第26話:【26日目】迎賓館の建設と、マルコの再訪
おやつタイムが導入され、村の幸福度は最高潮に達していた。
そんな26日目の朝。
ルナからのインカム通信が、いつもより興奮した声で飛び込んできた。
『村長! 結界の外に、この前の小太りのおじさん(マルコ)が来てます! なんだか、立派な馬車と、見知らぬ人たちを連れてます!』
「マルコが? よし、すぐに結界を一部解除して中に入れてやってくれ」
行商人マルコ。俺たちの村の「特産品」を西の街へ売りに行った男だ。
俺が広場に向かうと、マルコは数人の身なりの良い人間たちを引き連れて、興奮気味に駆け寄ってきた。
「タクト村長! お久しぶりです!」
「やあ、マルコ。取引は上手くいったみたいだな」
「上手くいくどころの話じゃありませんよ! あのトマトと木彫り、商人ギルドでオークションにかけたら、とんでもない高値で落札されましてね! 今日は約束通り、大量の塩と布、それに金貨をお持ちしました!」
マルコはホクホク顔で大量の物資を納品してくれた。
これで村の財政も一気に潤う。
「それで、そちらの方々は?」
「ええ。実は、あの特産品の噂を聞きつけた『西の街の有力商人』と『冒険者ギルドの幹部』の皆様です。どうしても、この目で生産地を見たいと……」
マルコの後ろにいた人間たちは、村の光景――巨大な氷室、自動で動くトラクター、獣人たちが笑顔で働く姿、そして温泉の湯気を見て、完全に言葉を失っていた。
「し、信じられん……名もなき荒野に、これほど高度な都市が存在するとは……」
「しかも、亜人たちがこれほど生き生きと……。我々の街よりよほど豊かではないか」
外部の人間が村の価値に気づき始めた。
これは、村が「自給自足の開拓村」から「外部と交流するリゾート拠点」へとシフトする大きな転機(フェーズの移行)だ。
「彼らを客人として歓迎しよう。だが、今の村には外部の人間を泊める専門の施設がないな」
俺はマルコたちに「少し待っていてくれ」と言い残し、カレンダーの前に向かった。
現在の表示は「残り340日」。
俺の意図を汲むカレンダーなら、確実に出してくれるはずだ。
ペリッ。
『SSRアイテム【魔導迎賓館・展開キット】を獲得しました』
『※最高級の客室とラウンジを備えた、VIP専用の宿泊施設を展開します。防音・防犯機能付き』
「よし、完璧だ。ガルド、クロエ! 広場の西側に迎賓館を建てるぞ!」
数十分後。
カレンダーから出たキットを使い、一瞬にして超豪華な三階建ての「迎賓館」が建ち上がるのを見て、マルコと商人たちは腰を抜かしてへたり込んだ。
「ひぃぃっ!? 一瞬で城が建ったぞ!?」
「あ、ありえない……! ここは神の国か何かか!?」
俺はビジネススマイルを浮かべ、彼らに手を差し伸べた。
「ようこそ、ホワイト村へ。今日は最高の温泉と、ウチの総料理長が作る極上の料理でおもてなしさせていただきます。もちろん、今後の『独占取引』の契約書にサインしていただけるなら、ですが」
商人たちは震える手で何度も頷いた。
こうして、ホワイト村は外部との繋がりを確固たるものにし、次なる「夏の陣(リゾート開発フェーズ)」への足がかりを掴んだのだった。
(残り339日。明日は何が出る?)




