401.会議のあと
「娘の契約はまだ残ってるではないか!勝手は許さんぞ!」
「ですから、娘はここで桜華様を始め皇族の方々の警護をするアルバイトをしているのです。ここにもそう書いてあります。」
と言って契約書を見せた。
「娘に西園寺家での仕事はさせるつもりはありません。こちらが勝手を言っておりますのでこれまでのお給金はいただきません。契約には契約解除時の違約金の記載はありませんので、これでご容赦いただきます。」
そう言って父は私の腕を掴み
「行くぞ。」
と言って席を立った。
私の手を引き父は、
「荷物をまとめなさい。帰るぞ。」
と静かに言った。
「え?ちょっと、何言ってんの?」
「僕は陛下と皇太子殿下、そして西園寺様に伝えていたんだ。娘の手を血で汚したくないって。だから私は百合子さんの警護を引き受ける事にしたんだよ。」
「うん。」
「ここを辞めることは考えていたことだから。それにこのはを大学に行かせるお金は稼がせてもらったし。」
「うん。」
「このはのバイト代については申し訳ないことをしたんだけど。私達の存在は、陛下が思った以上に大きくなってしまった。私達に依存することは帝国の軍事に悪影響を及ぼしてしまうからね。」
「うん。」
私は部屋に戻ると、制服に着替え、荷物をまとめた。
「失礼します。あ、会議終わるの早かったんですね。はい。」
そう言って菊さんは綺麗に畳まれた下着と靴下を渡した。私はそれを受け取ると、
「菊さん。短い間でしたがお世話になりました。」
と頭を下げた。
「え?どういうことですか?」
「色々あって。」
「色々って、そんな・・。」
そう言って菊さんは戸惑いながらも、私を抱きしめ
「このはさん。身体には気をつけて、無理をなさらないでくださいね。」
と言って泣き出してしまった。私達が別れを惜しんでいると
「このは、用意はできたか?」
と父が部屋にやって来た。
「うん。元々荷物は少ないから。これだけ。」
「わかった。」
すると、父は3人の警備員に私の行李を運ばせ、
「菊さん、これまで娘が大変お世話になりました。」
と深々と頭を下げた。そして
「このは。行くよ。」
と言って部屋を出て行った。
「菊さん。じゃあ。これで。あの・・・桜華様にもお礼・・・。」
言葉が出なくなった私に
「ちゃんとお伝えいたします。」
「ありがとうございます。・・それと、本は桜華様にお預けしますのでよろしくと。伝えて下さい。」
「わかりました。」
私はこれまでお世話になった菊さんに深く頭を下げて玄関に向かった。
「え?」
玄関から出ると、警備員の方々がオート三輪の前に集まって笑いながら父と話をしていた。




