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目には目を、歯には歯を、能力には、能力を  作者: 妄想お面
不滅ノ翼防衛戦

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50/54

開戦

第50話です!

是非楽しんでください!

 王城防衛は劣勢を強いられていた。


 数多くのゾンビと囚人、そしてアニマ。


 ゾンビと囚人に関しては他の者たちでも対応できるが。


 アニマに関してはクルス、ヴェロニカ、クライの3名しか戦いに持ち込めない。


 そしてアニマ以外のゾンビと囚人たちは高い再生能力を有しており、その上囚人に関しては何かしらの遺物と同化している可能性がある。


 アニマほど厄介ではなく集団で相手すれば決して倒せない相手ではない。


 ただ向こうの再生力に比べてこちらの損耗が激しく、マーベル率いる遺物管理局員が負傷者を回収しつつ治療を施している。


 幸いなのはゾンビと囚人達はどちらも理性を失っているようだから連携されない点だ。ミノス、エルミナがサポートに回ることによりなんとか戦線を維持している。


 「武庫(アーセナル)解放(リベレーション)!撃て!」


 クルスの周りに大砲がいくつも出現し、アニマに打ち込まれる。


 「出力最大!ぶっ飛べですわ!」


 ヴェロニカのハンマーが青い電気を纏いアニマに打ち付ける。


 「空戦重騎(エアレイド・バイカー)!武装展開!撃て!」


 宙を走るバイク、空戦重騎から多数の武装が展開され、一斉にアニマに放つ。


 三者とも複数のアニマに攻撃を仕掛ける。それはアニマに命中はすれどそれはアニマの致命傷にはつながらない。


 アニマは再生をしながら3人に笑いかける。


 「素晴らしい……素晴らしい、素晴らしい……ああ、実に、実に見事だ。

タルマカ王国を支える二大貴族……名門、名家、血統、誇り……ああ、どれもこれも美しい。

本当に……本当に素晴らしい!

ですが、ですが、ですが!

先程の攻撃で、いったい何人の私が再生に時間を費やしているのでしょうねぇ?

一人、二人、三人……数えきれない、尽きない、終わらない。

壊れて、崩れて、千切れて、裂けてそれでも、まだ足りない。

近衛騎士団団長……不滅ノ翼の隊長二人……三つの刃、三つの殺意、三つの終焉。

この猛攻、この圧、この死の連なりを私はどうやって、どうやって、どうやって掻い潜ればいいのでしょう?

……ああ、なるほど。

これは試練、主の審判!

主が、主が、主が!

またしても難題をお与えになったのですね?

なんと慈悲深く、なんと残酷で、なんと美しい。

それにしても……変わりましたねぇ、この国は。

変わった、変わった、変わってしまった。

かつては絶対、絶対的、不可侵の軍備を誇り

外を拒み、異物を拒み、他者を拒み。

それが今ではどうでしょう?

外に頼り、外に縋り、外に縋らねば何一つ守れない。

弱い、脆い、崩れやすい。

風に揺れ、水に削られ、音もなく崩れていく。

ふふ、ふふふ……

この国が島国でなければとっくに、とうに、すでに、既に。

滅びていたでしょうに。」


 「貴様が……貴様がそれを口にするのか、アニマ・フェルマータ!

貴様の所業が、どれほどの禍根をこの国に残したか分かっているのか!

二大貴族、そして俺たちのご先祖様が、どれほどの犠牲を払い、どれほどの苦労を重ねてきたと思っている!

国を存続させるため、どんな手段であろうと選ばざるを得なかった者たちの覚悟を……貴様に笑う資格はない!

今この瞬間も、外敵からこの国を守るために、どれだけの者が外交の場で命を削っていると思う!

それを引き起こした張本人が……何食わぬ顔で語るな!

その口を閉ざせ、アニマ・フェルマータ!

これは先祖から続く因縁

そして、俺たちに課せられた役目だ。

ここで終わらせる。すべてを断ち切る。

アニマ・フェルマータ!

