表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

PR
35/90

第35話:【35日目】ホワイトな「罠」と、絶対非殺傷の制約

 運命の35日目。

 俺は朝一番でカレンダーの「残り330日」をめくり、『SSRアイテム【高精細・全天候型パブリックビューイングモニター】』を引き当てていた。

 これを広場に設置し、シオンの監視ドローンの映像を大画面で映し出す。


 昼下がり。

 ポップコーンを片手にモニターを囲む村人たちの前で、いよいよ「その時」がやってきた。


『へへっ、辺境伯爵様も気前が良いぜ。あんな名もなき村を一つ潰すだけで、金貨百枚のボーナスとはな』

『噂じゃ、絶世のエルフや獣人の女がいるらしいぜ。捕まえて売り飛ばせばさらに大儲けだ』


 画面の中では、五十人の武装した傭兵たちが、下品な笑い声を上げながら谷底のルートを進んできていた。

 夏の暑い荒野を行軍してきたためか、彼らは皆、汗だくで疲労困憊の様子だ。


「タクト様。目標、設定した罠のエリアに完全に侵入しました」

「よし、クロエ。トラップ起動だ」

「了解〜! スイッチ・オン!」


 クロエが手元の魔導端末を操作した瞬間。

 傭兵たちが歩いていた谷底の地面が、広範囲にわたって一気に崩落した。


『な、なんだぁぁっ!?』

『うわああああああっ!?』


 五十人の傭兵たちは、悲鳴を上げながら深さ十メートルの巨大な落とし穴へと転落していった。

 だが、底にはガルドたちが敷き詰めた大量のフカフカな干し草があり、激突音は鈍いものだった。怪我人は一人もいない。


『い、いてて……。なんだこの罠は! 殺傷力ゼロじゃねえか!』

『舐めやがって! こんな壁、すぐに登って――』


 立ち上がろうとした彼らの前に、穴の底で待機していた【慈愛の防衛ゴーレム】十体が立ちはだかった。


『ピー。侵入者、検知。ホカク、シマス』


 ゴーレムたちは太い腕を広げると、抵抗する傭兵たちを次々と「ぎゅっ」と優しく抱きしめ始めた。


『な、なんだこいつら!? 剣が通じねえ! 離せ、離しやがれっ!』

『うおぉぉ、力が強すぎて身動きが取れねえ! ……ん? なんだ、この涼しい風は……?』


 ゴーレムに拘束された彼らの足元から、クロエが設置した「心地よい冷気クーラー」と「微量の催眠魔力」が噴出する。

 夏の暑い荒野を歩いて極限まで疲労していた彼らに、極上の涼しさと、柔らかい干し草、そしてゴーレムの力強くも優しい抱擁。


『あ……なんか、すげえ気持ちいい……』

『眠……い……』


 ものの数分で、落とし穴の底からは、五十人の傭兵たちの安らかな寝息(大合唱)だけが響き渡るようになった。


「よし、ミッション・コンプリート(完全制圧)だ。一人も怪我をさせずに済んだな」


 モニターの前で俺が満足げに頷くと、村人たちから拍手と歓声が沸き起こった。

 武力ではなく、「快適さ」で敵の戦意を完全にへし折る。

 ホワイト村の防衛力は、外の世界の常識を遥かに超越していた。


(残り329日。明日は何が出る?)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