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目には目を、歯には歯を、能力には、能力を  作者: 妄想お面
第4章

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40/44

本番

第40話です!

是非楽しんでください!

 針男の形が崩れていく。


 再生もしてこない。


 ここから察するにルシアンがヴァイスを撃破したのだろう。


 私はルシアンのいるところに向かう道中他の面々と合流する。


 ルシアンがいるところまで行くと彼はその場でうずくまっていた。


 「恥ずかしい…」


 どうやらシラフに戻ったようで先程までの自分を振り返ってダメージを受けているようだ。


 「ここは俺1人で相手してやるよ。かかってきな!」


 「グハッ!」


 ユキちゃんがあの時のルシアンの真似をしてからかっている。


 しかもわざわざ氷で斧幸とアストラの彫刻を作って再現している。


 「ユキ先輩それ〜、テンション上がって1人で突っ込んでボッコボコにされたヨワヨワの人の真似ですかぁ?うっま〜!特にその無様〜なとこ、完璧ですよ!」


 「ガハッ!」


 ものすごいダメージがルシアンを襲う。カスミちゃん、あんた鬼だよ!


 「……ルシアン、ホコリを食べている暇はない。早

く立ち上がれ。時間が勿体無い。」


 バレットのズバッとした言葉にうずくまっているルシアンの肩をピクリと震わせた。


 「……放っとけ。俺は今、俺の人生の中でかなり上位に食い込む恥ずかしい時間を過ごしてるんだ。」


 「ふふっ、そりゃそうだよねぇ〜?」と、カスミちゃんが追い打ちをかけるように言う。


 「だってあのセリフ、“ここは俺一人で相手してやるよ”だもん。……その数分後にボコボコだもんね?」


 「ぐっ……やめろ、思い出させるな……!」


 「そうだ!」とユキちゃんが冷気をまとった指で空に何かを描く。


 氷の粒が瞬く間に集まり、ルシアンが斧を掲げている姿が氷像として再現された。


 「これ、完全再現版。どう? 本物よりカッコいいでしょ?」


 「うわ、似てる……」と私が思わずつぶやくと、


 「なっ!? 似てない! そんな恥ずかしい顔してねぇ!!」とルシアンが反論。


 でも、氷像の口元は見事に“イキってる最中”の形をしていた。

 

 「ルシアン。」


 「バレット!哀れみの目で俺を見るな!」


 「ルシアン先輩!尊敬します!単身で階層ボスに挑むガッツ!僕にはできないことなので本当に尊敬します!」


 「ぐはっ……!ここにきて純粋な尊敬の眼差し!見ないでそんな綺麗な目で俺を見ないで!」


 もうルシアンの体から立ち上るオーラは完全に消え失せていた。

 

 「……お前らな、優しくしろよ……俺、傷心なんだぞ……。一応ヴァイスを撃破した俺を労ってくれよ〜。」



 「大丈夫だよ〜」


 ユキちゃんが斧幸とアストラを構えたルシアンの氷の像を更に増やす。


 「労いの気持ちも込めてヴァイス単独撃破(笑)っていう彫刻を建てといてあげる。」


 「やめろぉぉぉ!!」


 ユキちゃんやめて!もうルシアンのライフはゼロよ!



 「ルシアン、拗ねないで早く第五階層に行こう。」


 「ミノリ、お前、慰めるでも揶揄うでもなく完全に今の状況の俺を無視して次の階層行こうとかちょっと酷くないか?まぁ、実際、一度第五階層に行ってセーブポイントに追加したのち装備を整えた方がいいか。」


 何か言っているがこれでついに第五階層に行ける!


 ヒュベル第五階層は深層への入り口と呼ばれている。


 ヒュベルを攻略するものならば第五階層からが本番とまで言われている。


 第四階層までならそれなりに踏破したギルドはいる。


 しかし第五階層以降になるとその数は激減する。


 今、人類が踏破している階層はアイクの到達記録である第七階層までである。


 そしてアイクですら第八階層は撤退を余儀なくされた。 


 そんな最難関に挑む玄関口についに私が行ける!


 物語の中だった世界をこの目で見れる!


