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目には目を、歯には歯を、能力には、能力を  作者: 妄想お面
不滅ノ翼防衛戦

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53/54

不運の一撃

第53話です!

是非楽しんでください!

 俺はアニマに追撃をするために距離を縮めにいく。


 アニマは、避けない。


 そもそも瞬時に再生するアニマには避けるという行動ははなから選択にないのだろう。


 瓦礫を押し退けながら、ゆっくりと立ち上がる。


 アニマの口元は、嬉しそうに歪んでいる。


 「来なさい。」


 その一言と同時に。


 地面が爆ぜ、無数の手が生えてくる。


 俺はそれを避けながら斧幸を振り上げる。


 巨大化。


 人間が振るうにはあまりにも馬鹿げた質量が、路地ごと叩き潰す勢いで振り下ろされる。


 アニマは腕を増殖させ、それを重ね、巨大な肉盾となって斧幸を受け止めた。


 轟音。


 衝撃波だけで周囲の木々が粉々に砕け散る。


 「重いですねぇ……!」


 「だったら潰れろ!」


 俺は全身の筋肉を軋ませながら押し込む。


 その瞬間。


 バキッ。


 俺の足元が陥没した。


 「あ?」


 体勢が崩れる。


 いつもの不運。

 

 俺は笑う。

 

 崩れた身体をそのまま回転させて巨大な斧が遠心力を得て横薙ぎに変化し、アニマの腕をまとめて刈り飛ばした。


 肉片が舞い、骨が砕ける。

 

 そして刈り飛ばされた腕は先程の斧幸での攻撃で破壊されたものによって押しつぶされる。


 アニマ本体は新しい腕が生えてくる。


 「ええ、ええ……!」


 アニマは恍惚と頬を染める。


 「実に素晴らしい!刈り飛ばされた私の腕から新たな私を生み出そうと試してみましたが再生するたびに瓦礫に押しつぶされ、破片が血管に入りズタズタに引き裂かれてなど人形にするには少々時間がかかりますね。分裂した私にも不運は電波するのですね。これでは私の数だけ不運が起こるという最悪な状況です。ですので無闇に増やせませんね。」


 俺は攻撃の手を緩めない。


 斧幸を放り投げ、空中でさらに巨大化させる。


 民家ほどの大きさになった斧が落下する。


 普通なら避ける。


 だがアニマは腕を増殖させ、真上へ突き出した。


 増殖した腕と巨大な斧が激突する。


 腕が千切れ飛ぶ。


 血が雨になる。


 それでも押し返せない。


 巨大な斧が、そのままアニマを地面へ叩き込んだ。


 轟ッ!!


 石畳が陥没し、巨大なクレーターが生まれる。


 砂煙がまい、何も見えなくなる。


 「終わったか?」


 俺はクレーターを覗き込む。


 するとクレーターの中から、一本の腕が伸びた。


 腕は地面を掴み。


 さらに一本。


 さらに一本。


 さらに一本。


 蜘蛛の足のように何十本もの腕で身体を持ち上げる。


 その身体は大きく膨れ上がり先程の斧幸と同等の大きさとなり、頭が九つになり、その首が伸び、身体中から無数の腕が生えている。


 その異形を見て。


 俺は舌打ちした。


 「化け物かよ」


 「いいえ。」


 アニマは首を左右に鳴らす。


 ゴキリ。


 ゴキゴキ。


 折れた骨を無理やり繋ぎながら微笑む。


 「これは信仰の集合体です。貴方が刈り飛ばした全ての腕と合体したのです。あの腕だけでも何人分の私になったでしょうか?それらを全て吸収した私は人の姿を捨て、主の使命を全うする醜き獣へと姿を変えたのです!」


 次の瞬間。


 俺の視界を埋め尽くす無数の腕が槍のように。蛇のように、一斉に俺へ襲いかかる。


 「っ!」


 斧幸を振る。

 

