第33話:【33日目】自動迎撃システムと、迫る傭兵団
村役場(PMO)に設置されたホログラム円卓に、緊迫した空気が流れていた。
「タクト様。昨日の情報通り、西の辺境伯爵が雇った私兵(傭兵団)約五十名が、この村に向かって進軍を開始しました」
CIOのシオンが、空中に投影された地図を指し示しながら報告する。
「到着予定は明後日。目的は、この村の豊富な物資の略奪と、村人の奴隷化です」
『ふざけやがって! 返り討ちにしてやる!』
通信越しにガルドが怒りの声を上げた。
「待て、ガルド。うちの村のコンセプトは『誰も血を流さないホワイト環境』だ。相手にも、うちの社員にも怪我人は出さない。迎撃はするが、非殺傷でいくぞ」
俺は立ち上がり、日めくりカレンダーの前に向かった。
防衛線を構築するための、最適化されたリソースが必要だ。
「残り332日」の紙をめくる。
光の粒子が集まり、現れたのは、ずんぐりとしたフォルムの、金属製のゴーレムが十体だった。
身長は二メートルほどあるが、顔には丸い一つ目がついており、どこか愛嬌がある。
『SSRアイテム【慈愛の魔導防衛ゴーレム部隊(×10)】を獲得しました』
『※物理・魔法攻撃を無効化する装甲を持ちますが、攻撃能力はゼロです。代わりに、対象を優しく捕獲し、絶対に逃がさない【ハグ】を得意とします』
「よし! 完璧な『非殺傷』の防衛戦力だ!」
「む、村長……。攻撃能力がないゴーレムなんて、初めて見ました……」
シオンが呆れたような顔をしているが、俺にとっては最高のリソースだ。
「これを使って、敵が通る予定の谷底ルートに待ち伏せ(タワーディフェンス)の陣地を構築する。ガルド、ルナ! 谷底に巨大な『落とし穴』を掘ってくれ。底には衝撃吸収用の干し草をたっぷり敷き詰めるんだ」
『ガハハ! 任せときな!』
『アタシたち獣人の脚力で、一瞬で掘り上げますよ!』
「クロエ! 落とし穴の底に、催眠効果のある魔法陣を設置できるか?」
『うん! 【絶対零度の氷結魔核】の冷気を少し応用して、眠気を誘う心地よい冷気を充満させる罠ならすぐ作れるよ!』
俺が指示を出すと、各部門のリーダーたちが即座に動き出した。
完璧な情報があれば、戦いは始まる前に終わらせることができる。
俺たちのホワイトな防衛プロジェクトが、静かに幕を開けた。
(残り331日。明日は何が出る?)




