390.百合ちゃんのこと⑤
「え?」
「僕は百合子さんに出会って君に好意を抱いた。だからこのはさんを利用して君を婚約者候補にした。百合子さん・・僕は君のことをもっと知りたいし、僕のことを知ってもらいたい。僕が正敏さんに護衛を引き受けてくれる様に説得する。だからこのまま婚約者候補として僕と付き合ってほしい。」
「・・わかりましたわ。」
「ありがとう。」
清華様は百合ちゃんにお礼を言うと、桜華様に
「桜華、心配をかけて悪かった。僕は桜華からこのはさんを引き離す様なことはしないから。安心して。」
と伝えると、
「わかった。」
と桜華様下を向いたまま答えた。・・怒っているだろうな。私が勝手に冨久岡に行くって言ったもんな・・・。
「チャリコさん。相談に乗ってくださってありがとうございました。それと私のせいで嫌な思いをさせてごめんなさい。チャリコさん。あの・・これからも私と仲良くしてくださいますか?」
と百合ちゃんは遠慮がちに私に尋ねた。
「もちろんよ。」
と私が答えると百合ちゃんは私の元に駆け寄り抱きついて「ありがとう」と言って泣き出した。
しばらくして落ち着いた百合ちゃんが、
「桜華様の大切なこのは様にご迷惑をおかけして申し訳ありませんでした。・・・桜華様はチャリコさんのことをよくわかっていらっしゃるんですね。」
と伝えると桜華様は
「まぁな。」
と一言だけ答えた。それから
「桜華様申し訳ありませんでした。このはさんの考えも聞かずに無礼な事を申しました。」
「光晴の言う通り、私もこのはさんに酷い事を言ってしまいました。申し訳ありませんでした。」
と言って西園寺先生と友見さんが頭を下げた。そして西園寺先生が、
「先日、桜華様に私が申しましたことは忘れてください。このはさんに相応しい方は桜華様だとよくわかりました。」
と言った。え?何?相応しい?私の戸惑いを見透かした様に、西園寺先生は
「桜華様には勝てませんでした。」
と言って私にニコリと微笑んだ。その話を聞いていた百合ちゃんのお父様は
「桜華様本当に申し訳ありませんでした。今後西園寺家は桜華様とこのは様の婚約に関しましても前面的に協力させていただきます。もちろん、このは様には正式な謝罪を・・・。」
え?ちょっと待って、私と桜華様の婚約?は?
「ちちちちょっとお待ちください。勝手に話進めないでください!」
私が西園寺さんのお父様の話を遮り、
「正式な謝罪も、婚約の協力もいりません!」
と言うと、桜華様が急に私を抱き上げ、
「だそうです。西園寺様、私は、私の力でこのはを手に入れますので。心配ご無用です。それでは失礼致します。」
と言って暴れる私をしっかり抱きしめ(私の)部屋を出てしまった。