貴様は、リヴェット家の名において……俺が討つ!」


 「よく言いましたわね!流石クルス様の弟様!わたくしももっとぶっ飛ばしますわ!」


 「私情は関係ない。貴様をここで逃がすわけにはいかない。それ以上の理由など不要だここで仕留める。」


 三者三様にアニマに向けて啖呵を切るがそれをアニマは"嫌そうな"顔で見つめる。


 「やはり、変わりませんねぇ。

リヴェット家も、フィンブリア家も……昔から、ずっと、ずっと。

熱に浮かされ、夢を語り、願いを吐き、できもしないことを、並べて、並べて、並べ立てる。

そのたびに、どれだけの者が潰れ、壊れ、沈んでいったことか……。

……ああ、失礼。

今のあなた方には関係のない、関係のない、関係のない話でしたねぇ。

それと……クライ・リヴェットさん。

あなたのその宣言に、私が返す言葉はどうでもいいです。ないのです。知る必要も、知る価値も、何ひとつ。

古巣?故郷?血筋?誇り?

ふふ、ふふふ……そんなもの、とうに、とうに捨てました。

今の私にとっては、ただの他人。無関係。無意味。無価値。

他人事のように、ではないのですよ本当に、他人事なのです。

むしろ……感謝していただきたいくらいです。

あの沈みゆく舟、泥に沈み、底へ落ちていくあの国を主のために、有効に、有益に、無駄なく使って差し上げたのですから。

ああ……惜しい、惜しい、惜しい。

ソーマネクルの手でヒュベルの実権を握れれば完璧、完全、完全無欠だったのに。

ですが……ですが、それでこそ。

思い通りにならない、計画が狂う、崩れる、歪む……それこそが試練!

主が、主が、主が……私に与えてくださった試練!

乗り越えろと!超えろと!壊せと!捧げろと!

その先にその先にだけ、私が望む世界がある。

在るのです。必ず。」


 「貴様の望む世界など知らん。興味もない。

だが一つだけ確かなことがある。

それはここで貴様が倒されるということだ。」


 「倒す、倒す、倒す……」


 アニマが首を傾げる。


 「どうやって?どうやって?どうやって?

あなた方は確かに強い、ですが……足りない。

決定的に、決定的に、決定的に。」


 「……何がだ。」


 クライが静かに問う。


 アニマは笑う。

 

「“終わらせる力”それこそが、今ここで必要なものなのですよ。

あなた方では、私を倒すことはできない。できない、決して。

ですが……今の私では、あなた方を屠ることもまた叶わない。

届かない。足りない。まだ満ちていない。

ならばこそ、ならばこそです。

見せましょう。魅せましょう。示しましょう。

終焉を、結末を、閉じるための力を。

さあ、目を逸らさずご覧なさい。融合!」


 三者をそれぞれ相手にしていたアニマが一つになっていく。


 そして顔が三つ、腕が6本のものが現れる。


 「言ったところで変わらないと思いますのでもうお教えしますね。私1人ですと非力でしてね、普段は人の姿を保てる10人で融合している姿なんですよ。それで筋力10倍などにして攻撃力を上げているのですが、それでも私では追いつけない者達がいるのです。しかし私は自身と融合すればするほど力を増すのです。ちなみにこちらは30人分の私の姿です。」


  「……気色の悪い姿ですわね。」


 ヴェロニカが巨大なハンマーを肩に担ぎ、鼻を鳴らした。


 「三十人分?でしたら三十倍まとめて叩けば済む話ですわ!」


 「それ計算になっているか?」


 クルスはそう返しつつも、視線は一切逸らさない。


 目の前の異形、三つの顔、六本の腕、膨れ上がった肉体。


 そこから放たれる圧だけで、周囲の兵たちが無意識に後退していた。


 クライもまた空戦重騎の上で低く構える。

 

 「以前の個体とは別物だ。近衛兵は下がれ。巻き込まれる。」


 「ご明察。」


 三つの顔が同時に笑う。


 中央が語り、左右が嗤い、音が重なって耳障りな不協和音となる。


 「これまでの私は“数”。これよりの私は“質”です。」


 ズン――ッ!


