第113話:【113日目】勇者の峰打ちと、ブラック騎士団の悲鳴
113日目の朝。
カレンダーをめくると「残り252日」。アラートは『最終調整・95%』と、少しだけ進捗していた。
外のブラック騎士団は、すでに三日間不眠不休で結界を攻撃し続けている。
洗脳されているとはいえ、彼らの肉体は限界を超えていた。剣を振るう手から血が滲み、足元はおぼつかない。
「……見ていられません。彼らも、王国で家族の帰りを待たれている人間だというのに」
元勇者のアーサーが、拳を震わせていた。
彼は【有給休暇】を経て、完全にブラックな使命感から解放され、「村の笑顔を守る」ために剣を握る決意をした男だ。
「タクト村長。俺が前線に出ます。ジャマーの電波が届きやすくなるよう、彼らの陣形を物理的に乱してきます」
「アーサー……怪我だけはするなよ」
結界を一部開き、アーサーが単騎で飛び出していく。
彼は伝説の聖剣を鞘に収めたまま、圧倒的な身体能力で敵の群れに飛び込み、次々と「峰打ち」で兵士たちを気絶させていった。
「目を覚ませ! お前たち、本当は休みたいんだろう! 疲れたら休む、当たり前の権利を思い出せ!」
アーサーの叫びと峰打ちの衝撃、そしてジャマーの電波が合わさり、気絶した兵士たちは次々と洗脳から解放されていった。
「あ、あぁ……俺は、なんでこんなに働かされてるんだ……」
「家に、帰りたい……」
倒れ込んだ兵士たちから、悲痛な本音が漏れ始める。
一万のブラック騎士団の足並みが、ついに崩れ始めていた。
(残り251日。明日は何が出る?)




