403.うちに帰って
「芦屋さんが遅刻ギリギリ登校なんて珍しいね?」
ホームルームが終わると、上岡さんと西田くんと松本くんが私の席に集まった。私は
「詳しく言えないんだけど、ちょっと朝から色々あってね。アルバイト辞めたの。」
と伝えた。
「へぇ〜。でも、桜華様が引き止めないなんて意外だな。」
「俺も思った。俺の妻なんだからここに居ろよとかなんとか言ってさ。」
「でもそれを言えなかったって事は、なんらかの理由があったんじゃない?政治的な理由とかさ。色々。」
と松本くん西田くん上岡さんが言った。
「さぁ〜。どうだろうね。まっ、期末試験まで後3週間ないし、ちょうどよかったかも。さっ今日からは勉強に集中しないとね。」
と言う私に、3人は大きなため息をついて遠い目をしていた。(帝学の期末試験は中間試験の範囲も含まれる為、範囲が広く大変らしい。)
放課後になり、上岡さんと松本くんを部活に送り出したあと、西田くんに声をかけられた。
「図書室で勉強する?」
「うん。そうする。」
それから私と西田くんは下校時間(7時)までみっちり勉強し、家に帰った。
「おかえりなさい。」
玄関の引き戸を開けた私の目に飛び込んだのは額から瞼、頬にかけて刀傷があるちょっと強面な背の高い体の大きな(筋肉質な)20歳後半くらいの男性だった。
「ただいま帰りました。あの・・・どちら様でしょうか?」
「私、本日付で近衛騎士団に移動になりました、本田忠男と申します。明日から桜華様専属護衛として務めさせていただきます。よろしくお願いします。」
と言ってビシッと直角にお辞儀をした。
・・・近衛騎士団?警備員じゃなくて?そういえば、制服も警備員とは違う。(本田さんが着ている制服はかちっとした詰め襟で、胸元には左右に金ボタンが並び、それを結ぶように赤い飾り紐が横に走っている。以前よりも生地がランクアップしたみたい。)・・・そういえばこの前の話し合いで警察と退魔部隊と編成をどうこうするって言ってたな。そんなことよりまずはあいさつしないとね。
「芦屋このはと申します。よろしくお願いします。」
とあいさつをすると、奥から父がやって来て、
「彼は桜華様の新しい専属護衛だよ。彼は二の太刀要らずとも呼ばれててね。彼の剣は帝国一二位を争う腕前で、しかも魔力の持ち主でもあるから皇居の警護を任せるにもってこいなんだよ。」
と言うと、
「正敏さん。やめてくださいよ。俺はまだまだです。魔力は持ってるけど、刀に力を付与する程度しか使えませんし。」
と私達が玄関で話をしていると、奥から
「こんな所で話してないで部屋へどうぞ、お食事の用意ができましたよ。」
と私達を呼ぶ声が聞こえた。




