったのに」
「早く強くなりたいんでしょ。私は、そんなあんたの覚悟を受け取ったの。自分の安全欲しさに行動なんてできない」
そんなこと言われたら、さっきまで足手纏いだと思ってたことが申し訳なくなる。
「今回は、何が何でも俺が守るよ」
「––––––––––––頼もしいじゃん」
「だけど––––––––––––」
「分かってる。今回だけ」
できることなら、他のハンターの目を掻い潜ってモンスターを大量に狩りに行きたいけど、焦って目立ちすぎるのは良くないな。
次第に緊張感に包まれる中、後方から聞き覚えのある怒鳴り声が聞こえてきた。
「おい。今何つった? この俺の荷物が持てないだと?」
「い、いや、持ちたくても、持てないんだよ」
「荷物持ちの分際でA級ハンター様に楯突いてんじゃねぇぞ!」
「かはっ」
大門・・・・・
その姿を捉えた瞬間、無意識な体の震えと共に、嫌な記憶がフラッシュバックする。
「ねぇ、大丈夫? 流星」
「うん・・・・・大丈夫」
お前は相変わらずだな大門。
わざわざ弱い者いじめするためだけに不要な荷物を持ってきては、いつも荷物持ちに押し付けている。気に触ることがあればすぐに暴力を振るうし、他人を平気で犠牲にできるクソ野郎。
「ちょ––––––––––––」
俺は大門へと近づき、再び荷物持ちに振おうとしていた拳を鷲掴みにする。
「いい加減にしろよ」
「あぁ?」
「見れば分かるだろ。彼らはポーションやら、軽食やら、予備の武器や防具だって運ばなくちゃならない。お前の余計なガラクタを持ち歩く余裕なんてないんだよ」
「何だテメェ––––––––––––クッ」
俺は、大門の拳を握る手のひらに強く力を込める。
「イテ––––––––––––イテテテッ」
俺を囮にした未登録ダンジョンの偽りの功績で運よくA級ハンターになったみたいだけど、所詮お前は負け犬のままだ。
けど俺は違う。
今の俺は、こうしていくらでもお前に痛みを与えることだってできる。
「––––––そこまでだ! アレン。その力は、これから挑むダンジョンのために使ってくれ。ただ、その姿勢は立派だった」
「すまなかった、シャルマンさん。ありがとうございます」
「おい、待てよ!」
ここはシャルマンさんの顔を立てて引き下がろうと思ったが、背後から大門の怒鳴り声が響く。
「このまま無事で済むと思うなよ。ダンジョンでハンターが死ぬことは日常茶飯事だ。ハハッ、せいぜい気をつけるこったな」
「お前もな」
バツが悪そうに去っていく大門。
その悔しそうな後ろ姿をしかと目に焼き付ける。
「フッいい気味」
そんな小さな囁きに、俺もふと笑みをこぼした。




