第115話:【115日目】前世のトラウマとの決着と、組織の崩壊
115日目の朝。俺は「残り250日」のカレンダーをめくった。
『システムアップデート中(最終調整・99.9%)』。
アイテムのドロップこそないが、俺の心には一切の迷いも不安もなかった。なぜなら、俺の後ろには最高の仲間たちがいるからだ。
俺は結界の外へ出た。
一万の狂戦士の中心でふんぞり返る、恰幅の良い中年男――前世のブラック社長、クロサキと対峙する。
「……ん? 貴様、どこかで見た顔だな」
「お久しぶりです、クロサキ社長。前世であなたに使い潰された、タクトです」
俺が名乗ると、クロサキは一瞬驚いた顔をしたが、すぐに下品な笑い声を上げた。
「ハハハ! なんだ、あの無能なPMか! こんな辺境でままごとのような村を作っていたとはな。ちょうどいい、お前も私の手駒として一生タダ働きさせてやる!」
「断る。あんたのやり方は、短期的には成果が出ても、中長期では必ず組織を崩壊させる。労働者を道具としか見ない組織に、未来はない」
俺がはっきりと反論すると、クロサキの顔が怒りで赤黒く染まった。
「生意気な口を! やれ! こいつを引き裂け!」
クロサキが命じた瞬間、狂戦士と化した兵士たちが一斉に俺に襲いかかろうとした。
しかし――。
「タクト様には、指一本触れさせません!」
シルフィの風魔法が兵士たちを優しく押し返し、アーサー、ザンギュラ、ガルド、ルナたち村の全リーダー陣が、俺を護るように前に出た。
「クロエ! 今だ!」
「了解! ジャマー、出力120%でいくよ!」
クロエとネクロディアが、限界突破でジャマーの出力を最大にする。
ホワイト村の「誰も犠牲にしない」という圧倒的な仲間を想う意志の波長が、クロサキの淀んだ支配の魔力を完全に上書きした。
パリンッ……!
空中で何かが割れるような音がした。
次の瞬間、一万の兵士たちの目から濁りが消え、彼らは全員、糸が切れた操り人形のようにその場に崩れ落ちた。
「な、なんだと……!? 私の完璧なマネジメントが……洗脳が解けただと!?」
「あんたの負けだ、クロサキ。恐怖と搾取で縛った組織は、本当の信頼で結ばれたチームには絶対に勝てない」
兵士たちをすべて失い、たった一人結界の外で孤立したクロサキ。
前世のトラウマは、今度こそ完全に消え去った。
(残り249日。明日は何が出る?)




