第95話:【95日目】魔力キャパシティの限界と、地熱発電プラント
雪像コンテストも大盛況に終わり、村の熱気は高まるばかりだった。
しかし、95日目の朝。
村役場(PMO)で、最高デジタル責任者のネクロディアと、最高技術責任者のクロエが、深刻な顔で円卓のモニターを囲んでいた。
「……タクト村長。村の『魔力消費量(電力)』に関する重大なエスカレーションです」
ネクロディアがカタカタと顎を鳴らす。
「人口が500人を超え、各家庭の床暖房、温水プール、フードコート、さらには巨大な垂直植物工場が常時フル稼働しています。カレンダーから得た個別の魔石だけでは、村全体の『魔力グリッド(電力網)』のキャパシティが、限界を迎えようとしています」
「このままだと、真冬のど真ん中で大規模なブラックアウト(魔力停止)が起きちゃうよ!」
クロエも頭を抱えている。
インフラが充実すればするほど、それを維持するためのエネルギー消費は指数関数的に増大する。
前世のIT企業でも、サーバーの増設に追いつけずシステムダウンを起こすのはよくあることだ。
「持続可能な、巨大エネルギーインフラが必要だな」
俺は日めくりカレンダーの前に立ち、「残り271日」の紙をめくった。
光の粒子が収束し、現れたのは、巨大なパイプラインとタービンを備えた、サイバーパンクな建造物の模型だった。
『SSRアイテム【|超効率・魔導地熱発電プラント《マナ・ジェネレーター》】を獲得しました』
『※星の地下深くから無尽蔵の熱と魔力を汲み上げ、完全にクリーンなエネルギーとして村の全システムに永続的に供給し続ける最強の動力炉です』
「キタ! これぞスマートシティの心臓部、次世代クリーンエネルギー!」
俺は即座に、村の端にある岩山地帯にこの巨大なプラントを展開させた。
ズゴゴゴォォォッ! という地響きと共に、地下深くへと伸びる光のパイプが打ち込まれ、巨大なタービンが静かな稼働音を立てて回り始める。
「す、すっげえええ! 大地の奥底のエネルギーを、全くロスなく魔力に変換してる! 信じられない効率だ!」
クロエがモニターの数値を見て絶叫する。
「……完璧なアーキテクチャだ。これで、村の全システムは永遠に魔力不足の呪縛から解放された」
ネクロディアも、ホッと息を吐いて骨の胸を撫で下ろした。
これで、どれだけ村が拡大しようとも、どれだけ新しい魔導具を導入しようとも、インフラがパンクする心配はなくなった。
ホワイト村は、名実ともに「完全独立したエネルギー経済圏」へと進化したのだ。
圧倒的なインフラと、笑顔で働く500人の社員たち。
魔王復活まで、あと270日。
俺たちのプロジェクトは、限界を知らずにどこまでも成長していく。
(残り270日。明日は何が出る?)
【キャラクター紹介(95日目時点)】
タクト
元PMの村長。500人の社員のマネジメント、新人研修、育児支援、さらにはエネルギー問題まで、あらゆる課題を日めくりカレンダーと「完全ホワイト思考」で解決していく最強のリーダー。
シルフィ
エルフの秘書。雪像アートでは、タクトの等身大雪像を完璧なプロポーションで作ろうと奮闘していた。
ガルド
ドワーフの建築リーダー。雪像作りでも建築のプライドを見せつける。
ザンギュラ
最高防衛責任者。勇者アーサーと共に「魔王討伐雪合戦」という新しいスポーツを開発した。
グレイシア
最高財務責任者。ブラック国家からの監査官が逃げ帰る様を見て、自国のクリーンな帳簿に優越感を抱いている。
ネクロディア
最高デジタル責任者。村のサーバー(魔力グリッド)の負荷を監視し、地熱発電の導入に心底安堵した。
クロエ
最高技術責任者。地熱発電プラントの圧倒的なタービン構造に張り付いて、スケッチを取り続けている。
アーサー
元・勇者。雪像コンテストではザンギュラとタッグを組み、聖剣を雪の彫刻刀代わりに使って楽しんでいる。