 そんな興奮が私を先に急がせる。


 そんなとき、第五階層に行く扉が開かれる。


 私たちは誰も扉を開けていない。


 「ハイエナ行為か?」


 ここでいうハイエナ行為は自分が踏破した階層の階層ボスを倒したものの遺物を奪うことを指す。


 例を出すなら第二階層を踏破した探索者が第三階層に行く。


 そして一度第二階層の階層ボス部屋の前に転移し、誰かが挑戦していればそのまま第三階層に転移して戻る。


 その後、第二階層と第三階層へとつながる階段をつなぐ扉の前で待機する。


 そしてクリアが確認できたらその扉を括り、階層ボス戦で疲弊している他の探索者を始末して遺物だけ持ち去るといった行為だ。


 これがヒュベル攻略が盛んになった初期のころには結構な頻度で横行していたそうだ。


 しかしタルマカ国がヒュベルを管理するようになりギルド同士の取り決めでそういった行為は激減したが完全になくなったわけではないため大きなギルドでは自分たちのメンバーが挑むときそれより先の階層を踏破しているものがハイエナ対策のために見張りをするという対策をうっている。


 不滅ノ翼も例外ではなく今、私たちが挑戦しているため誰かが第五階層で待機している。


 そんな状況の中、扉が開いたということはそいつは不滅ノ翼メンバーを倒してきたこと。


 ひいてはギルドのトップに君臨する不滅ノ翼に喧嘩を売ったものである。


 いったいどんなやつが。


 ギィィ……と、重い扉が軋む音。


 誰もがその方向を向いたとき、そこに立っていたのは修羅丸さんだった。


 だけど、いつもの姿じゃない。


 全身が血まみれで、片足を引きずり、壁に手をついてやっと立っている。


 血が滴り、床を濡らし、その跡がまるで赤い線のように続いていた。


 光が差し込んで、その姿がはっきり見えた瞬間息を呑んだ。


 腹部が深く抉られ、そこから覗く肉がグチャグチャになっている。


 右目は潰れ、血が頬を伝い落ちていた。


 誰かが声を上げようとしたが、その前に修羅丸さんが口を開いた。


 「……逃げろ。」


 その声は、震えでも怒りでもなかった。


 真剣に私たちに逃げるように忠告しているのだ。


 「……な、何が……」


 私が言いかけると、修羅さんが私たちの方向に吹き飛んできた。


  修羅丸さんの身体が、私たちのすぐ目の前に転がり込んだ。


 修羅丸さんの血飛沫が私の頬に散る。息が詰まるほどの、圧。


 何が、起きたの。


 答えは、すぐに現れた。


 扉の向こう、黒い靄のようなものがゆらりと揺れる。


 その中から、ひとりの“男”が歩み出てきた。


 細身で、まるで骨と皮しかないような体。


 顔は病的に青白く、唇は死人のように色を失っている。


 編み込まれた灰色の髪が肩にかかり、その隙間から覗く翡翠色の瞳は……濁っていた。


 濁っているのに、光を宿している。気味が悪いほどに、静かで狂っていた。


 黒の司教服を纏い、その裾が返り血で赤く染まっている。

 

