第57話:【57日目】魔導アパレル織機と、冬のボーナス(冬服)
農業の防寒対策は完了したが、村人たち自身の「衣類」の問題が残っていた。
獣人たちは自前の毛皮があるため多少の寒さには強いが、人間である俺や、エルフのシルフィ、元聖女のセシルなどは、朝晩の冷え込みがかなり厳しくなってきた。
また、魔族のザンギュラたちも、筋肉はあるが「寒いものは寒い」らしく、鎧の下で震えている者がチラホラいる。
「今日のドロップは、衣料品関係のソリューションで頼むぞ」
57日目の朝。俺は「残り309日」の紙をめくった。
現れたのは、木と金属が複雑に組み合わさった、スタイリッシュな大型の機械だった。
『SSRアイテム【全自動・魔導アパレル織機&無限の極上保温糸】を獲得しました』
『※デザインをイメージするだけで、空気をたっぷりと含んだ軽くて最高に暖かい衣類(フリース、ダウンなど)をサイズに合わせて自動で編み上げる魔法のミシンです』
「完璧だ。これで全員に『冬服』を支給できる!」
俺はCTOのクロエと、裁縫が得意なルナを村役場に呼んだ。
「わあ……! 村長、この機械、すごく滑らかに動きます! しかもこの糸、羊毛よりもずっと軽くて、触ってるだけで指先がぽかぽかしてきます!」
「魔力の伝導率も最高だね! この糸で編んだ服なら、外の冷気を完全に遮断して、体温だけを内側に閉じ込めてくれるよ!」
ルナが頭の中で「動きやすくて暖かい服」をイメージし、クロエが機械を操作する。
ガチャン、ガチャンという小気味よい音と共に、ものの数分で一着の『極厚の魔導フリースジャケット』が完成した。
早速、夕方の食堂に全員を集めた俺は、宣言した。
「みんな、寒くなってきたな。今日は村からの『冬の特別ボーナス(現物支給)』だ! 全員分の冬服を作ったから、持っていってくれ!」
「「「うおおおおおっ!!」」」
ルナたちが手分けして、それぞれのサイズにピッタリ合ったフリースや防寒コートを配っていく。
受け取った村人たちは、早速それに袖を通した。
「な、なんだこれ!? 羽みたいに軽いのに、毛布にくるまってるみたいに暖かいぞ!」
「ガハハ! 鎧の下に着ても全くゴワゴワしねえ! こりゃあ最高だ!」
「タクト様! 見てください、私のコート、可愛い雪の結晶の刺繍が入ってます!」
シルフィが嬉しそうに真っ白なコートの裾を揺らして見せてくれる。
俺自身も黒のフリースジャケットを着てみたが、前世の高級アウトドアブランドも真っ青の驚異的な保温性と軽さだった。
「よし、これで村の防寒体制は盤石だ。風邪を引いてパフォーマンスを落とすのが一番のロスだからな」
暖かくて着心地の良い制服(冬服)は、帰属意識を高める効果もある。
ほくほく顔で温かいシチューのまかないを食べる村人たちを見ながら、俺は胸を撫で下ろした。
(残り308日。明日は何が出る?)




