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112/170

第112話:【112日目】アップデートの延長と、自律型防衛

 112日目の朝。

 俺は祈るような気持ちで「残り253日」の紙をめくった。今日からアイテムが復活するはずだ。

 しかし、空中のアラートは無情なメッセージを表示した。


『システム・アップデート中(最終調整・90%)……予期せぬエラーの修復のため、完了予定時間を延長します』


「アップデートの延長(工期遅れ)だと……!?」

 IT業界あるあるの絶望的な事象が、異世界でも俺を襲う。


 アイテムが出ない。ジャマーの出力もこれ以上は上がらない。

 外では、一万の兵士たちが不眠不休で結界を叩き続けている。このままでは、結界を維持する魔力よりも先に、防衛部隊の体力が尽きてしまう。


「タクト様、前線のガルドさんたちがかなり疲弊しています。交代のシフトを組み直しますか?」

 シルフィが心配そうに端末を見つめる。


 俺が指示を出そうとしたその時、インカムからルナの元気な声が響いた。


『村長、大丈夫です! アタシたち警備部隊が、建築部隊のカバーに入ります! 獣人のスタミナ、見くびらないでくださいね!』

『おう! ルナ嬢ちゃんに負けてられねえ! 農業部隊も防壁の補修を手伝うぞ!』

 ガロ族長の声も続く。


 指示を待つのではなく、現場が自主的に状況を判断し、部署の垣根を越えてカバーし合う。

 俺がこの100日間で育ててきた「自律駆動する組織(チーム)」が、カレンダーの不在を完璧に補っていた。


「……ありがとう、みんな。無理だけはしないでくれよ」

 俺は熱くなる目頭を押さえながら、彼らの後方支援(セシルのまかないの配給手配など)に全力を注いだ。


(残り252日。明日は何が出る?)

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