386.百合ちゃんのこと①
「あの、私、前回の事件について新聞や雑誌の情報程度しか存じ上げていなかったので。申し訳ありま・・。」
「違うんだ。このはさんは何も悪くないし、このはさんはごく当たり前の質問をしただけだ。だから謝らないでくれ。こちらこそ不快な思いをさせて悪かった。」
と西園寺さんのお父様が頭を下げた。
「いえ。お気になさらないでください。」
そう答えると広い部屋がシーンとした。誰も何も話さなくなってしまった。すると深刻な表情をした百合ちゃんが、
「あの・・。護衛のお願いをするなら、チャリコさんに聞いてもらわないと・・。」
と絞り出す様に話をし始めた。
「百合ちゃん、待って。私は今こちらで雇われていますし、私は未成年ですから護衛を引き受けるか否かの判断も父や皇帝陛下にご相談しなくてはなりません。ですから話しづらい事であれば百合ちゃんの胸に閉まっておいてください。」
と伝えると、
「ここの契約が終わってからでもいいんです・・。私の護衛を・・。」
ぽつりぽつり話す百合ちゃんに
「あの陛下・・。」
私が全て言い終わる前に
「ここでは話しにくいこともあるだろうし、このはさんの部屋でゆっくり話すといいよ。」
と言ってくれた。
「百合ちゃん行こ。私の部屋。お菓子もあるし。」
すると西園寺さんのお母様は、
「それがいいわ。あの、このはさん私もご一緒していいかしら。」
「百合ちゃんさえ良ければ。」
私がそう言うと、西園寺さんは黙って頷いた。私が席を立つ時桜華様の不安そうな顔が目に入ったが、百合ちゃんと西園寺さんのお母さんとそのまま部屋を出た。
「こちらにお座りください。」
私は2人をソファーに案内した。菊さんは
「何があったらお呼びください。」
と言ってお茶を人数分出し部屋を出て行った。私は買っておいたお菓子を持ってソファーに座った。すると、
「実は・・。私、その・・。以前、護衛の者たちに襲われそうになりました・・。」
百合ちゃんが搾り出す様に言うと、
「幸い未遂に終わったのですが・・。息子達と百合子好意を持った護衛の者達が結託して百合子を部屋に閉じ込めて・・。だから百合子が信頼している方ではないと護衛をお願いできないんです。・・今、百合子を護衛している3人は長く家で使えてる方なんですが、そのうちの3人ともがいい年齢になり、内1人は身体が思う様に動かなくなったと近々退職する予定なんです。それで、彼が引退した後このはさんに護衛を頼めないかとこの様な話をさせていただいたんです。こちらの契約が終わってからでも構いません。うちで働いてもらえませんか?」
と西園寺さんのお母さんが言った。
「・・話はわかりました。・・私は大事な百合ちゃんを守りたいからこそ、護衛のお話しはお断りします。」
「・・どうして・・?」
百合ちゃんは声を振るわせて私に尋ねた。




