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目には目を、歯には歯を、能力には、能力を  作者: 妄想お面
不滅ノ翼防衛戦

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52/54

カウター・オブ・フェイト

第52話です!

是非楽しんでください!

ルシアンとアニマの戦闘は激しさを増していく。


 アニマの腕が薙ぐ。


 石壁が砕け、瓦礫が弾け、砂煙が舞う。


 「っ、重てぇな……!」


 俺は斧幸を巨大化させ、その腕を正面から受け止めた。


 衝撃が腕から肩へ抜ける。


 踏ん張った足元の石畳が割れ、俺の右足が滑る。


 普通なら最悪の体勢。


 だが、ルシアンにとっては慣れたものだった。


 「また足場が崩れやがった。けどこういう時は!」

 

 滑った足をそのまま流れに任せて全身で倒れにいく。


 崩れた姿勢を利用して、正面から外れて斧幸でアニマの拳を流すことに成功する。


 すぐにアストラをアニマの胴体目掛けて飛ばす。


 巨大な鉄球がアニマの胴を叩きつける。


 骨が砕ける音と肉が潰れる感触がしたと同時にアニマの身体が宙へ浮いた。


 そのまま遠くに飛んでくれれば今のアストラの鎖の長さなら一方的に攻撃できるようになる。


 だが、遠くに吹き飛ばない。


 増えた腕の一本が路地の壁に突き刺さり、身体を無理やり固定していた。


 「ええ、ええ……素晴らしい。崩れた足場すら利用するとは。なるほど、不運を利用した戦闘スタイル。言葉では聞いていたものの実物を見ると実に面白く合理的な動きでしょう。転び、滑り、砕け、遅れ、失い、それでもなお立ち続ける。ああ、なんと痛ましい。なんと滑稽。なんと惨め。それなのにどうして美しさを感じるのでしょう?」


 「褒めてんのか煽ってんのか、どっちかにしろよ」


 俺はアストラを振るう。


 鎖が伸びる。


 今は第四階層の階層ボスであるヴァイスを倒した直後にソーマネクルの司教と遭遇。


 修羅丸副隊長も戦闘不能。


 メノウの姐さんも片腕を失った上に何処かに連れ去られる。


 その上他の仲間と分断された上に他の隊からの援軍は絶望的。


 本当についてない。


 厄日といっていい日だろう。


 だからこそ、鎖はよく伸びる!


 アストラの鎖が唸る。


 空気を裂く金属音が、路地に何重にも反響した。


 アストラは不規則に跳ね、瓦礫に当たり、砕けた壁を抉り、地面を削りながら軌道を変えていく。


 ルシアンは鎖を引く手に力を込める。


 ガンッ!!


 鉄球が崩れた家屋の柱に直撃する。


 柱は倒れず、中途半端に折れ曲がった。


 その拍子に天井の瓦礫が大量に落下する。

 

 その瓦礫がルシアンに降りかかる。


 しかし、その落下した瓦礫に鎖が次々と衝突し、瓦礫の軌道を変え続ける。

 

 そしていつのまにか誰一人として予測できない軌道でアニマへと襲いかかる。


 アニマは腕を十本に増やし、四本を地面へ、三本を壁へと飛ばされないように支えとして残る三本を盾のように重ねる。


 「実に興味深い。不運という偶然を、自らの意思で戦術へ昇華している。普通の人間ならば転倒で終わるものを、あなたは攻撃へ変えてしまう。」


 アニマは瓦礫を受け切ったのち不敵に笑う。


 その瞬間。


 ガンッ!!


 鉄球がアニマが支えとしている壁を叩いて跳ね返り、アニマへと向かう。


 迎撃しようと先程縦にしていた腕を伸ばすが。

 

 ガラリとアニマが支えとしていた壁が崩れ、腕は支えを失い、その方向にアニマは体勢を崩す。


 「ほう?」


 体制を崩した横腹へ鉄球が迫る。


 だがアニマは避けない。


 支えが意味をなさないと判断したアニマは10本全てを鉄球を受け止めるのに使用して腕に穴を開けながら壁に激突する。


 それによりアニマはアストラの鉄球を完全に受け止めた。


 鎖をいくら引っ張ろうともまるで地面に固定されているかのように動かすことができない。


 「いい攻撃でした。不運だけに頼らず起こりうる不幸を予測して攻撃に繋げる技量。それを支える確かな実力と経験。非常に感動しました。しかし、これ、硬いですねぇ。このままこれを放置すると後々めんどうですね。幸い壊せないほどではないですし壊すとしましょう。」


