第99話:【99日目】百日目前夜と、全自動フェス設営
王国軍からの寝返り兵(三千人)については、さすがに村のキャパシティを超えるため、彼らには温かい豚汁と防寒具、そして路銀(お土産)を渡し、「王国のブラックな実態を広めるアンバサダー(広報大使)」として各地に散らばってもらうことになった。
(一部の優秀な技術兵や希望者数十名は、正式に村に採用した)。
そして、99日目の朝。
村はどこかソワソワとした、独特の熱気に包まれていた。
「タクト様! いよいよ明日ですね!」
シルフィが、スケジュール帳(端末)を見ながら目を輝かせている。
「ああ。俺がこの荒野で日めくりカレンダーをめくり始めてから、明日でちょうど『100日目』になる」
プロジェクトにおいて、「100日」というのは非常に大きな節目である。
たった一人と一つのカレンダーから始まったこの村は、今や500人以上の社員を抱え、最新鋭のインフラと無敵の防衛力を誇る「最強のホワイト国家」へと変貌を遂げた。
「明日は村を挙げての『100日記念・大感謝祭』だ。準備にかかる負担は俺がすべて引き受ける」
俺は日めくりカレンダーの「残り267日」の紙をめくった。
現れたのは、巨大なミラーボールと、大量の機材が入った魔法のコンテナだった。
『SSRアイテム【|全自動・魔導フェス設営セット《パーティー・メーカー》】を獲得しました』
『※広場に展開するだけで、巨大なステージ、極上の音響設備、無数の屋台、そして華やかな装飾を全自動でセッティングする魔法のお祭りキットです』
「完璧だ! 設営の労力はゼロで、最高のお膳立てが完了する!」
俺がキットを広場に展開すると、ズゴゴゴゴッと巨大な特設ライブステージが組み上がり、周囲には色とりどりの提灯やイルミネーションが自動で飾り付けられていく。
「うおおおおっ! すっげえええ! なんだこのバカでかい舞台は!」
獣人たちが目を丸くし、アーサーやザンギュラたちも興奮してステージを見上げている。
「みんな! 明日の大感謝祭では、このステージで『有志による出し物』を開催する! 歌でも劇でも、一発芸でも何でもいい。部署ごとにエントリーしてくれ!」
「「「うおおおおおっ!!」」」
お祭りとなれば、この村の社員たちのモチベーションは天井知らずだ。
音楽室で練習を重ねていたシオンやルナたちのバンドが最終調整に入り、ガルドたちドワーフ建築部は「漢の筋肉組体操」の練習を始め、セシルはフードコートの特別メニューの仕込みに熱を上げている。
「……タクト村長。本当に、素晴らしい村になりましたね」
夕暮れの広場で、アーサーが感慨深げに呟いた。
「ああ。だが、まだ魔王復活まで266日もある。俺たちのホワイトな日々は、ここからが本番だ」
明日の100日記念祭に向けて、村の夜は静かに、そして熱く更けていった。
(残り266日。明日は何が出る?)




