闇のゲームの始まりだ!
第28話です!
是非楽しんでください!
毎日投稿継続中!
「それでは第3ターン! サイコロをどうぞぉっ!」
青ウサギの声が場を震わせる。
出目は――
バレット:4
ユキ:5
ルシアン:3(泥沼効果で1〜3)
兎幸:6
私:6
「おっとここにきて泥沼で1〜3しか出せないルシアン選手を除き、皆、高い出目です!」
バレット(スタートから6マス+4→10マス)
「通常ドローに追加して白マスイベント、幸運の泉で3枚ひいてその中からいらないものを1枚捨てる。もう開示されている白マスを踏んで行くのが効率的。」
「バレット選手!確実に手札を増やしていく!ここからどう出るのか!?」
あんなに手札があったらバレットならここから仕掛けられる!
「MPを消費してヒール、HPを2回復して更にヒーラーの職業能力で自分が回復するとき追加で1点回復する。」
バレットHP 19→22
「更に5MP消費してドレインを唱える。対象は兎幸を選択。対象に3ダメージを与え、自分のHPを3回復する。更に職業能力で1点追加回復。」
バレットHP 22→25
兎幸HP 23→20
「ここでヒーラーの強力なカードの1つ!ドレイン!兎幸様とバレット選手のHPにどんどん差がついていく!」
「まだ終わらない!3コスト消費して魔法カードファイヤーボール!効果は対象に3ダメージ。対象は兎幸を選択。」
「この程度ならうけるとしましょう。」
兎幸HP 20→17
「なんとここで兎幸様のHPが20を切った〜!!」
「あとMPは6、このターンで決め切る。コスト6消費、メガファイヤーボール。対象に5ダメージ。
対象は兎幸。更に私のMPが0になったことでこのカードをただで唱えられる。反躍ノ楔。」
そこにはバレットの遺物の絵が描かれていた。
「で、出たぁぁ!反躍ノ楔! この効果はぁ!」
青ウサギが興奮して解説する。
「使用条件は、魔法カードを使用して自分のMPがちょうど0になること。その瞬間、このカードは自動的に発動し、直前に唱えた魔法のダメージを1D3倍に変換する!追加コストなしの一撃必殺カードだぁぁぁ!」
バレットのMPはゼロ。条件は満たされた。
振られたダイスの目は3。
「威力15のメガファイヤーボールッ!! これを兎幸様が喰らえば即座に戦況はひっくり返るぅぅぅ!」
「きゃー!兎幸様負けないでぴょん!」「兎幸様ならなんとかできると信じてますぴょん!」「華麗にこの状況を切り抜けてぴょん〜!」「兎幸様頑張ってくださいぴょん〜!」観客にいるウサギ達の歓声が響く。
私の胸も高鳴った。……本当に決まるかもしれない。
だが。
兎幸は微笑み、指を鳴らす。
何匹のウサギはこれでメロメロになってその場で倒れる。
「貴方すごいわね。まさに絶体絶命。貴方のもう一つの遺物クレイブ、使いこなせているじゃない。貴方自身は使ってないけどルシアンって子とユキって子は使っているわね。クレイブでサイコロの形を作って変身の霧を吹きかけてサイコロにしか見えないようにする。それをあらかじめクレイブで作った自分が出したい目に重心が偏ったものを選択して振る。非常に良いイカサマ、更にこのイカサマはこの場で証明できないから負けても罰金が取られない。本当に呆れるほど考えているわね。」
そう、出目を操作できるダイス。
リィナさんとサイコロに関連したゲームになると推測した段階で制作したイカサマダイス。
バレットが新しく手に入れたクレイブを使用し、重心を寄らせてその目を出せるようにしたものだ。
クレイブで作ったものには色がないのとバレット自身がまだ使いこなせていなかったため昨日の夜にギリギリで完成した代物である。
色は変身の霧を吹きかけることによってクリア。肝心の重心に偏りのダイスは内部の構造から事細かに想像して作る必要があったためバレットはリィナさんにそういった知識を叩き込まれた。
そしてついに完成したイカサマダイス。
ルシアンに、このことを伝えると何かしらの不運で使えなくなるかもしれないため、彼本人には黙って4〜6が出やすくなるダイスにすり替えといた。
が、これがバレるとは考えていなかった。
「さて、私好みのイカサマだったけど、この兎幸を倒すまでのものではなかったわ。それと、この程度のもので私を騙し切れると思ったなんて傲慢ね。ちょっと痛い目にあってもらうわ。6コスト消費してシノビカード、変わり身の術を発動。」
「で、で、で、出たぁ〜!!変わり身の術!! 受けたダメージを無効化し、同じ量のダメージをランダムな相手に返すカード!!さぁ、さぁ、さぁ!運命のルーレットスタートだぁぁぁ!」
ルーレットが回る。私たちの名がぐるぐると巡る。
カチリ。針が止まった。
「……当たったのは……バレット選手だぁぁぁぁぁ!!!」
青ウサギの絶叫が響く。
轟炎が跳ね返り、バレットの身体を直撃した。
バレットHP 25 → 10。
「くっ……!」
彼女は呻き声がこぼれる。
「なんという大逆転!! 放たれたはずの魔法が、使用者であるバレット選手を焼き尽くす結果にぃぃ!!」
観客席からは悲鳴と歓声が入り混じる。
兎幸は愉悦を浮かべて笑みを深めた。
「おいたがすぎたわね……でも悪くなかったわ。あなたの工夫も」
私達は奥歯を噛みしめた。
「ユキ選手のターンです!」
出目は 5。
現在地6マス → +5で 11マス目(緑マス) に到達!