 「壊してみろよ、けどそれはパンドラの箱だぜ!」


 「おや?ハッタリだと思ってますか?もう少し慌てて下さるとこちらとしては嬉しかったのですが。まぁ、そのお口が閉じるのを期待して破壊するとしましょう。」


 アニマの指に力が入る。


 バキンッ。


 アストラの鉄球に亀裂が走り、そのまま砕け散る。


 「効果発動!《カウンター・オブ・フェイト》モードパンドラの箱!」


 次の瞬間、黒い靄のようなものが砕けた鉄球から溢れ出し、アニマの腕へ絡みつく。


 不運の共有。


 アストラの能力が発動した。


 「……おや?」


 アニマが首を傾げた瞬間。


 背後の壁が崩れた。


 アニマは偶然にもたまたま不運にも崩れた壁の下敷きになる。

 

 追い討ちをかけるようにアニマの足元の石畳が割れ、アニマの身体がわずかに傾いた。


 それにより再生途中であった伸ばしていた腕が別の腕に絡まり、動きが一瞬止まる。


 そこを見逃さずに巨大化した斧幸で更に一撃をお見舞いする。


 アニマはまた飛ばされないように腕を伸ばして何かを掴もうとするがその掴んだものが崩れて後方に飛ばされる。


 そこに運悪く尖った柵が並んでおり、アニマの身体中に深々と刺さる。


 無理矢理それを取ろうと力を入れると柄が壊れて連鎖するように近くの家屋が壊れて瓦礫に生き埋めとなる。


 「不運は電波する。不安になれている俺と不運になれていないお前だとどちらが有利かな?」


 俺は瓦礫に埋もれたアニマを見ながら斧幸を肩に担ぎ、得意げに笑う。


「……あぁ。あぁ、あぁ、あぁ。そういうことでしたか。」


 瓦礫の中から数本の手が生えてくる。


 そこから恍惚としたように目を細めたアニマの顔が出てきた。


 アニマはそのまま首をゆっくりと傾ける。


「不幸の電波、などという曖昧なものではありませんねぇ。

 兎幸殿…おっと、失礼いたしました。今はアストラ殿、とお呼びすべきでしょうか。

 彼女の能力、確か、《カウンター・オブ・フェイト》。自身が背負ったラックを相手へ反映する能力でしたか?

 いつ発動するのか疑問でしたがなるほど、なるほど、なるほど。

 あなたは、アストラ殿の鉄球が破壊されたときをトリガーにして破壊した対象に効果を発動するようにしたのですね。

 なんと、なんと、なんと……!

 実に合理的です!

 壊されない限りは強力な武器として作用し、壊せる実力者には少しでも己が勝率を上げるために己ではどうすることもできない運をさげ、対象の上振れを阻止した上で己のなれている土俵に引き摺り込む!

 更には己の武器が壊されたという貴方にとっての不運が起こることにより、斧幸により大きな不運が蓄積されて大きなバフとなる!

貴方が言った通りこれはまさにパンドラの箱!

まぁ、その残る希望は全て貴方のものですが。

実に醜悪。実に陰湿。そして実に、美しい!」


 喋りすぎたか?


 いや、あれだけの言葉でここまで推測できるこいつの方が異常か?


 アニマが言った通り俺は《カウンター・オブ・フェイト》を少しでも相手のバフに繋がることがないようにするために発動のトリガーをアストラの鉄球が破壊された時と絞った。アストラは時間が経てばまた修復されるもののしばらくの間使えない。


 しかしそうなることにより汎用性が高い武器が使用できなくなるという不運、それほどの敵と対峙することになっているという不運が俺の運に加算されてどんな運の時でも高い確率で不運の状態で相手に発動できる状況にした。


 それに伴って斧幸の不運の蓄積され威力がますというマッチポンプが出来上がる。


 更に今、奥の手であるこのカラクリに気づかれたということで更に不運が蓄積される。


 対強者と戦えるように強者であればあるほど斧幸が威力を上げられるように構成した俺の秘策。これで倒されてくれればかなり楽なんだがな。


 そう考えているとゴーン、ゴーンと鐘の音が鳴る。


 俺とアニマは察する。


 第四階層の階層ボス、ヴァイスが遺物になったことを。どっちの陣営がとった?


 いや!そんなのは今は置いておく!


 早くこいつを片付けてこの階層から出なければ!


 この階層はもうまもなく崩壊する!


 そう思いながら俺は決着を早めるために追撃を仕掛けにいく。

最後まで読んで頂きありがとうございました!


もしこの作品が気に入りましたら感想や評価をいただけると幸いです。

そうでなくともこの作品が少しでも気に入っていただけたら今後も読んでいただけると幸いです。


改めまして最後まで読んでいただきありがとうございました!

また次回もお楽しみください

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