 彼は口角をゆっくりと吊り上げ、不気味な笑みを浮かべた。


 「おや……見事ですねぇ。」


 低く、柔らかく、それでいて底が見えない声。


 男は私たちに視線を向ける。


 「第四階層を死者なしで突破したとは……実に素晴らしい。

  ヴァイス殿は階層ボスには珍しく研鑽を積んでいる方です。それを犠牲者なしで突破する探索者を私は久しく見ていなかった。」


 私たちを褒めているような口ぶり。


 けれど、どこにも温かさなんてない。


 褒め言葉のひとつひとつが、まるで刃のように冷たく突き刺さる。


 「君たちの戦い……さぞ素晴らしいものだったのでしょう。

  血が躍り、肉が悲鳴を上げ、魂がぶつかり合う。

  まさしく“(しゅ)の祝福”に通じるものがあるでしょう。」


 彼は胸の前で両手を組み、祈るように微笑んだ。


 その動作ひとつひとつが神聖でありながら、どこまでも冒涜的だった。


 「……だが…、だが!だが!だが!これからは私の番だ。」


 その瞳が、氷のように細くなる。


 「主からお告げを頂戴いたしまして、第四階層の遺物を手に入れろというものでした。その遺物はヴァイス殿を倒した後に出る宝箱から出現するものも含まれるようです。そもそもどんな遺物かも言われておりませんでしたのでこの階層の遺物を全ていただくことに致しました。そこで他の探索者が手に入れられないようにこの階層は封鎖していたのですが、どうやら私の部下がメノウさんにやられたようであなた方が挑戦できてしまったようです。我々の信仰上教団以外の遺物所持者の遺物は回収するというのがありまして、それを実行に移すとともに目的の遺物をあなた方が手に入れていないか確認させていただきます。」


 その声音は、穏やかで、丁寧で。


 けれど、拒否を許す気配は微塵もなかった。


 ※※


 昼下がりの街に、香ばしい甘い匂いが漂っていた。

 

 ダンゴ屋の暖簾をくぐったのは、不滅ノ翼、一番隊副隊長、修羅丸だった。


 いつものように静かに席へつき、腰を下ろす。


 いつもの鋭さなど微塵も見せない穏やかな横顔。


 湯呑を手に取り、一息つこうとしたそのとき隣の席の男に気付く。


 「っ! これは失礼しました。挨拶もなしに。」

 

 黒髪、整った顔立ち、場の空気に溶け込んでいるような男を修羅丸は目にして急いで立ち上がる。


 その男が軽く手を上げ、修羅丸に柔らかく笑いかけた。


 「そうかしこまんなくて大丈夫ですよ。修羅丸さんの方が僕よりも功績が大きんだから。」


 「いえ、そんなわけには!不滅ノ翼十番隊隊長殿にそんな、」


 男は修羅丸の口に手を当てる


 「静かに、僕は次のデートに行くための甘味屋をリサーチしているところだからそんなに目立ちたくない。

  だから不滅ノ翼一番隊副隊長として顔が知られている修羅丸さんにかしこまれるとどうしても目立っちゃうから辞めてほしいです。」


 「承知しま…了解した。」


 男の口調は軽妙で、どこか芝居がかっている。


 人を緩ませ、気づけば主導権を握る。そんな天性の魅力を、彼は無意識のように使いこなしている。


 そう、この男こそが不滅ノ翼十番隊隊長ラヴェインなのである。


 「うん、それでお願いします。それにしてもこのダンゴ、非常に美味しいですね。値段も手頃なのもいいですね。

 僕の彼女、ただでさえ完璧な容姿なのにその上中身までトップオブ彼女だから僕が奢ると何度言っても自分で払おうとするからできるだけ彼女が見ているところで支払いをするところは安いところだと彼女の財布を痛めずに済むからありがたいよ。

 それはそうと、これ美味しいね。デートとは別にお土産に買っていきたいな。

 でもそうするとデートでこのダンゴ食したとき、このダンゴを食べた彼女の感動を奪うことになるのでは?

 それは完璧な彼女の彼氏である僕がやってはいけない行為なのでは?

 しかし僕だけ美味しいものを食べて何もお土産を持って帰らないのはいかがなものか…」


 まるで独り芝居のように、ラヴェインの独白が止まらない。


 修羅丸は軽くため息をつき、口を開いた。


 「なら、ドラヤキをお土産に買って行ってデートのときにダンゴを食べればいいのではないでしょう…ではないか。」


 「ここドラヤキも売ってたんですね。」


 「ダンゴ屋と言ってはいるが大半のワガシならここで販売している。どうせならここで一度食べて行くか?」


 「いや、遠慮します。修羅丸さんが勧めてくれたのだから美味しいに決まっているから僕も初見で食べて彼女と美味しさを共有したいからね。

  じゃあ、店員さ〜ん! ドラヤキ店にある分全部ください。」


 店内が一瞬、静まり返った。


 食べるのを止めた客たちが一斉に振り向く。


 「ぜ、ぜんぶですか?」


 「そう、全部。あっ、これから販売するのに迷惑でしたね。申し訳ない。」


 「いや、こちらとしてはいいんだけど彼女さんと2人で食べ切れるのかなと思って。」


 「あー、そこは気にしなくて大丈夫だ。」


 「修羅丸さんがそういうなら。にしてもお連れさんの彼女さんはかなり大食漢なのですね。」


 湯気の立つ店内に、微妙な沈黙が漂う。


 男は笑みを崩さず、茶を一口。


 修羅丸は、どこか遠い目でそれを見つめた。

 

