第114話:【114日目】クロサキの登張と、デスマーチ・モード
114日目の朝。
俺は重い足取りでリビングに向かい、日めくりカレンダーの「残り251日」の紙をペリッとめくった。
空中のアラートは『システムアップデート中(最終調整・99%)』のままで、依然としてアイテムはドロップしない。
あと一息だというのに、最も苦しい時間が続いている。
その日、ついに「元凶」が動いた。
「ええい、役立たずどもめ! たかが田舎村の分際で、私の完璧な組織を手こずらせるとは!」
兵士たちの洗脳が解け始めていることに焦ったクロサキが、安全な後方から最前線へと姿を現したのだ。
太った体を揺らしながら、彼は忌々しげに舌打ちをした。
「お前ら、誰の金で飯を食わせてもらってると思っている! 成果を出せ! 死ぬ気で働け!」
クロサキが両手を天に掲げると、彼の全身からどす黒いオーラが噴出した。
【絶対的やりがい搾取】のオーバードライブ。対象者の生命力すらも前借して強制労働させる、最悪の『デスマーチ・モード』だ。
「ガァァァァッ!!」
気絶しかけていた兵士たちが、白目を剥き、異常な筋力で再び立ち上がった。
彼らはもはや武器すら使わず、素手で結界を叩き割り始めたのだ。
「まずいですよ村長! 兵士たちの生命力が急速に削られています! このままだと、数時間で全員過労死しちゃいます!」
クロエがモニターを見て悲鳴を上げる。
自分の目的のためなら、部下の命など欠片も気にしない。
前世で俺を殺したあの男のやり方は、異世界でも何一つ変わっていなかった。
「……もう、黙って見ているわけにはいかないな」
俺は、前世のトラウマを完全に振り切り、結界の外へと向かって歩き出した。
(残り250日。明日は何が出る?)




