第54話:【54日目】人材評価システムと、公平な報酬制度
村の人口が百人を優に超え、様々なインフラが整うと、組織としてどうしても直面する課題がある。「頑張っている人への正当な評価」だ。
今までは「全員が仲間だから」「命を救われたから」という理由で報酬(食事や住環境)を一律にしていたが、組織が成熟していくにつれ、これではモチベーションが高く、より多くの目に見えない成果を出している社員が不公平感を感じるリスクがある。
「公平な査定制度の導入だ。見えない努力を可視化するんだ」
54日目の朝。俺は「残り312日」の紙をめくった。
現れたのは、村役場(PMO)に設置できるスマートな水晶の端末だった。
『SSRアイテム【絶対公平・魔導スキル査定機】を獲得しました』
『※住人の労働貢献度、スキルの熟練度、他者へのサポート行動(目に見えない貢献)を自動で計測し、最適な評価と昇給を算出する魔法の装置です』
「これで上司の主観が入らない、透明性のある評価制度が作れる」
さっそく村役場に設置し、ルナやガルドたちの査定(月次レビュー)を行った。
水晶の画面には、彼らの働きぶりが明確なレーダーチャートと、具体的なポジティブフィードバックとして表示される。結果は驚くほど納得のいくものだった。
「おおっ! ルナ、お前今月の『他者貢献度』が全社員の中でトップだぞ。パトロールの合間に、重い荷物を持っている高齢のドワーフを手伝ったり、新人獣人たちの小さな揉め事を率先して仲裁してたのが、AI(魔導システム)に高く評価されたんだな」
「えへへ! アタシ、みんなの役に立つのが嬉しいですから! そんな細かいところまで見ててくれたなんて、なんだか照れちゃいます!」
査定の結果、貢献度が高い者には、特別ボーナスとして「セシルの特製スイーツリクエスト券」や「温泉の最高ランク入浴剤セット」、「好みに合わせた最新の衣服」などが与えられることになった。
「公正な評価は、心理的安全性を担保し、健全な競争とモチベーションを生む。もちろん、評価が平均的だったからといって罰則や減給はない。全員が自分のペースで、自分なりの長所を伸ばして成長すればいい」
「上司の好き嫌いやごますりで評価が決まる」「手柄を横取りされる」といった、ブラック企業にありがちな悪夢は、この村には一切存在しない。誰もが納得する評価システムにより、村の空気はさらに前向きで、協力的なエネルギッシュなものになった。
(残り311日。明日は何が出る?)




