第96話:【96日目】社内物流の自動化と、魔導デリバリー
地熱発電プラントが稼働し、ホワイト村のエネルギー問題は永久に解決された。
だが、村の敷地が広大になり、人口が500人規模になったことで、ある「物理的なロス」が目立ち始めていた。
「タクト村長。最近、お昼の休憩時間にフードコートが非常に混雑しています。さらに、村の端にある農地やプラントで働く者たちが、往復の移動だけで休憩時間の大半を消費してしまっているようです」
96日目の朝。村役場(PMO)で、最高財務責任者のグレイシアが端末のデータを見ながら報告してきた。
移動時間のロスは、社員の貴重なリフレッシュタイムを削る。せっかくの1時間の休憩が、移動と行列で終わってしまっては、午後のパフォーマンスに悪影響だ。
「なるほど。各現場への『社内物流』を構築する必要があるな」
俺は日めくりカレンダーの前に立ち、「残り270日」の紙をめくった。
光の粒子が現れ、村の空を飛ぶ鳥のような小型の機械と、各施設に設置できるスマートな箱のセットが具現化した。
『SSRアイテム【全自動配達ドローン&保温保冷宅配箱】を獲得しました』
『※端末から注文するだけで、フードコートの料理や必要な資材を、ドローンが空路で対象のロッカーまで瞬時に自動配達します』
「キタ! これぞ究極のフードデリバリー網!」
俺は即座にネクロディア(CDO)と連携し、村の各現場(農地、建築現場、発電プラントなど)にこの宅配箱を設置。全社員の端末にデリバリー用のアプリ(注文画面)を追加した。
お昼時。
村の端の地熱プラントで監視業務をしていた魔族の作業員が、端末をタップして「極上カツ丼」を注文した。
数分後。空からウィィィンという静かなプロペラ音と共に、小型のドローンが飛来し、彼らの目の前にあるロッカーに箱をストンと落とした。
「お、おおっ! 本当に届いたぞ! しかも、できたてのアツアツだ!」
「わざわざ中央の食堂まで歩かなくていいなんて、最高じゃねえか! 食後はロッカーの横の芝生でたっぷり昼寝ができるぜ!」
各現場で歓声が上がる。
セシルがいる中央のフードコートでは、出来上がった料理をドローンが次々と掴んで飛び立っていくという、近未来的な光景が広がっていた。
「これで、移動のロス(無駄)は完全にゼロになった」
「素晴らしい効率化です。……これなら、私もコタツから一歩も出ずに、ジェラートの追加注文ができますね」
グレイシアが満足げに端末を操作している。
どこで働いていても、最高の福利厚生に瞬時にアクセスできる。
ホワイト村のインフラは、また一つ次元の違う快適さを手に入れたのだった。
(残り269日。明日は何が出る?)




