396.術指南(肆)を読む③
「血酒傀儡之術。満月之夜、取術者之生血、和清酒使人飲。術者端坐、専心黙念。則其人神識忽滅、身為傀儡、唯聴命於術者也。永不復本、深可忌之。・・・満月の夜、術者の生血を取り、清酒に和して人に飲ましむ。術者端坐し、専心に黙念す。則ち其の人の神識忽ち滅し、身は傀儡と為り、唯術者に命を聴くなり。永く本に復せず、深く之を忌むべし。・・・人を術で操るなんて。」
「なんか俺、怖くなってきたよ。」
「私もです。桜華様、明日も早いですし、そろそろ寝ませんか?」
「だな。なぁ、1人で寝るの心細いだろ?俺が一緒に・・・。」
「大丈夫です。」
「そんなくい気味に断らなくても。」
「ふふふ。おやすみなさい。」
私達は再び本に封印をして、引き出し日本を片付けて鍵をかけた。
次の日も私達は、『術指南(肆)』を読み進めた。血酒傀儡之術の後に書いてあったのは、火、水、木(緑)、光、土を使った攻撃の術に関する内容だった。
「なあ、血酒傀儡之術を解く方法は書いていないんだな。」
「そうですね。人を意のままに操るための術だから、そもそも術にかけた人を正気に戻そうと思ってないんでしょうね。正気に戻った人から「こいつに術をかけられた!」なんて言われたらもともこもないですし。」
「だよな・・・。で、明日。じゃなくてもう今日か。このはの父さんが戻ったらこの本のこと相談したら何かわかるかもしれないし。術を解く方法が何がわかればいいな。」
「そうですね。」
私達は本を封印し、引き出しに入れて鍵を閉めた。
「桜華様、おやすみなさい。」
と言ったら私の手を桜華様が握った。
「あ、あの。やっぱり、7月下旬でここを辞めるのか?」
「はい。父も帝都に居ますし、ここから西園寺邸までそんなに遠くないでしょ。私がここを辞めた後は近藤隊長が引き継がれると思います。だから安心してください。」
「俺はこのはがいい。」
「信頼してもらうのは嬉しいですが、私、夏休みはひいばあばの所で過ごそうと思ってるんです。『術指南(肆)』なんて本が世に出回ってるのを知ったからには、これに太刀打ちできる自分にならないといけませんから。それに、冨久岡の友達にも会いたいですし。」
「そっか。わかった。おやすみ。」
そう言って桜華様は私の手を離しベッドに向かった。




