↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
目には目を、歯には歯を、能力には、能力を  作者: 妄想お面
ウサギとダイスとひとつまみの欲望を

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

23/54

傲慢!豪胆!豪運!強欲なウサギ、その名は兎幸!

第23話です!

是非楽しんでください!

毎日投稿継続中

 「さぁさぁさぁ! これから始まるのは――我らがボス、兎幸(とこ)様による至高の勝負っ!」


 青い兎が舞台中央でマイクを握り、声を張り上げる。


 「さぁ! 挑戦者よ、耳の穴をかっぽじってよーく聞くがいいっ!」


 青い兎は指を立て、観客へとくるりと振り返った。


 「兎幸様との勝負には、いくつかの決まりがある!」


 まず一つ。


 「勝負の内容を決めるのは挑戦者! ポーカーでもルーレットでも、どんなゲームを選んでも構わない!」


 二つ目。

 

「暴力は禁止! 拳で決着をつけるのは野蛮の極み、このカジノでは無粋というもの!」


 三つ目。


 「イカサマ……してもいい! だがっ! それが兎幸様に見破られ、なおかつ勝負に敗れたときはー」


 青い兎は口角を吊り上げ、手を打ち鳴らした。


 「罰金10万コインッ! 払えなければ……とんでもないことが待っているぞぉぉっ!」


 観客席の兎たちが一斉に笑い声を上げる。まるでそれが「見世物」になることを、誰もが知っているように。


 「さぁ! ルールはわかったな、挑戦者よ! 命を賭けた100万コインの勝負、始めるがいいっ!」


 舞台中央のテーブルに、赤いクロスが広げられた。


 そこに設置された椅子に兎幸が優雅に腰を下ろし、指先でカードを軽く弾く。


 「さて……どんな遊びを選ぶのかしら?」


 挑戦者の男は、緊張を隠すように口角を上げた。


 「……ポーカーだ。運と度胸、両方を試すのにうってつけだろ?」


 場内がざわつく。モモとクロも、観客席から目を輝かせて見守っている。


 「いいわぁ。シンプルで、何よりイカサマしやすい……実にわたし好み。長くやるのも面倒だからレートは10万でいいかしら?もちろんレーキは取らないわ。」


 男は一瞬動揺するがそれを了承した


 兎幸は笑い、ディーラー役の黒服ウサギに合図を送る。カードが手際よく配られ、勝負が始まった。


 ゲームが始まるや否や、挑戦者の男は袖口に忍ばせたカードを巧みに操り、手札をすり替えていく。


 観客の目には映らない速度で、彼の指は卓上を滑り、望んだカードを呼び寄せる。


 「……フッ」


 最初の二戦、三戦。男は順調に勝ちを重ね、コインの山を築いていった。観客席の兎たちが「おおー!」と声を上げ、場の熱気はさらに増す。


 「見たか! これが俺の運と腕だ!」


 男が挑発しても、兎幸はただ微笑んで見ているだけ。グラスにワインを傾け、まるで舞台の観客の一人のように。


 そして勝負は決定的な瞬間を迎えた。


 「ロイヤルストレートフラッシュだッ!」


 男がテーブルに叩きつけたカード。クラブのロイヤルストレートフラッシュに歓声が爆発する。観客席の兎たちが立ち上がり、手を叩き、口笛を鳴らす。


 男の口元には勝利の笑みがあった。だが――。


 「……ふぅん」


 兎幸が頬杖をつき、細い指でカードをつまんだ。赤い唇が弧を描く。


 「もう飽きちゃった」

 

 「な、に……?」


 ひらりと広げられ、そこに並んだのはハートのロイヤルストレートフラッシュ。


 スートの強さで兎幸の勝ち。


 男の顔が引き攣る。観客はどっと沸き、兎たちが足を踏み鳴らして舞台を揺らす。


 「運も度胸も試すって言ったのは、あなたでしょう?」


 兎幸が細い指でカードを軽く弾き、テーブルに小気味よい音を鳴らした。


 「あなたのイカサマ。とっくに気づいているわ」


 兎幸の声は甘やかで、それでいて刃のように鋭い。


 「袖にあるカードと交換しているのね。だけど手品の種としては地味ね。」


 男の顔色が変わる。周囲の兎たちが「イカサマ!」「イカサマー!」と面白がるように叫び立てる中、兎幸は扇のようにカードを広げ、再び微笑んだ。


 「このままイカサマを使ってもいいわ。ただし……それで勝てるかは別の話」


 それでも男は諦めない。再び袖からカードを引き抜き、今度はダイヤのロイヤルを仕込む。


 「次は、勝たせてもらうぜ……!」

 

 男は自信満々に手札を叩きつける。ダイヤのロイヤルストレートフラッシュ。

 

 「これならどうだ!」

 

 兎幸は小さく息を吐き、ゆったりとカードを広げる。

 そこに並んでいたのはスペードのロイヤルストレートフラッシュ。


 「……まさか……」


 男は膝を震わせる。観客席からは黄色い歓声が飛び交い、場内は熱狂に包まれた。


 「二度も続けて最強役を揃えるなんて……あなた、本当に“器用”なのね」


 兎幸は唇の端を上げ、男を見据える。


 「けれど私の前では、器用さなんて意味ないの。」


 男の額に汗が滲む。手が震え、カードが滑り落ちそうになる。


 だが男は諦めずにまたカードを交換する。スペードのロイヤルストレートフラッシュを出した。


 しかし


 「あら?貴方もスペードのロイヤルストレートフラッシュ?スタッフ、余分なカードがあるから持っていって。」


 兎幸はわざとらしく声を出して黒服のウサギにスペードのカードを回収させる。


 これで男はスペードのロイヤルストレートフラッシュを作れなくなる。


 男はイカサマを続けるが、兎幸は今度、配られたカードに指をかけたまま、大きくレイズを繰り返した。


 「十万……二十万……三十万。あら、まだ降りないの?」

 

 「くっ……」


 男は手札を見下ろす。ロイヤルを仕込んでいるはずなのに、兎幸の自信満々な態度が、まるで“それを上回る役”を握っているかのように見えてくる。

 

(まさかまたスペードのロイヤルストレートフラッシュなのか?3連続なんてそんなこと、いや、こいつが俺みたいにイカサマしていたら。それも不可能ではない。)


 観客のざわめきが重圧となり、心臓が鷲掴みにされるようだった。

 

 耐えきれず、男は手札を伏せた。


 「フォールドだ……!」


 兎幸は勝利の笑みを浮かべ、ゆるやかにカードをめくる。


 そこに並んだのは……ただの「ブタ」。役なし。

 

「ふふ……あら残念。あなたが勝負を降りなければ、わたしが負けていたのに」


 男の顔色が蒼白に変わる。


 観客席は爆笑と歓声に包まれ、モモとクロが


 「「さすが兎幸様ぴょん!」」と跳ね回る。


 「イカサマで最強役を作りながら……結局、あなたは自分を信じられなかったから負けたのよ」


 兎幸は指先でカードを弾き、挑戦者を見下ろした。


 そこからは一方的だった。


 男がどんなに手札を細工しようともそれ以上の手札で返される。


 時に、同じ役にして男のカードを回収させる。


 そして男のコインは0となり兎幸の勝利となる。


 「勝負ありぃっ! 100万コインを相手から全て奪ったのは我らが兎幸様だぁぁっ!」


 青い兎がマイクを高々と掲げ、観客に向けて叫ぶ。


 場内は割れんばかりの歓声に包まれ、兎たちは飛び跳ね、耳をぶんぶんと揺らして喜びを爆発させていた。


 「さすがだぴょん!」「イカサマ野郎が勝てるわけねぇぴょん!」


 観客席からは嘲笑混じりの声が飛び交う。


 青い兎はくるりと挑戦者の男へ向き直り、わざとらしく咳払いをした。


 「さて……皆さまも覚えているだろう! 兎幸様との勝負――イカサマをして、それを見破られ、なおかつ負けた場合には……」


 ピン、と指を鳴らす。


 「罰金10万コインを払っていただくッ!」


 観客の兎たちが「出せぴょん!出せぴょん!」と合唱する。


 男は真っ青な顔で、手元の空になったコイン皿を見下ろした。


 「……ない。全部負けちまった……!」


 その瞬間だった。


 どこからともなく、低い足音が響いてきた。


 重い床板を踏み鳴らすような規則的な響きが、舞台裏から近づいてくる。


 ざわ……と観客席の兎たちが声を潜める。


 現れたのは、明らかに他の兎たちとは違う一団だった。


 耳こそ兎と同じだが、体躯は逞しく、鋭い目つきをした黒服の大ウサギたち。


 筋肉の盛り上がった腕と首に、ギラリと光る金属装飾。


 彼らは舞台に整列し、観客を一瞥すると――次々に「人間の姿」へと変化していく。

 

 ただし、頭には兎耳が残ったまま。異形の風格を纏った、筋骨隆々の強面たちだ。


 「ひっ……!」


 男が椅子ごと後ずさる。


 その瞬間、黒服の一人が無造作に腕を伸ばし、男の襟首をつかんで持ち上げた。


 「……お客様。こちらとしても慈善事業ではございませんぴょん」


 別の黒服が淡々と告げる。


 「遺物、衣服、装飾品……換金できるものはすべて預からせてもらいますぴょん」


 男の懐から無理やり取り出されたのは、光沢を帯びた一振りの短剣の遺物。さらに財布、腕時計、外套、靴。次々に舞台中央に放り投げられ、査定役の兎たちが手際よく換金額を読み上げていく。


 「5000コイン……まだまだ全然足りないぴょん」


 男は必死に叫んだ。


 「やめろっ! それは俺の……!」


 しかし観客は「もっと出せぴょん!」「丸裸にしちまえぴょん!」と煽り、誰一人味方はいない。


 やがてすべてを剥ぎ取られた男の前に、なお「不足」の札が突きつけられた。


 「残り15000コイン。どうしますぴょん?」


 兎幸はワイングラスを揺らしながら、愉しげに視線を落とす。


 「身体で払っていただくしかないわね」


 その言葉と同時に、舞台の床がぐらりと震えた。


 赤いクロスの下――大地が口を開いたかのように亀裂が走り、黒い穴が現れる。


 「ひ、ひぃぃっ! やめろぉっ!」


 男は必死に抗うが、黒服たちが容赦なく押し出

す。


 観客は総立ちで、まるで見世物小屋のように囃し立てた。

 

「飲み込めぇぴょん!」「底まで落ちろぉぴょん!」


 そして男の絶叫が舞台に響いた次の瞬間――彼の身体は音もなく、床の穴に呑み込まれて消えた。


 暗い闇が閉じる音が響き、場内は一瞬だけ静まり返る。


 だが次には爆発するような拍手と笑い声。


 兎幸はワイングラスを傾け、ただ静かに笑みを浮かべていた。

最後まで読んで頂きありがとうございました!


もしこの作品が気に入りましたら感想や評価をいただけると幸いです。

そうでなくともこの作品が少しでも気に入っていただけたら今後も読んでいただけると幸いです。


改めまして最後まで読んでいただきありがとうございました!

また次回もお楽しみください

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。