第47話:【47日目】eスポーツ大会と、完璧なチームビルディング
魔導VRシミュレーターの導入は、予想以上の効果をもたらした。
「うおおおおっ! ガルドの旦那、右から回り込みます!」
「任せろ獣人の坊主! 俺様が囮になって防衛線を崩す!」
「甘いぞドワーフ! 魔族の突撃陣形を舐めるなァ!」
村の広場には、ヘルメットを被って寝転がる筋肉質な男たちの横で、空中モニターの映像に熱狂する村人たちの歓声が響き渡っていた。
怪我の心配がないため、本来ならあり得ない「種族の壁を越えた連携」が次々と生まれている。
「タクト様。これは……素晴らしいですね」
隣でモニターを見上げていたシオン(CIO)が、感心したように呟いた。
「かつては敵対していた魔族と亜人たちが、互いの戦術を賞賛し合い、終わった後は一緒に笑いながら風呂に入っています。これはもはや訓練を超えた……『結束』です」
「ああ。同じ目標に向かってチームで熱くなる。最高のチームビルディング(社内レクリエーション)だろ?」
前世でも、部署間の壁をなくすために休日にスポーツ大会が開かれたりしたものだが、大抵は若手(俺)が幹事をやらされて地獄を見るだけだった。
だが、この村のレクリエーションは誰もが心から楽しみ、自発的に参加している。
模擬戦が終わると、全員が仮想空間からログアウトして飛び起きた。
「ガハハ! いい汗かいたぜ! 魔族の兄ちゃんたち、なかなかやるじゃねえか!」
「ドワーフの力も凄まじかった! 次は負けねえぞ!」
ザンギュラたち魔族とガルドたちが、肩を組んで健闘を讃え合っている。
そこには種族の差も、過去の因縁もない。「ホワイト村」という一つのチームがあるだけだ。
「よし、みんなお疲れ様。汗を流したら、今日のまかない(夕食)だ。セシルが腕を振るってくれたぞ!」
「おおおおっ! カレーか!? 今日はカレーがいい!」
夕日に照らされた広場で、大柄な男たちが夕食のメニューに一喜一憂している。
俺は日めくりカレンダーの「残り319日」の紙をめくった。
『SSRアイテム【至福の魔導マッサージガン(×100)】を獲得しました』
『※筋肉の深層にアプローチし、どんな激しい運動による疲労も一瞬で分解する魔法のケアツールです』
「よし、今日はこれで全員の筋肉痛をゼロにしてやろう」
全力で遊び、全力でケアをする。
村の結束は、この秋空の下でさらに強固なものになっていた。
(残り318日。明日は何が出る?)




