第28話:【28日目】魔導リゾートプールと、水着の休日
ジェラートの導入により体内からの冷却は完璧になった。
しかし、夏の日差しは依然として容赦なく照りつけている。
「村長……やっぱり、お水に入ってパシャパシャしたいですぅ」
ルナが氷室の壁に張り付きながら、情けない声を出している。
温泉(大浴場)はあるが、さすがにこの猛暑の中で熱い湯に浸かるのは体力を使う。
前世で言うところの「納涼」のためのアクティビティが必要だ。
「よし、今日は『半休』にして、避暑施設を作ろう」
俺はカレンダーの前に立ち、「残り338日」の紙をめくった。
光の粒子が収束し、現れたのは巨大な巻物(設計図)と、輝く青い魔石だった。
『SSRアイテム【常夏の魔導リゾートプール・展開キット】を獲得しました』
『※任意の場所に、浄化機能・水流制御・造波装置を備えた巨大なプールを生成します』
「よっしゃ! これで完全なリゾート地になる!」
俺はすぐさまガルドとシルフィ、クロエを呼び出し、村の東側の空き地にキットを展開した。
青い魔石を地面に突き立てると、地響きと共に地面がすり鉢状に凹み、純白のタイルが敷き詰められていく。そこへシルフィが水魔法を注ぎ込み、クロエが魔石の制御系をいじって「波」と「水流」を設定する。
「完成だ! 名付けて『ホワイト村・ウォーターパーク』!」
幅五十メートルはある巨大な波の出るプールと、ガルドが即興で木材を組んで作った巨大なウォータースライダーが太陽の下でキラキラと輝いていた。
「うおおおおっ! すっげえええ!」
「海だ! アタシ、海なんて初めて見ました!」
半休を告げられた獣人たちは、大歓声を上げてプールへと飛び込んでいく。
ちなみに、水着は前日にルナたちにお願いして、商人マルコから買った布で作ってもらっていた。
「タクト様っ! いかがですか!」
振り返ると、白いビキニ姿のシルフィが、少し照れくさそうに立っていた。エルフの透き通るような白い肌と、抜群のプロポーションが眩しい。
「おお、よく似合ってるよ。涼しげでいいな」
「えへへ……タクト様のために、ルナさんに手伝ってもらって作りました!」
「村長ーっ! アタシの自慢の犬かき、見ててくださいねー!」
ルナは元気いっぱいのスポーティな水着で、器用に波を乗りこなしている。
「ガハハ! 俺様のスライダー、最高のスリルだぜ!」
ガルドは豪快に水しぶきを上げて滑り台から飛び込んでいた。
俺もパラソルの下のデッキチェア(ガルド作)に寝転がり、ジェラートを片手に冷たい果実水を飲む。
子供のようにはしゃぐ社員(村人)たちを眺めながら過ごす、南国リゾートのような時間。
「……前世の俺が見たら、悔しさで血の涙を流すだろうな」
夏休みすら取れず、クーラーの効きすぎたオフィスで震えながらカップ麺をすすっていた俺。
今、俺は異世界の荒野のど真ん中で、最高のサマーバケーションを満喫している。
「タクト様! 一緒に泳ぎましょう!」
「お、引っ張るなシルフィ。わかった、行くから」
冷たい水に飛び込むと、夏の暑さは完全に消え去った。
ホワイト村の夏は、最高に楽しくて涼しい季節になりそうだ。
(残り337日。明日は何が出る?)




