↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

PR
104/170

第104話:【104日目】組織のサイロ化と、シャッフルランチ

 眼精疲労も解消され、村は今日も平和に回っている。

 お昼時。俺がフードコートに向かうと、そこには少し気になる光景が広がっていた。


 500人規模の広大な飲食スペース。しかし、座っているグループをよく見ると、建築部隊(ドワーフ)はドワーフ同士で、農業部隊(獣人)は獣人同士で、防衛部隊(魔族)は魔族同士で固まって食事をとっていたのだ。


「タクト様。部署ごとの連携は取れていますが、休憩時間などではどうしても『同じ部署の気の合う仲間』だけで固まってしまう傾向があるようです」

 シルフィが、サンドイッチをかじりながら指摘した。


「典型的な『組織のサイロ化(タコツボ化)』の初期症状だな」


 人間関係が固定化されると、部署間の雑談がなくなり、新しいアイデア(イノベーション)が生まれにくくなる。

 異なる価値観を持つ者同士の偶然の交流(セレンディピティ)こそが、組織を成長させるのだ。


「よし、明日のランチは強制的に『席替え』をしよう」


 104日目の朝。俺は「残り261日」の紙をめくった。

 現れたのは、ルーレット盤が埋め込まれたような、巨大で不思議な円卓のセットだった。


『SSRアイテム【運命の交差点(シャッフル)・魔導ランチテーブル】を獲得しました』

『※社員証(魔石)をかざすと、部署や種族の垣根を越えた「ランダムな四人一組」を自動でマッチングし、最適な席へ案内します。会話が弾む絶品コース料理付き』


「キタ! これぞ最強の社内交流ツール、シャッフルランチ!」


 お昼のチャイムが鳴り、フードコートに集まった500人の社員たちに、俺はこのシステムを説明した。

 最初は「知らない人と食べるなんて緊張する」と戸惑っていた村人たちだったが、テーブルに着くと、その不安は一瞬で吹き飛んだ。


「おっ、勇者の兄ちゃんじゃないか! 同じ席になるとはな!」

「あ、ガルドさん! それに、そちらは元王国軍の……」


 あるテーブルでは、ドワーフのガルド、勇者アーサー、元王国軍の兵士、そしてゴブリンという、かつてなら絶対にあり得ない組み合わせが同席していた。

 テーブルの中央には、それぞれの好物(アーサーには極上焼肉、ガルドには熱燗など)が自動で提供される。

 美味しいご飯を前にすれば、自然と会話は弾むものだ。


「実は俺様、新しい輸送用カートの車輪の構造で悩んでてよ」

「あ、それなら俺が野宿の時に使っていた、荷車を軽くする生活魔法(サバイバル術)が応用できるかもしれませんよ!」

「フゴッ! オイラたちの農業用の肥料運びにも、それ使ってほしいな!」


 異なる背景を持つ者同士の雑談から、業務を改善する新しいアイデアが次々と生まれていく。

 フードコート中が、活気に満ちた笑い声と熱を帯びた議論で包まれていた。

 部署の壁を越えたコミュニケーションが、ホワイト村をまた一つ上のステージへと押し上げたのだった。


(残り260日。明日は何が出る?)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。