 踏み込み。


 それだけで石畳が波打ち、前線の兵士たちが足を取られる。


 「まずは速さをお見せしましょう。」


 消えた。


 「上ですわ!」


 ヴェロニカの叫びと同時に、空から拳が落ちる。


 轟音。


 地面が陥没する。


 だが、そこにヴェロニカはいない。


 「甘いですわぁ!」


 宙駆ける鋼鉄馬が横合いから突撃し、ヴェロニカのハンマーがアニマの胴へ叩き込まれる。


 雷光が炸裂。


 巨体が大きくのけぞる。


 「おやおや、重い、重い、重い。」


 だが次の瞬間、六本の腕が同時に伸びた。


 馬の首を押さえ、ハンマーを受け止め、ヴェロニカの肩を掴み、残る腕で地面を支える。


 そのまま力任せに振り回す。


 「きゃ――ですわぁぁぁ!?」


 ヴェロニカと馬がまとめて投げ飛ばされ、防壁へ激突。


 石壁が砕け散る。


 「ヴェロニカ!」


 クルスが叫ぶ。


 「問題ありませんわ!!」


 瓦礫の中から元気な声が返ってきた。


 「ちょっと目が回っただけですの!」


 「無事ならいい。」


 クルスは短く告げ、前へ出る。


 「武庫解放。」


 背後に無数の砲門。


 「全弾、一斉射。」


 轟音と共に兵装が火を噴く。


 弾幕がアニマへ殺到する。


 だが。


 六本の腕が暴風のように振るわれる。


 砲弾は叩き落とされ、煙を割ってアニマが突っ込んでくる。


 「遅い、遅い、遅い。」


 「……なら近くでやる。」


 クルスが剣を抜く。


 一閃。


 鋼を裂くような軌道で首筋を狙う。


 しかし刃は皮膚の途中で止まった。


 硬い。


 肉体そのものが鎧のようだった。


 「斬れんか。」


 「残念。」


 アニマの拳が返る。


 クルスは紙一重で躱し、頬だけを裂かれる。


 その瞬間、上空から銃火。


 クライの空戦重騎が急降下していた。


 「空を見ろ。」


 機銃掃射。


 連続着弾でアニマの顔面が大きく揺れる。


 クルスはその隙に後退。


 「助かった。」


 「借り一つ。」


 「覚えておく。」


 「美しい、美しい、美しい……連携ですねぇ。」


 三つの顔が同時に笑う。


 そこへ瓦礫を蹴散らしながらヴェロニカが戻る。


 髪は乱れ、ドレスは破れ、それでも満面の笑みだった。


 「なんですのこの頑丈さ!最高ですわ!!」


 「喜ぶところではない。」


 「だって叩きがいがありますもの!」


 ヴェロニカは鋼鉄の馬へ飛び乗る。


 「クルス様!クライ様!合わせますわよ!」


 「勝手に決めるな。」


 「だが異論はない。」


 クライの空戦重騎が上昇する。


 クルスの背後に再び砲門が現れる。


 三方向包囲。


 地上正面にクルス。


 高速機動のヴェロニカ。


 上空制圧のクライ。


 アニマがゆっくりと三つの顔を巡らせる。


 「ようやく本気、ようやく本番、ようやく戦いですねぇ。」


 六本の腕が構えられる。


 「来なさい。三人まとめて、試して差し上げましょう。」


 「上等ですわ!」


 「……行くぞ。」


 「全軍、援護射撃開始。」


 三者が同時に動いた。


 それをアニマは一本の腕で砲門を破壊し、一本の腕で瓦礫を投げて空戦重騎の攻撃を相殺し、残り4本の腕で突撃するヴェロニカとそれを援護するために突撃するクルスをいなしている。


