第80話:【80日目】魔王軍難民の受け入れと、巨大魔導フードトラック
「魔王軍の残党をすべて受け入れる」という俺の決断に、村の幹部たちは一瞬驚いたが、すぐに全力で動き出してくれた。
80日目の朝。
ネクロディアの通信ネットワークを使い、魔王城で飢えている魔物たちに向けて「南のホワイト村に来れば、温かい飯と寝床がある」というメッセージ(求人広告)を一斉送信した。
すると昼過ぎには、雪原の向こうから、ボロボロになった魔物たちの群れ(数百体)が、難民となって村に押し寄せてきた。
「む、村長! 予想以上の数です! さすがにセシルさん一人では、全員分の食事を用意しきれません!」
ルナが慌てて報告にくる。
「大丈夫だ、今日のために最高のリソースを引いてある」
俺は「残り286日」の紙からドロップしたアイテムを、村の結界の入り口に展開した。
『SSRアイテム【全天候型・魔導巨大フードトラック&無限のあったか豚汁セット】を獲得しました』
『※数百人規模の食事を瞬時に全自動で提供する移動式キッチンカーです。疲労回復と栄養満点の「特製豚汁」が無限に湧き出します』
「よし! ザンギュラ、ガロ! トラックから豚汁とおにぎりを出して、彼らに配ってやってくれ!」
「ガハハ! 任せときな! 腹を空かせた元部下どもに、最高の飯を食わせてやるぜ!」
雪原に到着し、寒さと飢えで倒れそうになっていた魔物たちは、ザンギュラたちから湯気を立てる豚汁の器を受け取った。
「こ、これは……ザンギュラ様!? なぜここに!?」
「いいから食え。魔王軍はもう倒産だ。お前らは今日から、このホワイト村の社員(研修生)だ」
魔物たちが震える手で豚汁を口に運ぶ。
ゴクッ、と汁を飲んだ瞬間、彼らの目から大粒の涙が溢れ出した。
「うおおおおんっ! あったかいぃぃ! 野菜の甘みが、冷え切った体に染み渡るぅぅ!」
「俺たち、もう雪の中で震えなくていいんですね……っ!」
敵対していたはずの魔物たちが、豚汁の温もりに包まれて次々と号泣し、村人たち(獣人や人間)に何度も頭を下げている。
「これで、魔王城の現場の兵力は実質ゼロ。残るは、休眠中の魔王本人だけだな」
「タクト様。タクト様の『福利厚生』は、武力や魔法よりも遥かに恐ろしく、そして優しい最強の武器ですね」
シルフィが、俺の隣で微笑みながら豚汁をすすっている。
村の人口は一気に数百人規模に膨れ上がり、ホワイト村は単なる開拓村から、世界を救済する「巨大な受け皿」へと進化を遂げた。
魔王復活まで、あと285日。
どんな未来が待っていようと、この温かい豚汁と仲間がいれば、全て乗り越えられる気がした。
(残り285日。明日は何が出る?)




