385.術指南(肆)の取り扱い⑤
「もし、この術が使えるのであれば、婚約者選定の際、皇太子殿下やお相手もお守りできるんですよ。」
友見さんがそう言うと、桜華様は
「だったらなんで相手が友見さんになるんだよ!」
と言い返した。友見さんは
「もし術をかけられた人に何かあっては遅いからです。だから私が実験台に・・。」
と静かにに話した。私は
「あの、友見様。私がこの術を異性に対してかけるのは道徳上よろしくはないかと。どうしてもというのであれば、1ヶ月後の満月の日に父に頼んでみてください。・・一応、私も嫁入り前なんで、この術をかけることはちょっと。」
「・・・申し訳ありません。・・・今、この術が一番必要なのは百合子だと思って。以前、清華様のお相手選びの際に女性が傷つく事件があったのを覚えていますか?」
「はい。」
「この様なことが百合子の身に降りかかりはしないかと不安で。だからこの術を使えば百合子を守れるかと思ったんです。」
「じゃあ、この術を西園寺さんにかけてくれって頼めばよかっただろ。」
「確かに桜華様の言う通りなのですが、ただ、使われていない術にはなんらかの欠陥があるかもと考えまして、私が実験台になろうと思ったんです。」
「一応、友見さんの考えはわかりました。」
「お兄様・・。」
確かに不安だよね・・・。西園寺さんのご家族だけではなく、皇帝陛下も清華様も桜華様も不安そうな顔をしている。私はその事件のことを新聞や週刊誌の情報程度でしか知らないが、ここにいる方々の表情から察するにとても大変な事件だったんだと想像はつく。
「はぁ。チャリコさんが私の護衛で同じ学校の同じクラスだったらよかったのに。そしたらチャリコ様に守っていただけますのに!チャリコさん、ウチで働いて尊学に編入しませんか?」
「西園寺さんのことは俺も心配だけど、今の提案は現実的に無理だろ。」
「あの、西園寺さんの家には男女たくさんの警備員の方々がいらっしゃいますよね。私が百合ちゃんと出会ったあの日、百合ちゃんの登校を見守っていらっしゃったじゃないですか。太政大臣のお宅の警備員さんなんだからとても優秀な人材かと思うのですが、婚約者候補に対する攻撃はその方々でも対応できない様なものなのでしょうか?」
「それは・・・。」
西園寺さんのお父様が何が言いかけると、私と桜華様以外の表情が曇った。私と桜華様はその空気に只事のなさを感じた。