 「あっそうだ。いいことを教えてくれた修羅丸さんに恩返しになるか微妙だけどさっき不滅ノ翼本部に提供した情報を伝えます。」


 男は真剣な眼差しで修羅丸を見つめる。


 「ソーマネクルの司教が動くそうです。どの司教かまではわからなかったのですが第四階層を占拠する予定のようです。そのため今、不滅ノ翼で第四階層に挑戦するものは最新の注意を払って探索するようにとの伝達です。」


 「待て!あんたが持ってくる情報だから確実なのだろうがこのタイミングでか!今まさに俺たちの隊が攻略しようとしている真っ最中だ!」


 「それは急いだ方がいいかもですね。」


 「店主!釣りはいらないからこれで会計しといてくれ。」


 「かしこまりました。」


 「こちら修羅丸。メノウ、急で悪いが第四階層の城前で警護を頼む。」


『こちらメノウ。状況はよう分からへんけど、ひとまず緊急やいうことやね。了解やわ、すぐそっち向かうわ。』


 「申し訳ないのですが俺はここで失礼します。」


 「修羅丸さんなら大半の司教になら善戦できると思いますが1人、修羅丸さんと相性最悪なものがいます。そいつはソーマネクル第ニ司教…」



 「そういえばそちらのお侍さん以外には名乗っていませんでしたね。私は偉大なる神を崇め、この世界に新たな秩序をもたらす宗教団体ソーマネクルに所属する第ニ司教、永劫の胎、アニマ・フェルマータです。短い間ですがよろしくどうぞ。」


 いつの間に倒れていたのか。


 視界の端が揺れ、色が褪せ、思考の奥に鈍い痛みが沈殿していく。


 ここはどこだ、あぁ、そうだ。


 確か俺はあいつと戦って敗北したんだった。


 少し走馬灯が見えた。


 「いや!修羅丸!しっかりして!」


 「修羅丸副隊長!お気を確かに!」


 声が、遠い。


 あぁ、俺はあれを止めることができなかったのか。


 喉が焼け、声が出ない。

 

 それでも、吐き出した。


 「逃…げろ…」


 たったその一言で、全身の力が抜け落ちた。


 クソ、一言言うのがやっとか


 「了解!ここは撤退する!ユキ!」


 「ちゃん呼びしてって言ってるじゃん!氷壁!」


 ルシアンの合図でユキが氷の壁を展開する。


 「長くは持たないと思うから気をつけて。」


 「了解!ヒュース!修羅丸副隊長を担いでくれ。」


 「了解です!修羅丸副隊長、少しの間失礼します。」  


 助けにきたはずが助けられるとは情けない。


 「逃げる?第五階層へと続く扉があるのに?ヒュベルの真理にまた近づけるチャンスを手放せって言うの?ふざけるな!ふざけるな!ふざけるな!私の邪魔をするな!」


 「おい!ミノリ!」


 氷壁を砕いたアニマへ、ミノリが斬りかかる。


 刃が肉を裂き、アニマの胴が真っ二つに割れた。

 

 しかし


 上半身が地に落ちる瞬間、切断面から黒い肉の柱が伸び、


 みるみるうちに新たな下半身が形成されていく。


 狂気じみた笑顔のまま、アニマは語り続けた。


 「いい攻撃ですね!まさに!まさに!まさに!日々の鍛錬の賜物でしょう!し〜か〜し〜っ、それゆえに!勿体無い!貴方が我々が崇める主を崇拝していればこんなところで死ぬこともないというのに!そうです!あなた!今からでもソーマネクルに入信しませんか?あなたのヒュベルへの狂気的な思い!まさしく我らが主が求めているものです!貴方が入信すれば司教の座も夢ではありません!あぁ!主よ!私にこのような素晴らしい出会いを与えてくださりありがとうございます!」