 四本の腕が、暴風のように唸る。


 ヴェロニカの鋼鉄馬が空を蹴り、稲妻を纏った巨大ハンマーが真横から振り抜かれる。


 「ぶっ飛びなさいませぇぇぇッ!!」


 だがアニマは正面を見たまま、横から伸ばした一本の腕でその一撃を受け止めた。


 轟音。


 衝撃波で周囲の石畳がめくれ上がる。


 常人なら身体ごと粉砕される一撃。


 それを、片腕一本で止めた。


 「軽い。」


 「でしたらもっと重くして差し上げますわ!」


 ヴェロニカが笑う。


 鋼鉄馬の脚部が展開し、後方噴射。


 推進力が加算される。


 押し込み合い。


 ハンマーの先端から青白い雷が走り、アニマの腕を焼く。


 だが焼けた肉は瞬時に再生し、筋肉がさらに膨れ上がる。


 「面白い、面白い。」


 その瞬間。


 残る三本の腕が同時にヴェロニカへ伸びた。


 頭、胴、馬の脚。


 別角度、別速度、別タイミング。


 完璧な三連撃。


 「させるか!」


 クルスが割って入る。


 抜刀。


 一閃、二閃、三閃。


 火花が散る。


 刃は肉を断てずとも、軌道だけは逸らした。


 拳がヴェロニカの頬すれすれを通過し、鋼鉄馬のたてがみを削り、地面に大穴を穿つ。


 「助かりましたわ、クルス様!」


 「礼は後だ。集中しろ!」


 クルスの背後に無数の砲門が浮かぶ。


 鋼鉄の影が空を埋めた。


 「全砲門――掃射。」


 ドドドドドドドドドッ!!


 弾雨。


 連続砲撃がアニマの全身へ叩き込まれる。


 肩が揺れ、胴が沈み、三つの顔が同時にのけぞる。


 「効いておりますわ!」


 「いや――」


 クライが上空から低く告げる。


 「まだだ。」


 煙幕の奥。


 六つの眼光が、ぎらりと光る。


 次の瞬間。


 アニマが煙ごと突き破って現れた。


 「足りない。」


 巨体とは思えぬ速度でクルスへ肉薄する。


 「っ!」


 クルスは砲門を盾代わりに前面展開。


 だが。


 バキィィン!!


 拳一発で三門まとめて粉砕。


 二撃目が腹へ迫る。


 「クルス様ァァ!!」


 ヴェロニカが横から割り込み、ハンマーで拳を打ち上げる。


 衝突と同時に雷光爆散。


 アニマの拳道が僅かに逸れ、クルスの脇腹を掠めるだけに留まる。


 それでもクルスの身体は数十メートル吹き飛び、石壁を砕いて止まった。


 「……この威力で掠っただけか。」


 血を吐きながら、クルスは立つ。


 「化け物め。」

 

 「褒め言葉として受け取りましょう。」


 アニマが嗤う。


 だがその顔面へ。


 上空から一直線に黒い影が落ちる。


 クライだった。


 空戦重騎から跳躍し、両手に携えた槍状兵装をアニマの顔面へ突き立てる。


 「落ちろ。」


 爆発。


 三つの顔が同時に地面へ叩きつけられる。


 さらに空戦重騎が自律旋回し、全武装一斉発射。


 ミサイル、機銃、散弾。


 着弾の嵐。


 「今だ!畳みかけろ!」


 クライの叫びに応じるように。


 ヴェロニカが笑う。


 「待っておりましたわぁぁぁ!!」


 鋼鉄馬が跳ぶ。


 空中一回転。


 全体重、推進力、落下速度、雷撃。


 その全てを乗せた一撃。


 「超・お嬢様打撃ですわぁぁぁぁぁッ!!」


 巨大ハンマーがアニマの頭上へ落ちる。


 ドゴォォォン!!


 王城の地面が陥没した。


 衝撃で兵士たちが吹き飛び、結界がきしむ。


 土煙が舞い上がる。


 「決まりですわね!」


 ヴェロニカは胸を張る。


 しかし。


 煙の中から、ゆっくりと六本の腕が伸びる。


 ハンマーの頭部を掴む。


 柄を掴む。


 鋼鉄馬の首を掴む。


 ヴェロニカの両腕を掴む。


 「――え?」


 煙が晴れる。


 そこには、膝をついたまま笑うアニマがいた。


 三つの顔すべてが、満面の笑み。


 「素晴らしい。実に、実に、実に素晴らしい。」


 そのまま、立ち上がる。


 ヴェロニカを持ち上げたまま。


 「ですがまだ軽い。」


 「離しなさいませぇぇ!!」


 暴れるヴェロニカごと、アニマは振りかぶる。


 「ヴェロニカ!」


 クルスとクライが同時に動く。


 だが間に合わない。


 残りのアニマの腕が、ヴェロニカを襲う。

最後まで読んで頂きありがとうございました!


もしこの作品が気に入りましたら感想や評価をいただけると幸いです。

そうでなくともこの作品が少しでも気に入っていただけたら今後も読んでいただけると幸いです。


改めまして最後まで読んでいただきありがとうございました!

また次回もお楽しみください

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