第24話:【24日目】魔導ランドリーと、清潔なホワイトライフ
クロエがCTOとして就任した翌日。
村は相変わらず平和だったが、居住区の裏手から、ルナたち獣人の女性陣の疲れたような声が聞こえてきた。
「はぁ……三十人分の服を手洗いするのって、結構重労働ですね……」
「そうだな。いくら風呂に入って体を綺麗にしても、服が汚れたままじゃ意味がねえしな」
ガロ族長たち建築・農業組は毎日泥だらけになって働くため、洗濯物の量が半端ではないのだ。
川で板にこすりつけて洗うという原始的なタスクは、時間を激しく浪費する。
「これは福利厚生の改善が必要だな。クロエ、ちょっといいか?」
俺はインカムでクロエを呼び出し、日めくりカレンダーの前に向かった。
現在の表示は「残り342日」。
「CTO。俺は今から、洗濯を自動化するツールを召喚する。君にはその仕組みの解析と、今後のメンテナンスを頼みたい」
「おおっ! カレンダーから出る謎の魔導具だね! 腕が鳴るよ!」
俺はペリッと紙をめくった。
光の粒子と共に現れたのは、白くて四角い、ドラム式の巨大な箱だった。
『SSRアイテム【全自動・魔導ランドリーシステム】を獲得しました』
『※水と魔力を利用して、大量の衣類を一瞬で洗浄・乾燥・殺菌・ふんわり仕上げまで行う夢の洗濯機です』
「キタ! これぞ生活水準(QOL)爆上がりの最強インフラ!」
俺は歓喜の声を上げた。前世の忙しい一人暮らし時代、乾燥機付き洗濯機にどれだけ救われたか計り知れない。
「すごい! 水魔法と温風魔法、それに除菌の光魔法が完全に自動制御されてる! どういう回路構成なんだいこれは!」
クロエはよだれを垂らしそうな勢いでドラム式洗濯機に張り付いている。
俺たちはすぐにランドリー小屋を建設し、各家庭に「洗濯カゴ」を配った。
「みんな、これからは服を川で洗う必要はない! この魔導ランドリーに放り込めば、一時間後にはふかふかになって出てくるぞ!」
俺の宣言に、ルナたち洗濯担当の獣人たちは目を輝かせた。
「ほ、本当ですか!? あの辛い水仕事から解放されるなんて……!」
「アタシ、もう村長を神様として崇めますぅぅ!」
その日の午後。
洗い立てのお日様の匂いがする、ふかふかに乾燥された服を着た獣人たちは、あまりの着心地の良さに次々とその場に倒れ込んで昇天しかけていた。
清潔な衣服は、自尊心を高め、病気を防ぐ。
これでまた一つ、ホワイト村の「無駄な重労働」が消滅した。
浮いた時間は、各々が好きなように使えばいい。それがスローライフの醍醐味だ。
(残り341日。明日は何が出る?)




