↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

PR
110/170

第110話:【110日目】徹夜のエンジニアと、やりがいの本質

110日目。

カレンダーの表示は『システム・アップデート中(2日目/3日)』。残り日数は254日となった。

ドローンの映像によれば、ブラック騎士団は村の数キロ先まで迫っている。彼らはクロサキの洗脳により、文字通り「不眠不休」で進軍を続けていた。


夜。俺が村の最終点検を見回っていると、タワーマンションの一角、最高技術責任者(CTO)のクロエの研究室から、煌々とした魔力の光が漏れているのに気づいた。


中に入ると、クロエと最高デジタル責任者(CDO)のネクロディアが、床いっぱいに既存の魔導具の部品を広げ、基盤(魔力回路)と格闘していた。


「クロエ! ネクロディア! 何をしているんだ、今は夜中の二時だぞ!」


「あ、村長。ごめんごめん、ちょっと手が離せなくてさ!」


クロエはゴーグルを額に押し上げ、顔を煤だらけにして笑った。


「実はね、シオンが集めてくれた情報をもとに、クロサキの【絶対的やりがい搾取(マインドコントロール)】の魔力波長を解析してたんだ。これ、特殊な周波数で脳を麻痺させてるだけだから、逆位相の魔力波をぶつければ洗脳を解除できるはずなんだよ!」


「今、村にある不用品(ノーマル魔導具)の部品をかき集めて、『広域魔力ジャマー(洗脳解除装置)』を組み上げているところだ。カッカッカ、久々に血が騒ぐぞ」


骸骨のネクロディアが、カタカタと顎を鳴らしてキーボード(魔力盤)を叩く。


「洗脳解除装置……! それができれば、あの一万の軍勢を救えるのか!」


「うん! でも、出力調整が難しくてね。朝までに仕上げるには、どうしても徹夜になっちゃうんだ」


俺は息を呑んだ。

俺がこの村で絶対に守らせてきたルール。それは「1日8時間労働」と「徹夜の禁止」だ。それを破らせるわけにはいかない。


「ダメだ! 今すぐ休め! 徹夜なんて、俺が一番嫌悪するブラック労働だ!」


俺が止めようとすると、クロエは真剣な目で俺を見つめ返した。


「村長。これは『やらされてる仕事(デスマーチ)』じゃないよ」


「え……?」


「ボクが、この村を守りたいから、ボクの意志で『やりたい』からやってるんだ。自分の大切なものを守るために、技術者が全力で徹夜するのを、ブラックなんて言わせないよ」


ネクロディアも、俺に同意するように頷いた。


「魔王軍時代の上司からの無茶振りとは違う。これは、我々自身の希望のための開発だ。タクト村長、我々の技術(エンジニアリング)を信じてくれ」


彼らの熱意に、俺は言葉を失った。

やらされる労働ではなく、自律的な熱意(真のやりがい)から生まれる集中力。それは、ルールで縛るべきものではないのかもしれない。


「……わかった。明日には必ず完成させろ。それまで、前線の防衛は俺たちが絶対に持たせる!」


「任せてよ、村長!」


明日はいよいよ、クロサキ率いるブラック騎士団との直接対決だ。

俺は二人の最高のエンジニアに希望を託し、決戦の夜明けを待った。


(残り254日。明日は何が出る?)

【キャラクター紹介(110日目時点)】


タクト

元PMの村長。前世のトラウマであるブラック社長の襲来とカレンダーのシステムダウンに心が折れかけるが、自律的に動く村人たちの姿に「真のリーダー」として覚醒する。


シルフィ

エルフの秘書。タクトの異変にいち早く気づき、献身的に彼を支える。


ガルド

ドワーフの建築リーダー。カレンダーがなくても、自らの腕と仲間を信じて防壁を構築する頼れる兄貴分。


クロエ

最高技術責任者(CTO)。徹夜禁止のルールを自ら破り、「やりたいからやる」という本物の熱意で洗脳解除装置の開発に挑む天才錬金術師。


ネクロディア

最高デジタル責任者(CDO)。クロエと共に、かつてのデスマーチとは違う「希望のための徹夜」を楽しむ骸骨大魔導士。


アーサー

元勇者。ブラック騎士団を一歩も通さないため,、再び聖剣を握り最前線に立つ。


黒崎(クロサキ)

タクトの前世のブラック企業社長。異世界に召喚され、固有スキル【絶対的やりがい搾取(マインドコントロール)】で王国軍を一万の狂戦士(ブラック騎士団)に変えて進軍してくる最悪の敵。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。