384.術指南(肆)の取り扱い④
「確かに術に関することは全然ないな。」
「・・・いや、そうでもありませんよ。」
「え?そうなのか?」
「ここに載ってる民話や自然それと宗教。これ全部満月に関係することが書いてあるんです。」
この本には満月の日に獣になる男の話や満月の日に月からお迎えが来る姫の話など様々な民話に、満月の観察の研究。そして満月を信仰する世界各地の宗教について書かれていた。
「確かにそうだな。」
「南武政右衛門は満月に特別な力があると気づいて『術師覚書』を書いたのかもしれませんね。」
「確かに。」
私と桜華様の話を皆さんが興味深々で聞いていた。すると友見さんは、
「『術師覚書』ってここの図書室にあったものだろ?ちょっと見せてもらっていいかな?」
と言って、私が持っていた『術師覚書』と西園寺先生が持ってきた本を読み始めた。
しばらくして、友見さんが
「この本は眉唾物ではないってことだよね。ということは、何を根拠にそう考えたの?」
と尋ねた。
「この本に書いてある序に書いてあるのは父や曽祖母から常々言われていることですし、この本書いてある術は私や父、曽祖母が使っているものも書いてあるんです。知らない術もありましたが、手間がかかったりで使い勝手が悪くて今は使われていないんだと思います。ただ、この術師同士の場所が特定できる術については知らなかったんですが、実際に父とやってみたらできたんですよ。あ、それと「満月の引力、澱をかき混ぜ魔物呼ぶ。」について実際にこの記述が正しいか警備の記録を確認していただく様頼んでいるところです。今後の警備対策にも役立つかもしれませんので。」
と伝えた。
「なるほどなー。魔物の発生件数と月の満ち欠けの因果関係が分かれば警備の人員や配置に役立つね。これは過去5年分くらい記録を確認して分析したほうが良さそうだな。統計学が得意な文官を応援に行かせよう。」
そう言って友見さんは手帳に何か書いた。続けて
「因みに魔力無き者守りし術って言うのはできるの?」
と友見さんが尋ねたので
「この術は私も父も知りませんでした。実際に試してはいませんが、術について尋ねたところ、理にかなってはいるそうです。でも、使える術ではありません。時間も手間もかかりますし、術のかけ方も特殊すぎます。術をかけてその人を守るより、術が使える人や、剣術に優れた人が守った方が現実的です。」
と答えると、友見さんが、
「なるほどね。ねえ、この術、満月の夜に俺と試してみない?」
と尋ねた。その瞬間、
「それはできません。」
と桜華様が圧のある声で静かに言った。