 ミノリはなおも斬り続ける。


 だが斬っても斬っても、アニマの体は湧き水のように再生し、


 むしろ愉悦に満ちた顔で勧誘を続けるだけだった。


 「ん〜、なかなか、なかなか、なかなか、首を縦に振ってくれませんね。怒りの香りがしますね。少し心を落ち着かせるために神言書でも読んであげましょう!」


 アニマが懐から黒い本を取り出した。


 ミノリはその本ごとアニマの手を斬る。


 だが次の瞬間、ミノリの体がまるで弾丸のように後方へ吹き飛ばされた。


 アニマの左腕が奇妙に増殖し、膨張し、ミノリを押さえつける。


 「あなた、あなた、あなた、あなた、あなた、あなた!こともあろうに神言書を切るなんて!なんと罰当たりな!しかし、神言書には汝の敵を許せと読み取れる文も存在します。なので殺しはしません。しかし悪いことをしたのならそれ相応の罰が必要とも記されてあります。安心してください。殺しはしないので。あぁ、主よ!今だ、人のみである下賎な私が人を罰することをお許しください!」


 次の瞬間、バキッ、と嫌な音が響いた。


 「っ……ぐ、あああああっ!!」


 アニマによって ミノリの右腕がねじ折られていた。


 「貴方は神言書を斬るという大罪を犯しました。しかし!神言書には

 目には目を、歯には歯を、能力には能力をと記されております。

 こちらは罰を与えるのには同等の痛みを与えろという解釈もあればそれを超える罰を与えてはならぬという解釈もあります。なので私は貴方に斬る以上の罰は与えません。ただそうすると同等の罰かわからないので量をこなすことで2つの解釈を満たせるようにします。そのため、これからあなたの左腕、右足、左足を順に罰を与えて行きます。この痛みに耐えたとき貴方の罪は許されるでしょう。」


 そのときだった


 「申し訳ない、質問したいのですがあちらの方はなんというお名前なのでしょうか?」


 俺たちは声が聞こえた方を向くとそこにアニマがいた。


 ミノリを拘束しているのもアニマ。


 ルシアンたちは言葉を失った。


 「ただいま彼女は主への暴挙に対する罰を受けているところです。しかし私としては罪の清算が終了すれば我々の教団に迎えたいと思っております。ですがお恥ずかしい限りなのですがここまで時間が経ったのにまだ彼女のお名前を聞いていなかったのを思い出しました。あとで聞いても良いのですが罪の清算を達成したものにあれこれ聞き出すのは無粋かと思ったためこちらで質問させていただきたくお聞きしました。」


 バレットが真っ先に我に返り、クレイブで生成した針をアニマへ放つ。


 「突然話しかけられてびっくりしたのですね。そのような攻撃なら私はどうともありません。ゆっくりと気持ちを落ち着かせて私と対話をしましょう。」


 「舐めるな。アンチリバウンド、十連」


 七度反射した十本の針がアニマの頭部・胴体に次々と突き刺さる。


 アニマはその場で倒れるがすぐに何事もなかったかのように立ち上がる。


 「斧幸巨大化!」


 ルシアンが吠え、爆発的な力でミノリを拘束しているアニマの腕を叩き切った。

 

 アストラの鎖がミノリを絡め取り、その身が回収される。


 「逃げるぞミノリ!」


 「待って!私は早く下の階に行かなければいけない!おろして!」


  ミノリは壊れた獣のように暴れ、執念の瞳で扉を見つめ続ける。


 「すまん!」


 ルシアンはミノリの首元を手刀で打ち、気絶させる。


 そして窓を叩き割り、外へ飛び出した。


 「行け! 全員続け!」


 次々と窓から飛び出し、


 部屋にはアニマだけが残された。


 狂信者はひとり、血の匂いの残る空間で祈りを捧げる。


 その声は静かで、穏やかで、


 しかし底知れぬ狂気を孕んでいた。


 「主よ……また一歩、真理に近づけました……」

最後まで読んで頂きありがとうございました!


もしこの作品が気に入りましたら感想や評価をいただけると幸いです。

そうでなくともこの作品が少しでも気に入っていただけたら今後も読んでいただけると幸いです。


改めまして最後まで読んでいただきありがとうございました!

また次回もお楽しみください

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