389.百合ちゃんのこと④
「大丈夫ですよ。私は気にしていませんから。」
「本当に申し訳ない。」
「ち、ちょっと、やめてください!」
西園寺さんのお父様が椅子から降りて正座をした。私は駆け寄り土下座を、阻止した。
「私は君を傷つけて・・。」
「私は傷ついていません。本当に気にしていません。とりあえず椅子に座ってください。」
私達のやりとりを見ながら友見さんが、
「このはさんが断った理由はわかったし、納得もした。確かにそうだ。でもどうすればいいんだよ。前に婚約者候補だった女性は優秀な警備員が8人もついてたのに命に関わる大怪我をしたんだ。それに公表されていない事件も沢山ある。今、危険な状況にいる百合が心を許せる優秀な護衛なんてこのはさん以外どこにいるんだよ。」
とポツリと呟いた。それに答えるかの様に、
「先程、皆さんが来る前に独り言を聞いたんですの。」
と百合ちゃんが私の独り言という名の提案を皆んなに話した。そして
「皇帝陛下、皇太子殿下、もし可能でしたらご検討いただけないですか?私、このは様のお父様でしたらぜひお願いしたいです。」
と言って頭を下げた。すると
「なるほど。・・・公務を調整し、希望に添える様にしよう。正敏さんにはこちらからお願いするから。」
と答えると、西園寺家の人々が皇帝陛下に深く頭を下げて感謝を述べた。すると、百合ちゃんは
「ただ。このはさんのお父様は引き受けてくれるでしょうか?」
と不安そうにポツリと呟いた。・・・確かに。あっ。
「その時は・・私がひいばあばに護衛の件を頼んであげる。まぁ、百合ちゃんが良ければの話だけど。」
「え?摩耶様に?それはありがたい。でも摩耶様は冨久岡で仕事をされているだろ。」
と西園寺先生が言った。
「さっき私がここの仕事を辞めていいって話になってましたよね。だからその時は私が冨久岡に行ってひいばあばの代わりに仕事をします。まぁ、なんとかなるでしょ。」
と答えると、
「摩耶様が護衛になってくだされば心強いですけど・・。チャリコさんは学校があるだろ?」
と友見さんが尋ねた。
「まぁ、そうですけど、その時は帝学を休学するか、前通っていた筑紫の谷高等学舎の編入試験を受けますよ。あ。でも編入試験は2月かな。まぁ、細かいことはいいや。とにかく百合ちゃんが安心して毎日を過ごせることが大事ですから。」
と答えると、百合ちゃんは
「そんな、勉強を頑張っているチャリコさんの邪魔をするわけにはまいりません。そもそも私が何も考えず、身勝手な考えで婚約者候補になったのが悪いんです。」
と言うと、清華様は
「婚約者候補を辞退するとか言わないよね?」
と尋ねた。