 腕を切り飛ばすたび、新しい腕がその断面から伸びる。


 右から、左から、頭上から、足元から。


 避けきれずにダメージが蓄積していく。


 俺は一度距離を取るために地面に思いっきり斧幸を叩きつけて目眩しをして素早くものがけに隠れる。


 アニマの注意が俺が今隠れているところから外れる瞬間を狙うため注意を払う。


 「バレバレですよ!」


 アニマの腕が一斉に物陰ごと俺を叩きつける。



 「ガハッ!」


 何本もの腕のラッシュにより、俺は左腕、右目、左腹部などが潰れる。


 だが、幸い、というより、アニマ自身が不運になっているためか両足と斧幸を握る右手は残っている。


 アストラの鎖を身体に巻き付けて固定してなんとか立ち上がる。


 「驚きましたか?そういえば貴方には言ってませんでしたね。私の第3の目を、」


 そう言ったアニマの額には目が存在していた。


 「この目は神凪一族同様、遺物の色と人の闘気の色を見ることができます。それを利用して貴方の闘気の色が見えたところに一斉攻撃をしたのです。しかしこちら、視界に入らないと見えませんので死角に入られたらどうしようもありません。しかし、しかし!しかし!しかし!私の主への献身からか主はこの状態にピッタリな姿に私を変えてくださった。私の九つの頭全てにこの目があるのです!これにより九つ全てが別の方角を向けば私に死角はゼロなのです!っと、このように長話する時間はありませんでしたね。早く決着をつけて祝福を回収しなければ。最低でも鍵となるアストラだけでも。」


 何を言っているか、完璧には理解できなかったが要するにアニマから隠れることはできなくなったということか。


 『ごめん!ルシアン、時間切れ。』


 アストラの鉄球が完全に治った。


 《カウンター・オブ・フェイト》には時間制限がある。それはアストラの鉄球が完全に治るまでである。


 鉄球が完全に治ったら《カウンター・オブ・フェイト》は効果がなくなり相手の運が元に戻る。


 つまりはアニマへのデバフが完全に無くなった。


 本当に今日はついてないな。


 ヴァイスとの戦闘の直後にユキ達に揶揄われる。


 その後すぐにソーマネクルの第二司教が襲ってくる。


 頼みの綱の修羅丸副隊長とメノウの姐さんは戦線離脱。


 仲間とは孤立して、外からの救援も絶望的。


 起死回生を狙って《カウンター・オブ・フェイト》を発動するも相手を倒しきれない。


 それどころか全ての渾身の攻撃を喰らわせた上でアニマは更にパワーアップして傷も全て再生。


 対する俺は身体中ボロボロでアストラの鎖なしでは立つことすらできない。


 それにあの額の目、あれのせいで隠れることすらできない。


 今日は厄日にも程がある。


 今日何度、こけた?何度、攻撃を喰らった?何度、不運に見舞われた?


 斧幸が重い。


 「はっ……!」


 俺は笑った。


 「今日は本当にツイてねぇ。」


 俺は笑いながらアストラの鉄球を破壊する。


 「何を!」


 「効果発動!《カウンター・オブ・フェイト》!モードパンドラの箱!」


 斧幸の重さが倍以上に重くなる。


 《カウンター・オブ・フェイト》の対象が自分の時、自分の運は倍になる。


 俺は《カウンター・オブ・フェイト》の発動条件が絶対に不運になるように構成しているため自らに発動しても幸運には決してならない。


 そういったデメリットがあるからこそ自らに使える。


 俺の不運は倍になった。普通なら意味がない。


 だが、斧幸なら違う。


 斧幸は自身が不運な目に遭うほど威力が上がる。


 もうこれに賭けるしかない。


 俺は斧幸をひきずりながら叫ぶ。


 「《厄災(ディザスター)風斬(テンペスト)》ッ!」

最後まで読んで頂きありがとうございました!


もしこの作品が気に入りましたら感想や評価をいただけると幸いです。

そうでなくともこの作品が少しでも気に入っていただけたら今後も読んでいただけると幸いです。


改めまして最後まで読んでいただきありがとうございました!

また次回もお楽しみください

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