第118話:【118日目】復興作業と、自律型チームの力
118日目。カレンダーの表示は「残り247日」。
激戦の傷跡を癒やすため、村は本格的な復興・再構築作業に入っていた。
洗脳が解けた数千の王国兵たちのうち、故郷に帰りたい者はタクトが路銀を持たせて解放した。(彼らはホワイト村の圧倒的な優しさを王都で広める、最高の広報大使となるだろう)。
一方で、「もうあんなブラック国家には戻りたくない」と村に残ることを希望した数百名の兵士たちは、見習い社員として復興作業に加わっていた。
「そっちの資材、運ぶッスよ! 新人ども、腰を落として持ち上げろ!」
「はいっ、ザンギュラ班長!」
元魔王軍幹部のザンギュラの下で、元王国兵たちが汗を流して働く。
彼らの顔には、洗脳されていた頃の虚ろな表情はなく、自分の意思で働く充実感に満ちていた。
「タクト様。ラボの試作品第一号、完成しました!」
クロエとガルドが、ラボから真新しい魔導具を運び出してきた。それは、カレンダーに頼らずに彼ら自身がゼロから創り上げた【自動修復型・魔力防壁発生装置】だった。
「素晴らしい。俺が指示を出すまでもなく、完璧な設計だ」
タクトは心からの称賛を贈った。
ふと視線をやると、ラボの窓ガラスをピカピカに磨いている中年男の姿があった。
元ブラック社長だ。
「ぷるるっ!(そこ、まだ拭き残しがあるぞ!)」
「ひぃっ! す、すみませんスー局長! 今すぐ綺麗にします!」
スライムの厳しいチェックに怯えながら、必死に窓を磨く社長。
しかし、その額に浮かぶ汗を拭う彼の横顔には、かつての傲慢な姿からは想像もつかないような、不思議な「清々しさ」が漂い始めていた。
(自らの手で現場を綺麗にする達成感。少しは労働の尊さがわかってきたみたいだな)
タクトは少しだけ笑みをこぼし、村役場へと戻っていった。
(残り246日。明日は何が出る?)




