第94話:【94日目】冬のチームビルディングと、雪像アートコンテスト
監査官を撃退し、平和な日常が戻った94日目。
厳しい寒さが続く中、雪原に囲まれた村では、少し体を動かすレクリエーションが求められていた。
「よし、今日は村全体を巻き込んだチームビルディングのイベントだ」
俺は「残り272日」の紙をめくった。
光の粒子が現れたのは、大きなシャベルの形をした魔導具と、甘い匂いを漂わせる屋台だった。
『SSRアイテム【|全自動・魔導雪像ビルダー《スノークラフト》&極上おしるこ屋台】を獲得しました』
『※想像した通りの精巧な雪の彫刻を、誰でも簡単に作り出せる魔法のツールです。屋台からは、冷えた体を芯から温める無限のおしるこ(白玉入り)が提供されます』
「キタ! 冬の祭典、スノーフェスティバルの開催だ!」
俺は村の広場に大量の雪を集め、全社員(村人)にアナウンスした。
「みんな! 今日の午後は業務をストップして『第一回・ホワイト村・雪像アートコンテスト』を開催する! 部署ごとにチームを組んで、最高の雪像を作ってくれ!」
「「「うおおおおおっ!!」」」
遊びとなれば、村人たちのモチベーションは爆発的に跳ね上がる。
建築部門のガルドは、ドワーフの誇りにかけて「巨大な要塞の雪像」を精密な縮尺で組み上げている。
「ガハハ! 雪のブロックの積み重ねも、立派な建築技術だぜ!」
防衛部門のザンギュラと勇者アーサーのチームは、なぜか「巨大な魔王」と「伝説のドラゴン」の雪像を作り、雪玉をぶつけて倒すというゲーム性を組み込んでいた。
「ほらアーサー! そこはもっと角を鋭くしろ! 魔王の威厳が足りねえぞ!」
「はい、ザンギュラさん! よし、これでどうだ!」
かつての宿敵同士が、雪にまみれながらキャッキャと雪像作りに熱中している。
「タクト様! おしるこ、お持ちしました!」
シルフィが、湯気を立てるお椀を二つ持って駆け寄ってきた。
「ありがとう。……うん、美味い。小豆の甘さと、もちもちの白玉が冷えた体に染み渡るな」
俺は極上のおしるこをすすりながら、広場で笑い合う社員たちを見つめた。
部署の垣根を越えたコミュニケーション(雪像作り)は、彼らの創造性を刺激し、心理的距離をさらに縮めている。
ただの遊びに見えて、これも立派な組織強化(エンゲージメント向上)の施策なのだ。
(残り271日。明日は何が出る?)