「おっとぉ!ここでユキ選手は緑マスだぁ! 効果はランダムHP回復!1D3を振ってぇ……出目は3!HPが3回復だぁ!」
ユキHP 19 → 22。
さらにサイコロの目だけ +5MP回復。
ユキMP 8 → 13。
「3コスト消費。氷槍。対象は……兎幸。」
キィィィン! 鋭い氷の槍が、一直線に兎幸へと突き進む。
観客席のウサギたちが「キャー!」と悲鳴を上げる。
「え?なんか出た?」
兎幸 HP 17 → 14
「そろそろゲームに慣れた頃でしょ?だからゲームをアップデートしておいたわ。これからカードの演出とダメージが現実にも反映されていくわよ。あっでも安心して、肉体的ダメージではなくて精神的ダメージになるから。」
「なんと!?ここで急なアップデート!?ここからはただカードをしばくだけではなく精神を強く保てるかというゲームになってきたぞ!」
急になんてアップデートをしてくれたのでしょうこのウサギはというか先程あの氷槍を受けた兎幸は、余裕を崩さず微笑みを保る。
私達の場合はこれに耐えることができるのかな?
刀で打ち返すことはできるのかな?
「続いてはルシアン選手だぁぁ!」
っ!私が考えごとをしている間にルシアンのターン になっている!
ルシアンは進行12マス目そこは白マス。だが。
「おっとっと〜!? ここで発動したぁぁぁ! ミノリ選手が仕掛けていた《罠》だぁっ!」
ガシャァァンッ!!
床が抜け、黒い泥がぶわっとルシアンの足を絡め取る。
「ぐっ……!」
「出たぁ〜! 再び《泥沼》の効果ぁぁっ! 次のサイコロは1〜3しか出せなくなる!!」
ルシアンはすぐに泥から這い出るが頭まで泥だらけになっている。
一瞬こっちを睨んだ気がする。
ごめんって。
白マス効果のイベントが開示される。
《裏切りの影》
「こ、これはぁ〜!? イベント《裏切りの影》発動ぉっ! 対象を一人選び、そのプレイヤーの手札からランダムに2枚を奪うっ!!」
ルシアンの瞳がぎらりと光る。
「……狙うは当然、兎幸。」
シャッと手が伸び、兎幸の手札から2枚が奪われる。
「うふふ……大胆ね。でも、私からカードを取るなんて……覚悟しているのでしょうね?」
兎幸は唇を紅く歪めた。
「さぁ、ルシアン選手がついに牙を剥いたぁぁ! 兎幸様の手札はこれで残り1枚!一方ルシアン選手の手札は……11枚の大所帯だぁぁぁっ!!」
観客席がどよめく。
私も胸が熱くなる。兎幸にようやく隙が生まれたのだ。
「さぁお待たせしましたぁぁ! 真打ち、兎幸様のターンだぁぁっ!!」
青ウサギの声に、観客席のウサギ達が一斉に立ち上がる。
兎幸は16マス目から出目6。
到達地点は 22マス目(青マス)。
「おっとぉ!? ここは青マスだぁ!兎幸様はこのターン通常ドローに追加して1枚ドローできます!」
兎幸はカードを 2枚引き、ちらりと微笑む。
兎幸はそのまま、手札から1枚を抜き放つ。
「さぁ……バレット。遊びましょう?」
掲げたのは《じゃんけん》。
「ノーマルカード《じゃんけん》! コスト1で対象に1ダメージ! さらにじゃんけんに勝てばカードは墓地に送られず、そのまま使用者の手札に戻る!理論上MPが尽きるまで無限に攻撃できる恐怖のカードだぁぁぁ!!」
兎幸は涼しい笑みのまま、バレットを指差す。
「百面の導き……あなた、カードの揃い具合からあの遺物使ったでしょう?しかも一桁代の数値で、私に挑むためにわざわざ運を最高潮にしているのね。でもその上を行くのがこの兎幸なのよ、今から証明してみせる。」
兎幸は笑顔で右手を掲げる
「じゃあ――最初はグー」
兎幸の声は甘く軽やか。
バレットは目を細め、相手の指先、目線、呼吸の揺らぎを追った。
(緊張状態にあるとき人は手を開くという行為を忘れる。ならばパーを出す確率は低いならグーを出せば勝利もしくはアイコになるはず。)
「じゃんけん――ぽん!」
バレット:グー 兎幸:パー
「一回目、兎幸様の勝利ぃぃっ!」青ウサギが叫ぶ。
バレットの読みは確かに正しかった。だが、その先の「勝負の流れ」はことごとく裏切られていく。
二回目。バレットは兎幸にだけわかるように一瞬早く手を出した。
(今グーの形になっているのだからそれに対応した手を出そうとするはず!その瞬間変えればいい!)
だが開かれた兎幸の手は、まるで答えを先に知っていたかのようにバレットを打ち破った。
三回目。四回目。五回目。
バレットは目を逸らさず、思考を巡らせ続ける。
(同じ手は続けない。相手は勝ちを積むほどに見せ場を作る性格。なら次は――)
だが結果は同じ。観客席の熱狂と実況の絶叫だけが重なっていく。
「五連勝ぉぉぉ!! 兎幸様の勝ち筋に狂いなしぃぃ!!」
六回目。バレットは唇をかみ、手の甲に力を込めた。
「……まだ大丈夫。次こそ……」
読みに加えてその読みが高確率で上がるように百面の導きでバフをかけているはずなのに再び負け。
七回目、八回目。バレットの肩が揺れ、息が荒くなる。
「どうして……全部、外れる……?」
その疑問に、兎幸は柔らかく笑った。
「あなたの視線も、呼吸も、読みもどれも正しいわ。けれど、あの程度の遺物に頼るような運なら運命の女神は私を選ぶの」
九回目。バレットの声は震えていた。
「なら、最後まで……!」
十回目、結果は無慈悲なまでに、兎幸の勝利。
「十連勝ぉぉぉ!! これ以上の豪運、見たことがなぁぁい!!」青ウサギが絶叫する。
バレットのHPはゼロに沈んだ。
「……っ!」
バレットはカードを握ったまま、膝をつく。肩が大きく上下している。
読み違えたわけじゃない。全ての手筋は追えていた。だが、最後の一線――運命だけはどうしても届かなかった。
「バレット選手、ここで脱落ぅぅ!HPが0になったため、以降のターンは参加不可!ここで1人目のリタイアだぁぁ!!」
観客席がどよめき、悲鳴と歓声が入り混じる。
兎幸は手札に《じゃんけん》を戻し、くすりと笑った。
「やっぱり素敵ね、あなた。どこまでも冷静で、私を追い詰めようとした……でも、それは私の運命が許さなかった。」
バレットはカードを伏せ、唇をかすかに噛んだ。
「ついでだからこのカードを使いましょう。追い剥ぎ。」
「追い剥ぎ!こちらのカードは自分が相手プレイヤーのHPを0にした時にコストなしで発動可能!相手の残りの手札を全て自分のものにする。といった効果だ!バレット選手の手札5枚が兎幸様に写ります!」
まさかバレットがここで脱落するなんて!
しかも手札も5枚追加されてまた兎幸の優位な盤面になってしまった。
兎幸は追い剥ぎで増えた手札を扇のように広げると、まるで余興を楽しむかのようにくすりと笑った。
「でも……ふふ、少し焦りすぎたわね、バレット。勝負を決めようとするあまり、細かい綻びを隠し切れなかった。」
「……っ!」バレットの肩がぴくりと揺れる。
兎幸はカードを一枚、指先でつまんだ。
「あなたが使った職業カード、あれは四枚。だけど――」
観客席に向けてひらりと手を翻す。
「職業カードは転職で追加される山札から引いたものだけ。三枚しか加わっていないのに、どうして四枚も使えたのかしら?」
「な、なんだってぇぇ!?」青ウサギの実況が裏返った声をあげる。
場内の空気がざわついた。
兎幸は指先を鳴らす。すぐさま黒服を纏った従者ウサギが駆け寄り、恭しく頭を下げた。
「鏡を持ってきて。」
従者が抱えてきたのは、重厚な銀縁の鏡――遺物《真実の鏡》。
「さぁ、映してごらんなさい。」
兎幸の指示で、バレットが場に出していた四枚の職業カードが鏡の前にかざされる。
鏡面が淡く光り、揺らめいた瞬間
本来の姿が露わになる。
「……!」
《メガファイヤーボール》と表記されていた一枚が、全く別のカードへと姿を変えた。
観客席から一斉に悲鳴とどよめきが上がる。
兎幸は片手で頬を支え、楽しげに瞳を細めた。
「やっぱりね。あなた、《変身の霧》を使ったでしょう? 適当なカードを誤魔化して、派手な必殺技に見せかけた。」
バレットは唇をかみしめ、俯いた。
「しかも用意周到。あなたは1ターン目の《スティール》で、私の《アンチリバウンド》を盗んだ時点で、職業カードの中に魔法カードがあると確信していたのね?」
兎幸はゆっくりと歩み寄り、観客全員に聞かせるように声を張った。
「だからこそ、《アンチリバウンド》がもっとも活きるカード追加の瞬間に狙いを定めた。手札を減らし、MPの帳尻を合わせ、最後に《メガファイヤーボール》でぴたりとゼロに調整する……見事な計算。」
兎幸は一拍置き、バレットの瞳を覗き込む。
「でも残念ね。計算も、百面の導きによる運の後押しも……すべて、私の豪運の前には無力だった。」
バレットは顔を歪め、握った拳を震わせる。
「……完全に、見破られた……」
兎幸はふわりと微笑む。
「イカサマはそこで終わり。あなたが退場した以上、この勝負……もし他の子も負ければ、罰金を支払うことになるわね。」
観客席は騒然。青ウサギの実況も声を張り上げた。
「な、なんとぉぉ! 兎幸様、バレット選手のイカサマを完全暴きぃぃ!! これぞ運命を支配する女王の眼だぁぁっ!!」
「さぁて……もう一人、相手をしてもらおうかしら。」
兎幸は手札の一枚を持ち上げると、涼やかな声で告げた。
「《じゃんけん》。標的は――あなた、ミノリ。」
観客席がざわつく。実況の青ウサギも息を呑んだ。
「おおっとぉ!? バレット退場の直後、兎幸様は狙いをミノリ選手へぇぇっ!!」
カードが発動し、私達は向かい合った。
兎幸はにこりと笑い、両手を前に構える。
「最初はグー!」
その瞬間、兎幸の前腕がわずかに張る。拳を固めたまま握力に力を込めるか、それとも指を開いていくのか。
肩、肘、手首、ほんの一瞬の筋肉の揺れが、兎幸の次の動きを語っていた。
兎幸の拳に力がこもる。握り込む――開く動きはない。
「じゃんけんポン!」
(そのまま、グー!)
私は常人では見えない速度で手を開く。
「――パー!」
兎幸の手はグー。
私の勝ちだ。
観客席がざわめく中、兎幸は驚いたように目を細め、すぐに柔らかく笑う。
「……ふふ、筋肉の動きまで読まれるなんて。それにここまで堂々と後出しされるなんてやっぱりあなた、面白いわね。」
私は胸を張り、短く息を吐いた。
「運じゃ勝てなくても……技術でどうとでも勝てる。まだ、私たちは負けてない。」
その言葉に、観客席の一角から歓声が上がった。
舞台は再び熱を帯び、次の一手を待ち望む気配が渦巻いていく。
最後まで読んで頂きありがとうございました!
もしこの作品が気に入りましたら感想や評価をいただけると幸いです。
そうでなくともこの作品が少しでも気に入っていただけたら今後も読んでいただけると幸いです。
改めまして最後まで読んでいただきありがとうございました!
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