第68話:【68日目】豪雪による物流ストップと、魔導ドローン配送
美容の半休から一夜明けた68日目。
村の外の荒野は、連日の雪で完全に真っ白な雪原と化していた。
朝、CIOのシオンから深刻なエスカレーションが上がってきた。
「タクト様。行商人のマルコ殿から、遠距離念話(インカムの拡張機能)で連絡がありました。王都へ向かう峠道が豪雪で完全に封鎖され、馬車が進めないそうです」
「なんだって? それはマズいな」
村の食糧(世界樹の野菜など)は自給自足できているが、村の特産品を売って得た外貨(金貨)で、マルコに「塩」や「香辛料」「布」といった外部の日用品を買い付けてもらっている。
物流のストップは、長期的には村の生活水準の低下を招く重大なリスクだ。
「雪かき部隊を出すか? いや、何十キロも続く峠道の雪かきなんて、デスマーチ以外の何物でもない」
労働集約型の解決策は、俺の辞書にはない。
俺は「残り298日」の紙をめくった。
『SSRアイテム【全天候型・魔導物流ドローンステーション】を獲得しました』
『※吹雪や暴風雨をものともせず、指定した座標まで荷物を安全・確実に自動空輸する魔法の大型輸送ドローン(積載量一トン)のセットです』
「完璧だ。陸路がダメなら、空輸すればいい!」
俺はすぐさま、タワーマンションの屋上にこのステーションを設置した。
ドローンは直径数メートルほどある円盤型で、底面に巨大なコンテナをぶら下げる構造になっている。強靭な防風結界が張られているため、吹雪の中でもビクともしない。
俺はインカムでマルコに連絡を取った。
『マルコ。今、峠の手前のどのあたりで立ち往生している?』
『タクト村長!? ええと、王都から西へ三日ほど進んだ、岩谷の入り口の関所跡です! 雪が深すぎて一歩も動けません!』
「よし。そこにウチの特産品(木彫りやドライフルーツ)を積んだ『空飛ぶ箱』を向かわせる。そこに君が持っている日用品を詰め替えてくれ」
俺がコンテナに特産品を積み込み、コンソール画面でマルコのいる座標をタップすると、魔導ドローンは音もなくフワリと浮き上がり、猛吹雪の空の彼方へとすっ飛んでいった。
それからわずか数時間後。
ドローンは無事にタワマンの屋上へと帰還した。
コンテナを開けると、そこには大量の塩、香辛料、新しい布、そしてマルコからの手紙が入っていた。
『村長、神の奇跡かと思いました! おかげで取引が継続できます。いつもありがとうございます!――マルコ』
「これで、どんな悪天候でも物流は途絶えない。完全なインフラの勝利だな」
「タクト様……雪山を越える空飛ぶ船までお持ちとは……。この村の技術力は、もはや王国を遥かに凌駕していますね」
シオンが呆れたように、しかし誇らしげに空を見上げる。
雪に閉ざされても、ホワイト村の経済活動は決して止まらないのだ。
(残り297日。明日は何が出る?)




