表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

PR
15/90

第15話:【15日目】聖域の結界石と、平和すぎる防衛線

 週休二日のリフレッシュを経て、月曜日(という概念を導入した)の村は活気に満ち溢れていた。

 トラクターがうなりを上げ、獣人たちが笑顔で飛び回る。


 だが、村が豊かになればなるほど、一つの懸念が頭をもたげてくる。

 「外部からの脅威」だ。

 美味しい作物の匂いや、温泉の魔力、そして何よりこれだけの大所帯になれば、荒野の魔物や、たちの悪い盗賊の耳に入るのも時間の問題だった。


「ルナ。最近のパトロールの状況はどうだ?」

「はい! 今のところ村に近づく大きな群れはいませんが、遠くの森の方でゴブリンやオークの気配が増えているような気がします……」


 やはりか。

 防衛線を構築するのは急務だ。だが、俺は獣人たちに血を流させるような戦闘デスマーチはさせたくない。


「今日のカレンダーに賭けるか」


 俺は祈るように「残り351日」の紙をめくった。

 光が弾け、現れたのは、真っ白で神々しい光を放つ、八面体の巨大な水晶だった。


『SSRアイテム【絶対平和の聖域結界石イージス・コア】を獲得しました』

『※村の中心に設置することで、村全域を覆う不可視のドームを展開します。村の住人および「明確な敵意を持たない者」以外は、いかなる物理・魔法攻撃も通過できず、侵入も不可能です』


「……完璧だ。これ以上の防衛システム(セキュリティ)はない」


 相手を傷つけるのではなく、「そもそも入れない」という徹底した平和主義。俺のホワイト村のコンセプトにこれ以上なく合致している。


「シルフィ! これを村の中心の広場に設置して、起動してくれ」

「はいっ! タクト様、これはとてつもない純度の魔力です! 起動します……【聖域展開サンクチュアリ・オープン】!」


 シルフィが水晶に杖を触れると、キィィィンという澄んだ音と共に、村全体を覆うように薄い光のドームが広がった。

 光はすぐに透明になり見えなくなったが、肌で感じる空気の安全度が明らかに違っていた。


「……ちょうどいい、テストのお客さんが来たみたいだぜ」


 物見櫓(ガルドが休日の暇つぶしに建てた)に登っていたガルドが叫んだ。

 荒野の向こうから、凶暴な角を生やした巨大な猪の魔物(ボア・デストロイヤー)が、村の畑の匂いに釣られて猛突進してくるのが見えた。


「村長! アタシたちが迎撃します!」

「いや、待てルナ。そのまま見ていよう」


 武器を構える獣人たちを制止し、俺は腕を組んだ。

 猛スピードで突っ込んできた巨大猪は、村の境界線――透明な結界の壁に激突した。


 ――ボォォンッ!!


 まるで巨大なゴムまりにぶつかったかのように、猪は悲鳴を上げて何十メートルも後ろに弾き飛ばされた。

 結界にはヒビ一つ入っていない。猪は目を回し、這うようにして逃げていった。


「……す、すげえ。あんな巨大な魔物が、指一本触れずに弾き返されたぞ」

「これなら、夜も見張りを立てずに全員ぐっすり眠れますね!」


 獣人たちが歓声を上げる。

 俺はメモ帳の「防衛・セキュリティタスク」に完了のチェックを入れた。

 これで、魔王が来ようが四天王が来ようが、少なくとも物理的な破壊で村が脅かされることはなくなった。俺たちは安全圏から、彼らを説得(交渉)すればいいのだ。


(残り350日。明日は何が出る?)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