第105話:【105日目】ボトムアップと、社内ベンチャー制度
シャッフルランチの効果は絶大だった。
翌105日目の朝。村役場(PMO)の俺のデスクには、部署の垣根を越えたチームから「こんな新しいモノを作ってみたい!」という提案書が山のように届いていた。
「村長! 昨日のランチで出た『魔力アシスト付きの農作業カート』、絶対に便利だと思うんです! 予算と時間をください!」
ガルドとガロ族長が、目を輝かせてプレゼンにやってきた。
さらに、総料理長のセシルからは「余った世界樹の果実を使って、専門のスイーツブランド(店舗)を立ち上げたい」という提案まで飛び出した。
「素晴らしい。社員が自発的に新しい事業を提案する(ボトムアップのイノベーション)。組織が完全に成熟した証拠だ」
俺は彼らの意欲を全力で支援するため、「残り260日」のカレンダーをめくった。
『SSRアイテム【新規事業・魔導ピッチルーム】を獲得しました』
『※提案者の頭の中にあるアイデアを、リアルな3Dホログラムとして空間に具現化する魔法の会議室です。PMの承認(決裁)が下りると、必要な初期予算(魔力と素材)が即座に支給されます』
「よし! 今日からウチの村に『社内ベンチャー制度』を導入する!」
俺は提案を持ってきたメンバーをピッチルームに集めた。
ガルドが頭の中で設計図を思い浮かべると、空間に「新型アシストカート」のリアルな立体映像が浮かび上がった。
車輪の構造から魔力の流れまで、手に取るように分かる。
「なるほど、これなら収穫の効率がさらに20%は上がるな。よし、承認だ! 初期予算として無限箱の素材アクセス権を付与する!」
「ガハハ! やったぜ! 最高のカートを作ってやる!」
続いて、セシルが「色とりどりの宝石のようなマカロンやケーキ」の映像を投影する。
「村のみんなが、いつでも甘いもので幸せになれるパティスリーを作りたいんです!」
「完璧なビジョンだ。承認! 建築部隊に専用の店舗を作ってもらおう」
「ありがとうございますっ!」
次々と新しいプロジェクトが立ち上がり、村全体が一つの巨大な「インキュベーター(起業支援施設)」のような熱気に包まれていく。
言われたことをこなすだけの労働者(社畜)は、もうこの村には一人もいない。
全員が、自分の仕事に誇りを持ち、村を良くするためのクリエイターになっているのだ。
魔王復活まで、あと259日。
自律的に成長を続ける500人の最強のクリエイター集団。
ホワイト村の進化は、もはや俺の想像すら超えるスピードで加速し始めていた。
(残り259日。明日は何が出る?)




